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唾液量が少なくなると口腔内に細菌が繁殖しやすくなり、口臭の原因にもなる

年末年始の暴飲暴食の後、増えすぎた体重を元に戻そうと、急激にダイエットを始める人は多い。

ところが、「急な糖質制限ダイエットをすると、汗のニオイや口臭をキツくすることがあるので、やめたほうがいいでしょう」と、注意を促すのは、幸町歯科口腔外科医院の宮本日出院長。

手っ取り早く痩せたいとお米やパン、うどんやパスタなどの炭水化物を極端に食べない「糖質制限」をすると、体から「ケトン臭」というニオイが発するという。

「体の細胞は、糖の補給が断たれると、エネルギー不足に陥ります。それを補うために、蓄えている肝臓の脂肪を分解してエネルギーに換えようとするのです。肝臓は、中性脂肪を分解して『ケトン体』という別のエネルギー源を合成し始めますが、ケトン体そのものが甘酸っぱく、果物が腐った生ごみのようなニオイなんです。

なので、そのケトン体が血液に多く含まれると、血液から作られる尿や汗がケトン体特有の甘酸っぱいニオイになってしまうのです。また、呼吸によっても排出されるので、口もケトンくさくなります」(宮本院長、以下同)

吐く息がツ〜ンとした特有のニオイになり、口が乾きやすくなるとケトーシス(ケトン体が血中に出る)状態になったサインという。そして、「口が乾きやすい」という、水分をあまり取らない冬の時季に起こりがちな症状こそ、「ドライマウス」の始まりだ。

■ドライマウスも臭い息で周りの人に不快な思いを

ドライマウスとは、口腔乾燥症といい、唾液の分泌量が少なくなり、口の中が乾燥状態になること。唾液量が少なくなると口腔内に細菌が繁殖しやすくなり、口臭の原因にもなる。

「ドライマウスの原因はさまざまあります。ストレス、薬の副作⽤、糖尿病や基礎疾患、加齢や筋⼒の低下などの⾝体的変化、口呼吸、過度な飲酒や喫煙などです。初期の段階では、口の乾きによる粘つき、食べ物がのみ込みにくい、口臭がキツくなって気になる、虫歯や歯周病になりやすいなどの症状が見られるようになります。唾液が出にくくなって細菌が繁殖すると、口のトラブルだけでなく、全身にも悪影響を及ぼしますので、注意しましょう」

糖質制限ダイエットでケトン臭くなったところに、ドライマウスのダブルパンチで、マスクを外したら口臭は生ごみどころかドブ臭くなることも!

ドライマウスを解消するために手っ取り早いのは、ガムをかんで唾液腺を刺激し、唾液の分泌量を増やすこと。

「口の中は、ものをかんだときに唾液が分泌されるようになっています。食べ物を咀嚼している間に、たくさんの唾液が分泌されて、食べ物の分解や嚥下を促進してくれるのです。ガムをかむと唾液腺からたくさんの唾液が分泌されるので、口の中の乾燥を防ぐことができ、口臭の予防になりますし、5分ガムをかむと病原体が体内に入らないように免疫力をアップさせる効果が得られるといわれています。

また、コップ1杯の水にレモン果汁を2〜3滴入れた『レモン水』を口に含んで飲むだけでも、口腔内の乾燥を防ぎ、唾液腺を刺激するので、口臭を予防できます」

糖質制限ダイエットはほどほどにし、唾液腺を刺激して、口臭とおさらばしよう!