生成AIでアダルト業界がさらなる進化! 2023年12月にデビューしたAIセクシー女優の木花あいさん。人間の体に、AIによって生成された顔のモデルとして活躍中
生成AIでアダルト業界がさらなる進化! 2023年12月にデビューしたAIセクシー女優の木花あいさん。人間の体に、AIによって生成された顔のモデルとして活躍中

2023年に全世界的大ブームとなったChatGPTをはじめとする生成AI。2024年はこれらがさらに身近に使いやすく大幅アップデート。大手IT企業が開発を急ぐAIの現状、そして懸念されるAIを利用した次世代のサイバー犯罪などを解説します!

■AIが本気で人間の仕事を奪いに来る!

2023年は連日メディアでChatGPTが報道されつつ、小学生が宿題に活用するなど空前の生成AIブームが到来。そんな中、2024年、生成AIは"ほぼ別物"に超絶進化するという。2024年型の生成AIのスペック、そこから発生する新コンテンツや問題点をITジャーナリストの三上洋(よう)さんに解説してもらいます!

――2024年はどんな斬新機能を搭載したAIが登場するのでしょうか?

三上 23年の9月にマイクロソフト、11月にアマゾン、そして12月にGoogleも新AIサービスを発表しました。これらの特徴が"マルチモーダル"です。

これまではテキスト、画像、動画、コードなどを個別のアプリで生成するのが基本でしたが、マルチモーダルとなり、ひとつのアプリで行なえるようになったのです。

――最近、Windowsを使っていると、協業するOpenAI社のChatGPTの機能を生かした『Copilot(コパイロット)』という対話型のAIが出てきますよね。

三上 マイクロソフトオフィスアプリにも実装され、生成AIの『Copilot for Microsoft 365』が登場しました。今年から国内でも本格的に利用できるようになり、仕事のやり方をガラッと変えるほどのスペックです。

【マイクロソフト】Windows 11に実装された生成AI、Copilot。これによりWindowsは史上初となる本格的な「AIOS」へと大進化。そして2024年はビジネス系のアプリである『Microsoft 365』にもCopilotが実装され、簡単な指示出しでパワポやエクセル資料の作成ができる神機能をマイクロソフトが大アピール中
【マイクロソフト】Windows 11に実装された生成AI、Copilot。これによりWindowsは史上初となる本格的な「AIOS」へと大進化。そして2024年はビジネス系のアプリである『Microsoft 365』にもCopilotが実装され、簡単な指示出しでパワポやエクセル資料の作成ができる神機能をマイクロソフトが大アピール中

――どのような部分が優れているのでしょうか?

三上 例えば365でパワポ資料を作るなら【簡単な内容説明】【ページ数】だけでテキストや画像を生成できます。エクセルも表を読み込ませて関連する説明や分析をテキスト化できる機能も搭載。このように【画像からテキスト】【表からテキスト】、その逆をひとつのアプリで行なえるのがマルチモーダルなのです。

――サラリーマンのお仕事が相当に快適化されますね!

三上 それどころか仕事を奪ってしまうほどの進化です。私事ですけど、この時期は"今年のIT界予想"という内容でテレビ出演や講演が多いのです。難解なITシステムを要約した台本、パワポ資料の作成などは365が最も得意とする作業。つまり、"三上洋、ITジャーナリスト廃業"です(笑)。

――それ、深刻すぎるやつ!

三上 はい。ただし、私だけでなく一般のサラリーマンにも当てはまることで、これを使いこなせないと"仕事が遅い!"となって、AIの進歩で仕事がやりづらくなる部分が出てくるでしょうね。

【Amazon】ビジネス用途に特化された生成AI『Amazon Q』。新製品の仕様書やFAQ、さらに売り上げ報告書など、企業が制作することの多い資料生成に特化した仕様となっているのが特徴。今後は同社のAlexaシリーズと連携するコンシューマー用システムの登場にも期待!
【Amazon】ビジネス用途に特化された生成AI『Amazon Q』。新製品の仕様書やFAQ、さらに売り上げ報告書など、企業が制作することの多い資料生成に特化した仕様となっているのが特徴。今後は同社のAlexaシリーズと連携するコンシューマー用システムの登場にも期待!

――アマゾンの新AIもビジネス寄りですよね?

三上 『Amazon Q』はビジネス用途に特化され、仕様書やFAQなどの作成に強いAIです。Copilot以上に、専門的な内容に振り切った仕様です。

――では、Googleの新AIはどうでしょう?

三上 Googleは新生成AIである『Gemini』シリーズを発表しました。GeminiはUltra、Pro、Nanoスペックで区別された3種が用意され、まだ英語版のみの運用になりますが、24年中にはそのほかの言語にも対応予定です。

【Google】各種生成が可能なGoogleの新AI、Geminiシリーズ。画像や地図を認識し、そこから創作物を作ることも可能。(写真左)そして同社のスマホであるPixelシリーズに対応する『Gemini Nano』が英語版でリリース中。スマホで撮影した画像や動画編集はもちろん、録音した会議を自動で要約してテキスト化できるなど、エンタメ&ビジネス共に最強スペック!
【Google】各種生成が可能なGoogleの新AI、Geminiシリーズ。画像や地図を認識し、そこから創作物を作ることも可能。(写真左)そして同社のスマホであるPixelシリーズに対応する『Gemini Nano』が英語版でリリース中。スマホで撮影した画像や動画編集はもちろん、録音した会議を自動で要約してテキスト化できるなど、エンタメ&ビジネス共に最強スペック!

――これにはどんな特徴が?

三上 こちらが提示した画像や動画を認識する能力が高く、例えば【ギターとドラム】のイラストを見せ、【ヘビーメタル】と指示すれば、それを認識して楽曲を生成できます。物を認識し、創作物を作れるAIです。クリエーティブ関連に強いGoogleらしいAIに仕上がっています。

――これは、クリエーティブ環境もはかどりますね!

三上 一方、法的にアウトな事案も増えることが懸念されています。現在、海外のアダルトサイトはアイドルのディープフェイクであふれ返っていますし、中国では生成された偽動画での特殊詐欺も発生しています。これが誰でも簡単にできてしまうのです。

そして総統選挙を控える台湾ではフェイクニュースが増殖中。これに対し「台湾ファクトチェックセンター」は常に注意喚起を行なっていますが、資金難で手が回らない状況です。

今後は動画より簡単に生成でき、精度の高い偽音声による詐欺やフェイクニュースが増えます。それらをプラットフォーム運営側が厳しくチェックできる体制を整えるのが急務です! 日本国内のファクトチェック団体も資金難で運営は厳しいですから。

日本にも本気のファクトチェック機関が必要です! 来週13日に迫った台湾総統選。このタイミングで各種SNS上にはフェイクニュースラッシュの状態。そこで機能するのが「台湾ファクトチェックセンター」。ソースの不明瞭な記事の問題点を解説付きで紹介。2024年、大進化したAIがより身近になると、各種サイバー犯罪も激増!?
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アダルトサイトの『FANZA』同人ではAIを活用した作品が2万4000作以上もラインナップ!
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――では、最後にアダルト方面でのAIの活用は?

三上 すでに顔だけを生成した女優さんが登場し、同人ではAIコンテンツが人気。最もAIの活用が進んでいる業界です。権利問題をクリアにできれば、35歳の紗倉まなさんを生成し、そこにセーラー服を着せるといったことができる"合法ディープフェイク"も作れます。

メーカーが提供するサービス内で、今後はユーザーが自分好みのプレイや容姿を楽しめる作品の登場に期待したいですね。ただし、これがリリースされる頃には、"三上洋、ITジャーナリスト廃業"も実現されてそうですけど(笑)。

――そうおっしゃらずに、2025年も"IT界予想"を、よろしくお願いします!

取材・文/直井裕太

生成AIでアダルト業界がさらなる進化! 2023年12月にデビューしたAIセクシー女優の木花あいさん。人間の体に、AIによって生成された顔のモデルとして活躍中