韓国サッカー協会(KFA)は今月2日、『AFCアジアカップ カタール 2023』に臨む韓国代表メンバー26名を発表した。

 プレミアリーグで活躍するFWソン・フンミントッテナム)やFWファン・ヒチャン(ウルヴァーハンプトン)らに加え、MFイ・ガンインパリ・サンジェルマン)、DFキム・ミンジェ(バイエルン)など、欧州5大リーグのトップクラブで主軸を担う選手が多数選出されており、今大会の優勝候補の一角に挙げられている。

 ここでは、1960年の自国開催以来、16大会ぶり2度目の栄冠を目指す“アジアの虎”韓国代表のメンバー全26名を紹介したい。2011年のカタール大会以来、3大会ぶり4度目のアジア制覇を目指す日本代表にとっての“好敵手”には、どのような選手たちが名を連ねているのだろうか。

文=姜亨起(ピッチコミュニケーションズ)

◆■ゴールキーパー

GK 1 キム・スンギュ
生年月日:1990年9月30日(33歳)
身長・体重:189cm・82kg
所属クラブ:アル・シャバブ/サウジアラビア
国際Aマッチ:80試合出場(59失点)

▽韓国代表の正守護神。日本で在籍したヴィッセル神戸柏レイソルでもゴールマウスを守り、勝利を呼び込む好セーブでチームを救ってきた。2022年夏のアル・シャバブ移籍後は公式戦全試合に出場しており、大物揃いのサウジアラビアリーグで「過小評価されている選手の一人」と実力を認められている。

GK 12 ソン・ボムグン
生年月日:1997年10月15日(26歳)
身長・体重:196cm・93kg
所属クラブ:湘南ベルマーレ/日本
国際Aマッチ:1試合出場(0失点)

▽今大会の韓国代表で唯一のJリーガー。前所属の全北現代でリーグ戦4度、カップ戦2度の優勝を経験も、新たな挑戦を求めて昨年に湘南ベルマーレへ移籍。加入1年目から守護神の座を掴み、J1残留に貢献した。代表では控えGKの立ち位置だが、湘南代表としてアジアの舞台に立つ姿を見たいところだ。

GK 21 チョ・ヒョヌ
生年月日:1991年9月25日(32歳)
身長・体重:189cm・75kg
所属クラブ:蔚山現代
国際Aマッチ:24試合出場(25失点)

▽奇抜ヘアーで注目を集めた2018年ロシアW杯から早5年以上が過ぎたが、ビッグセーブを連発する抜群の反射神経は健在。Kリーグでの活躍も圧倒的で、1・2部合わせ2015年から9年連続で年間ベストイレブンに選ばれている。大の愛妻家で、右手の薬指には妻の名前のタトゥーが入っている。

◆■ディフェンダー

DF 4 キム・ミンジェ
生年月日:1996年11月15日(27歳)
身長・体重:190cm・86kg
所属クラブ:バイエルンドイツ
国際Aマッチ:56試合出場(4得点)

▽脅威の身体能力を活かした対人守備をはじめ、スピード、パスなどあらゆる面で欧州トップクラスの呼び声高い“怪物センターバック”。昨年夏に加入したバイエルンでは今や替えの利かない存在で、休みなくフル出場を続ける姿に酷使問題も叫ばれたほど。アジアカップではDFリーダーとして堅守を築き、韓国を悲願達成に導けるか。

DF 19 キム・ヨングォン
生年月日:1990年2月27日(33歳)
身長・体重:186cm・83kg
所属クラブ:蔚山現代
国際Aマッチ:104試合出場(7得点)

▽安定した守備力はもちろん、左足の正確なフィードで攻撃の起点にもなるベテランDF。W杯3大会出場など国際経験も豊富で、2023年のKリーグでは年間MVPにも輝いた。今大会ではCBの3番手が濃厚だが、ベンチにいるだけで心強い存在なのは間違いない。

DF 24 キム・ジュソン
生年月日:2000年12月12日(23歳)
身長・体重:186m・76kg
所属クラブ:FCソウル
国際Aマッチ:2試合出場(0得点)

Kリーグの名門FCソウルのユース育ちで、現在もトップチームで主力を務める左利きのCB。2022年7月のE-1選手権以降はしばらくA代表から遠ざかったが、クリンスマン監督就任以降から再び招集を受け、アジアカップの一員にも入った。バックアップの域を出るには至らないが、今大会で飛躍のきっかけをつかめるか。

DF 25 キム・ジス
生年月日:2004年12月24日(19歳)
身長・体重:189cm・82kg
所属クラブ:ブレントフォードイングランド
国際Aマッチ:出場歴なし

指揮官が「韓国サッカーの未来を担う一人」と期待を寄せるチーム最年少の19歳。昨年のU-20W杯に飛び級で出場すると、韓国をベスト4に導く活躍で注目を集め、瞬く間に欧州へと羽ばたいた。恵まれた体格や読みの鋭さなどで“第2のキム・ミンジェ”と呼ばれる。

DF 3 キム・ジンス
生年月日:1992年6月13日(31歳)
身長・体重:177cm・68kg
所属クラブ:全北現代モータース
国際Aマッチ:69試合出場(2得点)

▽果敢なオーバーラップで攻撃を活性化する左サイドバック。ピンポイントのクロスで好機を演出するだけでなく、チャンスがあれば自らシュートを狙う積極性も十分。身長は高くないがヘディングが強く、ロングスローという武器もある。アルビレックス新潟に在籍した経験から現在も日本語は堪能だ。

DF 23 キム・テファン
生年月日:1989年7月24日(34歳)
身長・体重:177cm・72kg
所属クラブ:蔚山現代
国際Aマッチ:24試合出場(0得点)

▽チーム最年長の34歳にして、自身初のアジアカップに挑む右サイドバック。驚異のスピードを持つことから「チーター」の愛称で呼ばれ、ゴール前に放る高速クロスも魅力だ。血の気の多い性格で知られるが、家庭では2人の子どもを持つ父親であり、韓国国内でカフェを経営する一面も持つ。 

DF 16 パク・ジンソプ
生年月日:1995年10月23日(28歳)
身長・体重:182cm・75kg
所属クラブ:全北現代モータース
国際Aマッチ:1試合出場(0得点)

▽まさに“シンデレラストーリー”を地で行く苦労人だ。大学からのプロ入りが叶わず、入団テストに合格して3部相当のセミプロへ。その後2部、1部とカテゴリーを上げると、昨年11月に負傷者の代替でA代表デビューを果たし、今大会の26人に滑り込んだ。アンカーとセンターバックの両方こなすポリバレントさでチームを支える。

DF 22 ソル・ヨンウ
生年月日:1998年12月5日(25歳)
身長・体重:180cm・72kg
所属クラブ:蔚山現代
国際Aマッチ:8試合出場(0得点)

▽右サイドバックが主戦場だが、左サイドバックやセンターバックでもプレー可能。2023年のKリーグ年間ベストイレブンに輝くなど、世代交代が叫ばれる韓国代表サイドバック陣で頭角を現している。蔚山出身で、地元の小・中・高・大を経て蔚山でプロデビューした生粋の“蔚山っ子”。端正な顔立ちで韓国の女性ファンから絶大な人気を誇る。

DF 2 イ・キジェ
生年月日:1991年7月9日(32歳)
身長・体重:176cm・68kg
所属クラブ:水原三星ブルーウィング
国際Aマッチ:12試合出場(0得点)

▽かつて清水エスパルスでプロの世界に飛び込んだベテラン左サイドバックが、初めてA代表の国際大会に挑む。所属先ではシーズン終盤の2カ月出場がなく、一部からは今回の選出に疑問の声も。左足から放つ高精度のキックを武器に、周囲の懸念を払拭する活躍を見せられるか。

DF 15 チョン・スンヒョン
生年月日:1994年4月3日(29歳)
身長・体重:188cm・74kg
所属クラブ:蔚山現代
国際Aマッチ:20試合出場(1得点)

▽過去にはサガン鳥栖鹿島アントラーズにも在籍した闘志溢れるファイター。国際大会は2018年ロシアW杯と2019年アジアカップを経験も、いずれも出場なし。現体制では指揮官の信頼を得て主力の座を得ただけに、キム・ミンジェとのCBコンビで安定した守備を見せたい。

◆■ミッドフィールダー

MF 14 ムン・ソンミン
生年月日:1992年6月9日(31歳)
身長・体重:172cm・68kg
所属クラブ:全北現代モータース
国際Aマッチ:16試合出場(2得点)

▽小回りの利くドリブルで相手を翻弄する俊敏なサイドアタッカー。途中出場から試合の流れを変える意外性の持ち主で、今大会でもジョーカー起用が濃厚。得点後に披露する独特のゴールパフォーマンス「管制塔ダンス」は韓国の人気インターネット配信者のダンスが由来。Kリーグの年間最優秀セレモニー賞も受賞した。

MF 5 パク・ヨンウ
生年月日:1993年9月10日(30歳)
身長・体重:186cm・79kg
所属クラブ:アル・アインUAE
国際Aマッチ:8試合出場(0得点)

▽2016年リオ五輪経験者ながらA代表と縁のないキャリアを歩んでいたが、クリンスマン監督に見出され30歳で初招集。長身を活かした空中戦の強さはもちろん、的確なインターセプトで相手のチャンスの芽を摘む。サッカー選手ながらチャンギ(韓国の将棋)が強く、同僚から「将棋の神」と絶賛されたこともある。

MF 7 ソン・フンミン
生年月日:1992年7月8日(31歳)
身長・体重:183cm・78kg
所属クラブ:トッテナムイングランド
国際Aマッチ:117試合出場(41得点)

▽アジアを代表する欧州最高峰の絶対的エース。トッテナムでも今季から腕章を託され、プレミアリーグ史上7人目の8季連続二桁得点を達成した。初出場の2011年大会当時はチーム最年少の18歳だった。自身通算4度目のアジアカップとなる今大会、キャプテンとして韓国をアジアNo.1の座へとけん引する。

MF 26 ヤン・ヒョンジュン
生年月日:2002年5月25日(21歳)
身長・体重:179cm・73kg
所属クラブ:セルティックスコットランド
国際Aマッチ:1試合出場

▽爆発的なスピードとキレのあるドリブルが持ち味の新進気鋭のウィンガー。昨年9月のウェールズ代表戦でA代表デビューした後、11月の北中米W杯アジア2次予選ではメンバーを外れたが、クリンスマン監督が将来への期待も込めて26人に選出。ポテンシャルは十分なだけに、指揮官をも驚かすサプライズとなれるか。

MF 18 イ・ガンイン
生年月日:2001年2月19日(22歳)
身長・体重:174cm・72kg
所属クラブ:パリ・サンジェルマンフランス
国際Aマッチ:19試合出場(4得点)

フランス王者PSGの一員としてプレーする“韓国の至宝”。2022年カタールW杯ではスーパーサブ的存在だったが、現体制で不動の主力に。卓越した技術とパスセンスで攻撃の起点となる。6歳で出演したサッカー番組で“神童”と脚光。コーチ役を務めた元Jリーガーのユ・サンチョルさんを今も師匠と慕う。

MF 13 イ・スンミン
生年月日:1994年5月22日(29歳)
身長・体重:178cm・73kg
所属クラブ:光州FC
国際Aマッチ:4試合出場(0得点)

▽A代表デビューは昨年9月のウェールズ代表戦。昇格組ながら3位入賞、クラブ初のACL出場権を獲得した光州FCの主力としての活躍を評価され、代表の座を勝ち取った。選手生活の傍らラッパーとしても活動しており、昨年2月には実際にアルバムもリリース。Kリーグ年間表彰式でステージを披露するなど、音楽のセンスにも秀でている。

MF 10 イ・ジェソン
生年月日:1992年8月10日(31歳)
身長・体重:180cm・70kg
所属クラブ:マインツドイツ
国際Aマッチ:78試合出場(10得点)

アジアカップ2大会連続で韓国代表の背番号10番を担う。無尽蔵にピッチを駆け回り、攻守のバランスを取るプレースタイルは「パク・チソンを彷彿とさせる」との評価も。丁寧なファンサービスに定評があり、過去にはドイツまで観戦に訪れたファンを自宅に招待したこともある。

MF 8 ホン・ヒョンソク
生年月日:1999年6月16日(24歳)
身長・体重:175cm・66kg
所属クラブ:KAAヘント/ベルギー
国際Aマッチ:5試合出場(0得点)

▽左足の正確なキック、広い視野、献身的な守備などすべて平均以上にこなす中盤のユーティリティ。イ・ガンインやチョン・ウヨンら同世代の陰に隠れた存在だったが、昨年6月の初選出からA代表に定着している。前所属のLASKリンツでは中村敬斗、現在のKAAヘントでは渡辺剛らとチームメイトであり、日本人選手との縁も深い。

MF 6 ファン・インボム
生年月日:1996年9月20日(27歳)
身長・体重:177cm・70kg
所属クラブ:ツルヴェナ・ズヴェズダ/セルビア
国際Aマッチ:50試合出場(5得点)

▽2018年に22歳でA代表デビュー。パウロ・ベント前監督の下で徹底的に重用される寵愛ぶりに初めは批判もあったが、抜群のパスセンスと豊富な運動量で今や中盤で欠かせない存在となった。Kリーグでプロデビュー以降、米MLSロシアギリシャセルビアと渡り歩く独特のキャリアにも注目だ。

MF 11 ファン・ヒチャン
生年月日:1996年1月26日(27歳)
身長・体重:177cm・77kg
所属クラブ:ウルヴァーハンプトン/イングランド
国際Aマッチ:60試合出場(12得点)

▽猪突的な突破でゴール前に切れ込む勇猛果敢なアタッカー。今季プレミアリーグでソンに続くアジア人史上2人目の二桁得点を達成するなど、イングランドで開花した得点力を代表の舞台でも期待したい。ペップ・グアルディオラ監督がファン・ヒチャンを“コリアン・ガイ”の名で称賛したことで、ウルブスファンの間で愛称として定着している。

◆■フォワード

FW 20 オ・ヒョンギュ
生年月日:2001年4月12日(22歳)
身長・体重:183cm・72kg
所属クラブ:セルティックスコットランド
国際Aマッチ:8試合出場(0得点)

セルティック古橋亨梧定位置を争う本格派ストライカー。欧州の屈強なDFにも負けないフィジカルを武器に、今大会で待望のA代表初得点を決めたいところ。常に右手首を覆うテーピングは軍隊チーム時代に練習で同部位を痛めた名残。巻き始めた後の試合で活躍できたことから、現在も“ルーティン”として毎試合欠かさず続けている。

FW 17 チョン・ウヨン
生年月日:1999年9月20日(24歳)
身長・体重:180cm・70kg
所属クラブ:シュトゥットガルトドイツ
国際Aマッチ:16試合出場(3得点)

▽スピードとスタミナが自慢のシュトゥットガルトの10番。昨年行われた第19回アジア競技大会では7試合8ゴールで得点王に輝いた。京都や磐田、神戸に在籍した元Jリーガーをはじめ同姓同名の人物が多く、プロ野球選手やK-POPアイドルにも「チョン・ウヨン」がいる。

FW 9 チョ・ギュソン
生年月日:1998年1月25日(25歳)
身長・体重:189cm・82kg
所属クラブ:FCミッティラン/デンマーク
国際Aマッチ:31試合出場(8得点)

▽2022年カタールW杯で “イケメンすぎる9番”と注目を集めた長身FW。その甘いルックスで、女性ファッション雑誌の表紙を飾ったこともある。所属するミッティランでは10番を背負い、リーグ戦16試合8ゴールで得点ランク3位を走る好調ぶり。自身の名を上げた“幸運の地”で再びインパクトを残せるか。

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