タレントの明石家さんまさんが、自身の財産について、「(娘の)IMALUには遺さないって言ってます」と発言して話題になりました。

さんまさんは、1月4日MBS「春一番!商売繁盛」に出演し、西川きよしさんとの対談で、「もう結婚はしないんです」と打ち明けた。財産としては、自宅も別荘も車もあるが、総額は大まかな金額しかわからないそうです。

さらに、IMALUさんと息子(元妻・大竹しのぶさんの息子)の2人に財産を遺さないと発言したうえで、「面白くないじゃないですか、娘と息子の人生が。我々芸人は、明日どうしよう、と生きてきたのが楽しかった」と話しています。

独り身のさんまさんはかつて、寄付を考えていることを明らかにしたこともありますが、一般論として、実子に財産を一切遺さないことは法的に可能なのでしょうか。濵門俊也弁護士に聞きました。

●遺贈という手段

ーー財産を遺さないためには、どのような方法があるのでしょうか。

さんまさんが大竹しのぶさんの息子さんとの間で養子縁組をされているかは分かりませんので、実子であるIMALUさんとの関係を念頭に置いて解説します。

法定相続人(例えば、今回の場合はIMALUさん)に遺産を遺さない方法としては、法定相続人以外の者に対する包括遺贈の方法があります。

ただ、この場合、遺贈を受ける受遺者が遺贈者(今回の場合はさんまさん)よりも先に亡くなった場合には、遺贈の効力は生じません。また、遺贈には代襲相続のような規定もありませんので、受遺者がもらうはずであった遺産は法定相続人で分割することとなります。

包括遺贈の場合、遺贈者の積極財産(プラスの財産)も消極財産(マイナスの財産)も承継することとなります。

また、個人ではなく、非営利団体などへの遺贈という方法もあります。

遺贈の方法によりますので、法的に有効な遺言書を作成する必要があります。遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、より有効な遺言書を作成したいのであれば、公正証書遺言をお勧めします。この場合、遺言執行者を指定しておくとよいと思います。

●遺留分の放棄も相続人の意向次第では可能

ーー実の子であるIMALUさんもかつて、「父の遺産は要らない」と発言していますが、「やっぱり欲しい」と思った場合、法的には請求が可能でしょうか。

法定相続人には、最低限の遺産を確保するために、遺言の中身にかかわらず、遺産を一定割合手に入れることのできる「遺留分」がありますので、全額の遺贈という遺言だったとしても、請求することは可能です。

法定相続人に遺産を遺さないということを徹底するのであれば、遺留分侵害額請求権の行使をされないようにする必要があります。

被相続人(今回の場合、さんまさん)の生前であれば、遺留分の権利者である法定相続人の申し立てにより、家庭裁判所の許可を得て、請求権を放棄することができます。

さんまさんの場合、IMALUさんが要らないとの意向を持っているのであれば、このような方法をとることも可能です。

【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えております。依頼者の「義」にお応えします。
事務所名:東京新生法律事務所
事務所URL:https://www.hamakado-law.jp/

さんま「IMALUには財産を遺さない」、自宅も別荘も車も全部「相続ゼロ」は法的に有効?