最近「デコトラ」見かけないなぁ〜は正解だけど間違い! じつは増えてるけどステルス化している令和のデコトラ事情

この記事をまとめると

■デコトラを見かけなくなったという声をよく聞く

■しかしじつはデコトラは減っていない

■現在のデコトラ事情について解説する

イベントには多くのデコトラが集っている

 近年では、デコトラを見かけなくなったという声を聞くことが多くなった。仕事で使うトラックを派手に飾れる時代ではなくなったということが大きな要因だと考えられるが、なにも仕事車だけがデコトラだというわけではない。会社のトラックを飾れない、もしくはトラック以外の仕事に従事しているような愛好家たちは自家用でトラックを購入し、派手に飾り上げて楽しんでいる。

 そのような人たちは荷物を運ぶためにトラックを所有しているわけではないため、荷室内を部屋に改造し、キャピングカーや事務室車へと構造変更するケースが多い。もちろん、条件を満たせば飾ったままで公認車検を取得することも可能だ。合法改造車として認可されると堂々と街道筋を駆けることができるため、文字どおり趣味のマイカーとして活用しているのだ。

時代に合わせて進化する令和のデコトラ事情

 そのような趣味のデコトラは、イベント会場が主戦場だと言っても過言ではないだろう。全国各地で開催されている現代のデコトライベントでは、200台や300台、多ければ500台以上ものデコトラたちが集っている。デコトラの第2次ブームと呼ばれていた1980年代後半では、参加車輌が100台を切ることも珍しくなく、むしろイベントとしては一般的であった。つまりデコトラの数は減るどころか、むしろ圧倒的に増えているのだ。それゆえにデコトラの世界に精通している人であれば、デコトラが減ったとは微塵も感じていないことだろう。

シンプルなスタイルが人気を集めるように

 デコトラのスタイルも年々変化している。昭和の時代では派手さが重視されていたが、平成後期からはシンプルなスタイルが人気を集めるようになった。派手なデコレーションよりも、造りボディや燃料タンクなどの補器類にこだわるスタイルが脚光を浴びるようになったのである。そのような手法で飾られたデコトラは、一般の人からすれば地味に映る。それゆえデコトラだと認識されることも少なく、荷主や顧客を無闇に刺激することはない。派手ではなく綺麗なトラックだと受け止められることが多いため、マニアから高評価を得ることも多いのだ。もちろん、一般的なデコトラ好きにもそれなりに注目されるため、仕事車には最適な飾り方であると言えるだろう。

時代に合わせて進化する令和のデコトラ事情

『造りボディ』とは、その名のとおり特注で製作したボディのことを指す。既製品である簡素な吊るしのボディではなく、カッコよさや実用性、強度などを追究して製作したボディを載せただけでも、デコトラとして認知されている。近年では既製品を改造した、見た目だけのボディも造りボディと呼ばれているが、とにかくボディにこだわる人が増えている。ド派手に飾ったデコトラよりも多くの費用を、ボディの製作に注ぎ込むという人も少なくない。だからこそ、デコトラ愛好家たちの間では造りボディが注目されているのである。

 どんな文化にも、その世界で生きる者にしかわからないような部分が存在する。ただ、日本が産み出したデコトラ文化の火は間違いなくアツく燃え続けているということを、知ってもらいたい。しかし、無知な人が発するデコトラが減ったという言葉をその都度否定する気はさらさらない。何事も目立ちすぎると規制が強化される傾向にあるため、細々と生き抜くことが得策なのだ。そのスタイルを変えながら、進化を遂げながら。デコトラ文化は未来永劫、続いてゆくはずだ。

最近「デコトラ」見かけないなぁ〜は正解だけど間違い! じつは増えてるけどステルス化している令和のデコトラ事情