館山氏は「いつ辞めるかわからないリスクがありながら、あまり先のことを考えてこなかった」と振り返った(C)Japan Asset Management Inc.

 オフシーズンに入っているプロ野球は、ほとんどの選手が昨年末までに契約更改を済ませ、新たな戦いへ向け鋭気を養っている。

 また、シーズン終了後はトレードや現役ドラフトなどにより選手の移籍も行なわれている他、戦力外通告が告げられた選手が球界を去る時期でもある。

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 プロ野球界はトッププレーヤーの活躍がファンを沸かせる一方で、毎年、多くの選手が第二の人生へと向かう。プロ野球という華やかな世界で長く生活できる選手はどの時代でも、ほんの一握りだ。その後は、新たな業界に身を転じ、再スタートを切る。

 もちろん、現役時に高い実績を残しても、引退後の生活が保障されているわけではないようだ。元ヤクルトで、通算85勝を記録した館山昌平氏がYouTubeチャンネル『Japan Asset Management Inc.』の中で、自身の経験談を語っている。

 館山氏は、同チャンネルで12月28日配信となった「【JAMアカデミーforアスリート】元プロ野球最多勝選手 館山昌平のお金事情」に出演。アスリート向けの資産運用などについて語る動画の中で、「(収入面では)現役の頃の金額がそのまま続く訳ではない。いつ辞めるかわからないリスクがありながら、あまり先のことを考えてこなかった」と選手時代の心境を振り返っている。

 2009年には最多勝にも輝き、5年連続二けた勝利をマークするなど、長く第一線で活躍し17年間の現役生活を送った館山氏。その実績を踏まえ、「現役時代の年俸だけで引退後、安心して生活できるのか」という問いかけに対し、館山氏は「できません」と即答。

「最高年俸として2億円というシーズンがあった」と述べながら、「実際、17年間を平均すると、税金などを抜いた額にして4000万円くらい。最多勝を獲っても日本ではその程度」と見解を示した。

 また近年において、戦力外となる平均の在籍年数や年齢の話題の中では、「毎年百数十名の選手が戦力外になっていて、そのうち10人程度がセカンドキャリアで成功できる人材はいるものの、100人くらいは苦労している印象」と切実な内情を明かしている。

 加えて、戦力外となる平均在籍年数が「7.7年(2022年)」という統計に触れながら「10年やったら、“しっかりできたな”という印象」と語るなど、いかに生き残ることが困難であるかなども説明していた。

 館山氏のエピソードの通り、やはり、プロ野球界はさまざまな面で特殊であるとともに、過酷な世界であることも間違いないようだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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