J・K・ローリング氏原作の壮大な“魔法ワールド”の世界を描いた「ハリー・ポッター」と「ファンタスティック・ビースト」シリーズ。オンライン動画配信サービスHulu」では「ウィザーディング・ワールド特集」と題して、「ハリー・ポッター」全8作品と「ファンタスティック・ビースト」2作品(第1弾&第2弾)を配信中だ。今回は、そんな魔法ワールドで繰り広げられる魔法使いたちの戦いや友情、冒険の物語を描いた両シリーズを紹介する。

【写真】ハリー・ポッター役を演じる、若かりし頃のダニエル・ラドクリフ

■11歳の誕生日からはじまる、魔法と冒険の物語「ハリー・ポッター

ハリー・ポッター」シリーズは、主人公であるハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)が、11歳の誕生日にホグワーツ魔法魔術学校から入学案内の手紙を受け取ったことから物語が展開していく。

自分が魔法使いだと知らず生きてきたハリーホグワーツに入学し、ロン・ウィーズリー(ルパート・グリント)、ハーマイオニー・グレンジャー(エマ・ワトソン)と友達になる。呪文や魔法薬学、変身術など、個性的な先生にさまざまな魔法を習い、時には校則を破りながら学校生活を送る3人。そんな中でハリーたちは、かつて魔法界を支配したヴォルデモート(レイフ・ファインズ)という最大の敵に挑む姿が描かれる。

本シリーズは「ハリー・ポッターと賢者の石」(2001年公開)を皮切りに、「ハリー・ポッターと秘密の部屋」(2002年公開)、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」(2004年公開)、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(2005年公開)、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」(2007年公開)、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」(2009年公開)、「ハリー・ポッターと死の秘宝 Part1」(2010年公開)、「ハリー・ポッターと死の秘宝 Part2」(2011年公開)の全8作品を公開。10年にも及ぶ超大作となった。シリーズ累計の興行収入は1兆円以上と言われており、その人気の高さから、2023年6月には「ハリー・ポッター」の世界を体験できる屋内施設「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京‐メイキング・オブ・ハリー・ポッターがとしまえん跡地にオープンしている。

1作目の公開から20年以上経った今でも多くの人に愛され続ける同シリーズでは、ダニエルをはじめ、生徒たちはほとんどが最終シリーズまで同じキャストが務めあげた。これによってハリーたちの成長をよりリアルに感じられ、感情移入がしやすくなっている。

また、しゃべる肖像画や動く階段、空飛ぶ箒、そして魔法を使った戦闘シーンなど、大人から子供まで興奮できるシーンが盛りだくさんな点も見どころの一つ。全作品を通して、壮大なストーリーと共に“魔法の世界”にどっぷりと浸れるファンタジー映画と言えるだろう。

■摩訶不思議な魔法生物とともに強靭な敵に立ち向かう「ファンタスティック・ビースト

ハリー・ポッター」がイギリスの魔法魔術学校に通う学生を主人公にした物語であるのに対し、「ファンタスティック・ビースト」はアメリカのニューヨークに住む心優しい魔法動物学者・ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)が主人公となる。

ニュートは日本で言うところの“ムツゴロウさん”のように動物を愛する男性で、ニュートとよく一緒にいる金目のものが好きなニフラーや、鍵を開けるのが得意なボウトラックルなどはよくグッズ化されているため一度は目にしたことがある人も多いのではないだろうか。その他にもたくさんのかわいらしい魔法動物が登場し、見ているだけで癒されるのも本シリーズの魅力ポイントだ。

また、「ハリー・ポッター」は“ヴォルデモート”という強大な敵が登場するが、「ファンタスティック・ビースト」でもジョニー・デップマッツ・ミケルセン演じるゲラート・グリンデルバルドという悪役が登場する。

“歴史上最も危険な闇の魔法使いのリスト”で頂点に君臨するグリンデルバルドは、ヴォルデモートのように純血(両親が魔法使い)以外を追放しようという考えの持ち主で戦闘力も高いのだが、ヴォルデモートとの違いは、人の心に入り込み操る危うさがあるところ。

本シリーズでもグリンデルバルドが能力のある魔法使いを言葉巧みに誘い込み、自身の仲間に引き入れようとする様子が幾度となく描かれている。そして、「ハリー・ポッター」ではほとんど登場することのなかった“人間”が活躍する点も「ファンタスティック・ビースト」の見どころとなっている。

人間はイギリスでは“マグル”、アメリカでは“ノー・マジ”と呼ばれており、本作で活躍するのは人気の高いキャラクター、ジェイコブ・コワルスキー(ダン・フォグラー)だ。ジェイコブはパン屋の店主として平凡な生活を送っていたが、魔女のクイニー・ゴールドスタイン(アリソン・スドル)と恋に落ち生活が一変。始めは魔法界への戸惑いを隠しきれなかったが、徐々に受け入れ、勇敢で優しい心で幾度となくピンチを救う。少し変わり者のニュートからも信頼され、2人は良き友となる。

シリーズはまだ完結していないが、1作目「ファンタスティック・ビースト魔法使いの旅」(2016年公開)と2作目「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」(2018年公開)を通じて、ニュートたちが繰り広げる波乱万丈な冒険はもちろん、個性豊かな登場人物や魔法動物たちの活躍を楽しむことができる。

■J・K・ローリング氏が表現する「ハリポタ」と「ファンタビ」の関係性

今回紹介した「ハリー・ポッター」と「ファンタスティック・ビースト」は“同じ魔法界での出来事”を描いた作品だが、2作品の“時系列”に注目して作品を見るとより面白さを感じられておすすめだ。

まず、ハリーホグワーツへ入学したのが1991年で、ニュートが魔法動物学者として出版活動をしていたのが1927年であることから、「ファンタスティック・ビースト」は「ハリー・ポッター」より60年以上前の物語であることが分かっている。

実際に「ハリー・ポッター」で登場した人や物が「ファンタスティック・ビースト」で描かれているシーンも。例えば、作中に登場するニュートの著書『幻の動物とその生息地』はホグワーツの教科書に採用されている。これは「ハリー・ポッターと賢者の石」冒頭でホグワーツからハリーに送られた手紙の中の“必要な教科書リスト”の中に掲載されていたことで明らかになった。

また、「ハリー・ポッターと賢者の石」でハリーたちが図書館の本で見た、不老不死になれるという“賢者の石”の持ち主、ニコラス・フラメルは実際に「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」に登場している。ニコラスは賢者の石により不老不死になり、ハリーたちがホグワーツに居た1992年の時点で、なんと665歳だったそうだ。

さらに、最恐の魔法使いで悪名高いグリンデルバルドは、「ハリー・ポッターと死の秘宝 part1」にて登場する。ヴォルデモートが魔法界最強の杖と言われる“ニワトコの杖”を探し求め、グリンデルバルドが幽閉される魔法界の牢獄「ヌルメンガード」に向かい、年老いたグリンデルバルドに杖のありかを訪ねているのだ。杖について聞かれたグリンデルバルドがヴォルデモートに何と答えたのかは、ぜひ作品で確かめてほしい。

このように、両シリーズを見比べると思わぬ共通点や時系列が明らかになり、魔法ワールドの世界をより堪能することができるだろう。

「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」(字・吹)/HARRY POTTER characters, names and related indicia are trademarks of and (C) Warner Bros. Entertainment Inc. Harry Potter Publishing Rights (C) J. K. Rowling. (C) 2007 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.