【家電コンサルのお得な話・161】旧耐震基準で建てられた木造住宅は、地震の被害を受けやすいといわれている。そのため、これらの住宅を対象にした耐震改修工事に補助金を出している自治体も多い。「木造住宅耐震改修補助制度」を紹介しよう。

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●寝屋川市は、前年の合計所得699万円以下が対象に



 まず最初に、この度の令和6年能登半島地震により被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。被災された皆様の生活が一日も早く平穏に復することをお祈り申し上げます。

 今回紹介する「木造住宅耐震改修補助制度」は、例えば寝屋川市大阪府)の場合、木造住宅の対象は「昭和56年1981年5月31日以前に建築された木造住宅」となっている。

 こうした旧耐震基準の木造住宅に対し、耐震改修計画の策定に要する費用(耐震設計)および耐震改修工事に要する費用の一部を補助してくれる(図1参照)。

 ただ、寝屋川市の場合は、耐震設計は、耐震改修補助とあわせて補助が受けられるものであり、耐震設計のみの申請はできない。

 また、補助対象者には所得制限があり、(1)木造住宅を所有する個人、(2)前年の合計所得が699万円以下、(3)木造住宅の固定資産税および都市計画税を滞納していないこと――が挙げられている。


●「代理受領制度」で初期費用の負担を軽減



 次に補助金の内容について、耐震設計補助は、耐震改修計画の策定に要する費用のうち10分の7(上限10万円)となっている。当該耐震改修計画に基づく耐震改修の補助手続きが、申請した年度末までに完了することが必要で、耐震改修計画を策定した後に交付申請をする場合、耐震設計補助を受けることができない(耐震改修補助のみの申請となる)。

 耐震改修補助は、耐震改修工事に要する費用または90万円のうちいずれか低い額(長屋または共同住宅は1戸あたり90万円として算出して得た額。ただし1住戸が狭小なものについては問い合わせが必要)となっている。また、構造耐力上の評点向上に直接つながらない増築工事、リフォーム工事等の工事費用は対象外である。この他にも複数の条件が示されている。

 さらに、建物所有者が耐震設計・改修を行う事業者に補助金の受領を委任し、事業者が代わりに補助金を受領する「代理受領制度」もあるので、耐震設計・改修費用を事業者に支払う際の初期費用の負担を軽減することができる。

 以上が寝屋川市の例だが、木造住宅耐震改修補助制度は各自治体共に募集期間が設定されている。今年度は終了していても、毎年予算計上している自治体も多い。

 耐震改修工事には、ある程度まとまった費用が掛かる(図2参照)。また制度の内容などが自治体によって違うため、まずは制度の有無や内容・詳細を居住する自治体に確認していただければと思う。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。
補助金対象の木造住宅(出典:大阪府寝屋川市)