どろんこ会グループ全園で実施している性教育の様子

 どろんこ会グループ(本社:東京都渋谷区/理事長:安永愛香)は2022年度に続き2023年度も、どろんこ会グループで働くスタッフ約2000名、およびどろんこ会グループの施設をご利用いただいている約6000家庭を対象に、「性教育意識調査」を実施しました。

 どろんこ会グループでは2004年から毎年、就学前の年長児に「性教育(生命の教育)」を行ってきました。文部科学省も「生命(いのち)の安全教育」を本格化させ性教育が注目される中、教える側の大人の教育の現状を探るべく、スタッフに対しては「園児の性的行動に関する実体験と性教育の学習ニーズについて」、ご家庭には「性教育に関する学習ニーズについて」を調査いたしました。

まとめ

1.園児の性的な行動を見たことが「ある」と回答した保育従事者は約70%

2.保育中に園児からプライベートゾーンを触られたことが「ある」と回答した保育従事者は約70%

3.保育士として働く前に、養成校で乳幼児期の性教育に関する学びを「受けていない」、あるいは「分からない」と回答した保育従事者は約70%

4.働き始めてから「幼児期の性教育を学んでおけばよかった」と思った保育従事者は約85%

5.性教育を受けたことが「ない」「分からない」と回答した保護者のうち、性教育を「受けておけばよかった・受けたかった」と回答した方が約80%

6.保護者が性教育を受けておきたかった時期として最多の回答は「乳幼児期(0~5歳児)」

7.家庭で性の話をする場合、保護者が事前に学んでおきたいこととしては「男女の体の違い、発育や発達についての知識や伝え方」、「プライベートゾーンやプライベートパーツの伝え方」、次いで「自分や相手の体・命の大切さの伝え方」、「自分の体の守り方」が多数を占めた

1. 保育従事者への性教育に関する学習ニーズ意識調査結果

【調査概要】

■調査期間:2023年8月1日~2023年8月31日

■調査機関:どろんこ会グループ Doronko LABO※1(自社調査)

■調査方法:PCやスマホなどからアクセス可能なアンケートフォーム

■調査対象者:どろんこ会グループの保育園、発達支援つむぎ、学童保育室、放課後等デイサービスに勤務する保育士・保育補助スタッフ※2

■回答者数:638人(女性91.5%、男性6.9%、無回答1.6%/20代39.2%、30代19.3%、40代17.4%、50代16.1%、60代以上7.8%、10代0.2%/保育士90.0%※、保育補助10.0%)

※1 Doronko LABOは、どろんこ会グループの調査・研究部門です。商標登録出願中です。

※2 保育士として勤務、または心理や作業療法士などの専門士として勤務し保育士資格も有するスタッフ

園児からの「性」に関する質問を受けたことがあるのは半数以下

 「園児から『性』や『生殖』に関する質問をされたことがありますか?」(例:女の子と男の子の体はどうして違うの?赤ちゃんはどうやって生まれるの?)の質問に対し、保育従事者の56.1%が「ない」、40.8%が「ある」と回答しました。


一方で園児の「性的な行動」を目にしたことがあるスタッフは70%近くに

 続けて「園児の性的な行動(性器タッチや友達同士で見せ合い、自慰行為など)を目にしたことはありますか?」の質問に対し、「ある」と回答したのは68.0%、「ない」と回答したのは29.5%でした。


園児からプライベートゾーンを触られたことのある保育従事者は70%以上

 また、「園児からプライベートゾーン(胸やおしりなど)を触られる、触ろうとされるなどの行為を受けたことがありますか?」の質問には、「ある」と回答した保育従事者が71.2%、「ない」と回答したのは26.3%でした。


保育士になる前の実習中にもプライベートゾーンを触られた経験が

 「園児からプライベートゾーンを触られる・触ろうとされるなどの行為を初めて受けたのはいつですか?」と尋ねたところ、保育士になってからが85.9%と多数を占めますが、保育士になる前の実習中にもそういった行為を受けていたことが分かりました。


保育士養成校での学びの機会が限られている

 「保育士養成校で、乳幼児期の性教育に関することは教えてもらいましたか?」の質問には、「該当する科目・講義がなかった」が44.4%、「分からない」が22.9%と半数以上を占め、「該当する科目・講義があり、教えてもらった」が13.5%、「該当する科目・講義はなかったが独学で学んだ」が7.4%でした。


保育士になる前に「性教育を学んでおけばよかった」は85%超

 さらに「実習後や働き始めてから『乳幼児期の性教育を学んでおけばよかった』と思ったことはありましたか?」の質問には「ある」が85.4%を占めました。


 幼児期は、自分や他者の体、男女の体の違いにも気づき、「なぜ?どうなっているの?」との興味から言葉に出す、自分や友達の体を触るなどの性的な行動で確かめたくなる時期です。今回の調査により、園児の性的な行動を目にした、自身がその行動の対象となった保育従事者が70%以上いることから、保育園で幼児期に正しい「性」の知識を学ぶ機会を創り、自分や他者の命、体を大切に思う気持ちを育む包括的性教育が行うことが重要であると再認識いたしました。また、保育を学ぶ学生が実習中に園児から体を触られるなどの行為を受けていたことも明らかになりました。養成校では性教育について学ぶ機会がほとんどなく、対応に困った経験が、実習後や保育士になった後の「性教育を学んでおけばよかった」というニーズにつながっていると思われます。

 2023年4月1日より適用された「保育士による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」においても、保育士による児童生徒性暴力等を防止するため、養成校での指導や、保育実習の事前指導等の授業において理解を深めるための取り組みが求められています。どろんこ会グループは20年近くに及ぶ保育現場での性教育の実践とスタッフ研修のノウハウを生かし、保育士養成校での学びにも積極的に協力していきたいと考えております。

2.保護者への性教育に関する学習ニーズ意識調査結果

【調査概要】

■調査期間:2023年8月1日~2023年8月31日

■調査機関:どろんこ会グループ Doronko LABO(自社調査)

■調査方法:PCやスマホなどからアクセス可能なアンケートフォーム

■調査対象者:どろんこ会グループの保育園、発達支援つむぎ、学童保育室、放課後等デイサービスをご利用の保護者様(東京都埼玉県神奈川県千葉県茨城県福岡県宮城県福島県沖縄県新潟県兵庫県群馬県在住)

■有効回答者数:3176人(母親86.5%、父親13.2%、親族0.3%/20代7.1%、30代63.2%、40代28.6%、50代0.9%、60代以上0.2%/利用しているお子様の性別:男54.6%、女44.4%、無回答0.9%)

「性教育を受けておけばよかった・受けたかった」という保護者80%以上

 「これまで保護者様ご自身が性教育を受けたことはありますか?」という質問に対し、「はい」と回答した方が73.6%、「いいえ」「分からない」と回答した方が26.4%でした。


 「分からない」「いいえ」と回答された方に、「性教育を受けておけばよかった・受けたかったとの思いをお持ちですか?」と質問したところ、83.9%の方が「はい」と回答しました。


性教育を受けておきたかったのは「乳幼児期」が最多数

 さらに「性教育を受けておけばよかった・受けたかったとの思いをお持ちですか?」の質問で「はい」と回答された方に、「いつごろ受けたかったですか?」と尋ねたところ、「乳幼児期(0~5歳児)」が45.9%、「小学生」が42.9%と低年齢を示唆する回答が多くを占めました。


 「性教育を受けておけばよかった・受けたかったとの思いをお持ちですか?」の質問に「はい」と回答された方に、「どのような性教育を受けたかったですか?」(複数回答可)と続けたところ、「プライベートゾーンやプライベートパーツについて」が78.0%、「男女の体の違い、発達や発育について」が75.1%となりました。


家庭での性教育は「どう教えたらよいのか分からない」

 「現在、ご家庭で性教育は実施していますか? 」と質問したところ、「必要だと思うが実施はしていない」が51.7%、「実施している」が28.0%、実施していないが20.3%という結果となりました。


 上記回答の中でも「実施していない」を選択した理由については、以下に一部抜粋して紹介します。年齢や言語理解の問題もあれば、「どうしたらよいのか分からない」というとまどいや悩みを寄せる回答が多く見られました。

  • 幼児期から信頼できる人から伝えることが大切と思っているから。ただ忙しいこともあり伝えることがごく一部の内容しかできていないことが課題(子どもの興味、理解のレベルに合わせないといけないため)。

  • どう教えたらよいか分からない。

  • 正解が分からない・・・恥ずかしい気持ちもある。

  • まだ言葉も明確でない2歳児に何をどうやればよいのか分からないため。

  • 大切だから、清潔にするんだよ。くらいしか説明できていない。導入を間違えて、変な伝わり方をしたらいやなので、なかなかハードルが高く感じる。

学びたいのは基本的知識の伝え方から自分の体の守り方まで

 「ご家庭での性教育やお子さまと性について話をする場合、事前にどのようなことを学んでおきたいですか?」(複数回答可)と尋ねたところ、「男女の体の違い、発育や発達についての知識や伝え方」が70.7%、「プライベートゾーンやプライベートパーツの伝え方」が70.5%、次いで「自分や相手の体・命の大切さの伝え方」67.4%、「自分の体の守り方」67.1%を選ぶ方が多かったことが分かりました。


 その理由として挙げられた意見を一部ご紹介します。

  • 私自身知らないことがたくさんあるから、一からちゃんと学んで何を伝えるべきかを考えたい。

  • 積極的に性教育が実施されなかった世代なので、正しい情報を学んでおきたい。

  • 選択肢のほとんどを選んだが、自分の認識しているものと今の世の中で伝えるべきことの差を確認したいため。またそれぞれの伝え方の表現の幅を広げたいため。

  • 全て必要なことだと思うから またLGBTQについては、子ども自身がもし悩んだ時に周りにすぐ打ち明けられる環境を作っておきたい。

  • 権利やジェンダー等については自身の学びが不十分。中途半端や不十分な内容を教えても理解の不一致や本人の納得につながらないと考えるため。

  • 身体の違いや赤ちゃんの産まれる過程は誰もが疑問に思うことがある事柄なので、聞かれたら適切に答えられるようにしたい。 あとは犯罪に巻き込まれないように自衛もできるようになってほしいので。

 今回のアンケート調査を通じ、保護者の方の中にも性教育に対するとまどいや迷いも見られるものの、昨今の子どもへの性犯罪の増加を受けてのご不安も感じられ、乳幼児期の性教育の重要性や、正しい情報を求めているという姿が浮き彫りとなりました。

 どろんこ会グループではこうした保護者様の学習ニーズも踏まえ、今後の性教育に関する講座開催や子育て支援に生かしていきたいと考えております。

近年、自治体や保育事業者、学校からも「乳幼児期の性教育」について講演や研修のご依頼を多数いただいております。ご興味をお持ちの方はぜひこちらよりお問い合わせください。⇒お問い合わせフォーム

(参考記事1)

札幌市保育所職員研修会「幼児期からの性教育」を受託 北千住どろんこ保育園の宮澤施設長が登壇

(参考記事2)

どろんこ会の性教育を福岡で! 春日市人権男女共同参画課主催の性教育講座に北千住どろんこ保育園施設長が登壇

どろんこ会グループ各園での性教育実施についてー現場取材も可能です

 どろんこ会グループでは毎年全園で12月から1月にかけて、就学を控えた5歳児に2日間にわたり性教育の時間を設けています。


【1日目】体の不思議と大切さ

・「木製人体パズル」を使って女の子と男の子の体の違いを知る

・パネルを使って「プライベートゾーンの大切さ」を伝える

・「プライベートゾーン」は「人に見せるものではなく、『見せて』と言われたら

『いやだ』と言わなければいけないところ」と教える

【2日目】大きくなった喜び ・命の誕生

・絵本を使って受精から出産の「命の誕生」を教える

・紙に針で開けた小さな穴をすかして、「卵子」の大きさを知る

・1 カ月から 10 カ月まで、実際の胎児のサイズ・重さを模した人形を使

い、お腹の中で赤ちゃんが育つ様子を知る

 保育現場での取材も承っております。下記までお問い合わせください。

リリースはこちらでもご覧いただけます

https://www.doronko.jp/action/20240111a/

どろんこ会グループ どろんこ会グループ(社会福祉法人どろんこ会、株式会社ゴーエスト、株式会社日本福祉総合研究所、株式会社南魚沼生産組合、株式会社Doronko Agri)は全国約160箇所に認可保育園、認証保育所、事業所内・院内保育所、学童保育室、地域子育て支援センター、児童発達支援センター、児童発達支援事業所、放課後等デイサービス、就労継続支援B型事業所などを運営。次代を担う子どもたちの「にんげん力」を育む体験型保育・自然保育を行う。幼児期の性教育や男性保育士比率の高さなど、各種メディアでもその取り組みが紹介されている。
1998年設立。職員数約2200人。施設利用者数約9100人(2023年3月時点)
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