植田正治《カコ》1949(昭和24)年 島根県立美術館蔵

 

塩谷定好《児女と静物(其の二)》 1932(昭和7)年 島根県立美術館蔵

 島根県美術館では、植田正治生誕110年記念「植田正治と塩谷定好」を開催いたします。山陰に生まれ、山陰で生涯を送り、山陰を舞台に写真を撮り続けて、国際的な評価を浴びた写真家・植田正治(1913-2000)と塩谷定好(1899-1988)。今年度は植田正治生誕110年記念の年となります。
 写真をはじめたばかりの若き日の植田にとって、写真雑誌の月例題賞で全国1位になるなど目覚しい活躍をする塩谷定好は、神様のような存在でした。山陰の海辺や村々、素朴な人々と子供たちの笑顔、こよなくこの地を愛したふたりの作家ならではの作品群は、見る者の心に染みていきます。
 掲載した2点の作品は、植田と塩谷、それぞれの娘を撮影したものです。日本の芸術写真を代表する塩谷とモダニスムを代表する植田。身近な被写体を愛情込めて映し出すふたりの巨匠の作品を、出雲神話の地を写した作品も含め約 100 点ご紹介します。

                  

  • 開催概要

展覧会名/植田正治生誕110年記念「植田正治と塩谷定好」
会期/2024年1月18日(木)~4月15日(月)
休館日/火曜日
観覧料/一般300円、大学生200円、高校生以下無料
会場/島根県美術館 展示室4
開館時間/【1・2月】10:00~18:30 【3・4月】10:00~日没後30分(展示室への入場は閉館時刻の30分前まで)

  • 美術講座

講師/蔦谷典子(当館主任学芸員/本展企画者)
日時/2024年2月24日(土)14:00~(13:30開場/約90分)
会場/島根県美術館 ホール(190席/当日先着順)
演題/「植田正治生誕110年記念 植田正治と塩谷定好」(仮)
聴講無料

  • みどころ

1.植田正治も塩谷定好も、生涯山陰で暮らし、山陰を舞台に作品を制作しました。山や海、心あたたかな人々など、私たちにとっても身近な風物が、実に豊かな作品となってその良さを再発見させてくれます。

2.絵のような写真「芸術写真」が一世を風靡した大正末から昭和初期、その代表となる写真家が塩谷定好でした。塩谷に憧れ、写真の道を歩んだ植田正治も、この芸術写真から出発しています。その後、次世代の「モダン・フォトグラフィ」へと没頭していくこととなるのです。

同じモティーフを撮影しても、ふたりの共通しているところと、異なるところを比較して、お楽しみください。

3.ふたりの写真家が、出雲神話の地を撮影した写真を展観します。植田正治の《出雲》《松江》

は、特別出品いただいた作品で、初めての展観となります。

  • 展覧会構成

植田正治《妻のいる砂丘風景》 1950年(昭和25)年 島根県立美術館蔵     モデルは、植田の妻・紀枝(のりえ)
塩谷定好《肖像》1925(大正14)年  島根県立美術館蔵   モデルは、塩谷の妻・貞子(さだこ)

第一章 家族の肖像

 植田正治も、塩谷定好も身近な生活のなかの心情を大切にしました。日々の暮らしで触れ合う家族や近所の人々、海や山などの自然を、こよなく愛して写真にしました。家族の肖像からは、その愛情が伝わってきます。

 ふたりの属した「日本光画協会」は、この身近な生活感情を重視する作風を特色としていました。両者は後年までも、そうした作品を作り続けています。

植田正治《メンズ・ビギのためのファッション写真》1986(昭和61)年頃 島根県立美術館蔵

塩谷定好《海辺の小景》1928(昭和3)年  島根県立美術館蔵

第二章 海辺の光景

 空と海と砂浜。その広がりは、花曇りの日に写すと、均質な淡いグレーの写真に仕上がります。砂浜は、遠近感を失わせます。遠くの人は小さく見えますが、その距離を感じさせないのです。その砂のマジックを使って、植田も塩谷も名作を生み出しています。

 美しい海辺の続く山陰。その自然の舞台を生かして数々の写真を映し出してきました。

植田正治《飯梨川》1965(昭和40)年頃 島根県立美術館蔵

塩谷定好《海岸小景》1925(大正14)年  島根県立美術館蔵   島根半島小波で撮影

第三章 出雲神話の地

 出雲の地には、古代の神話が息づいています。山河に、地名の由来に、農耕生活の風習に、『出雲風土記』に語られた出雲神話の名残が残るこの地を、二人の写真家は映し出しています。とりわけ、植田正治は、出雲をライフワークと考え、くまなく巡っていきました。

 今回、特別出品として、植田正治の《出雲》《松江》を展観します。

※画像を掲載される際は必ずキャプションを付けてください。

配信元企業:島根県

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