富裕層がさらに資産を増したいと考えたとき、どのような投資をすれば良いと思いますか? ひとくちに『投資』といっても投資対象には様々なものがありますが、専門家は「富裕層が有利な不動産投資がおすすめ」といいます。その理由をみていきましょう。

富裕層が「不動産」に投資すべき理由

【リスクとリターンによる投資の分類】

1.ハイリスク・ハイリターンの投資:株式投資、FX、先物、仮想通貨

2.ローリスク・ローリターンの投資:預貯金、保険、債券

3.ミドルリスク・ミドルリターンの投資:不動産

ハイリスク・ハイリターンの代名詞である株式投資は投資対象企業の株価が1年で10倍に大化けすることもあれば、逆に投資対象企業が倒産して投資資金がゼロになることがあるなど価格変動が大きく、また、リアルタイムの情報を得やすいプロの機関投資家と情報弱者である素人(個人)が同じ土俵で戦うこともり、勝ち残れる個人はせいぜい2~3割程度といわれるほど難易度が高い。FX、先物、仮想通貨も同様に難易度が高いといわれている。

一方、ローリスク・ローリターンに分類されている預貯金、保険、債券は、難易度は低いもののリターンが低く面白みに欠けることが多い。たとえば、メガバンクの普通預金の金利は年0.001%程度であるし、10年間の定期預金に預けても年0.2%程度のリターンしかないのが現実だ。保険、債券についても商品によって異なるが、確実性が高いものほどリターンが少なく、インフレが進行し貨幣価値が目減りし続けている現状を考えると心許ないと感じても仕方がない面がある。

そこで筆者は富裕層にはミドルリスク・ミドルリターンである不動産投資をおすすめしたい。不動産はインフレに連動して価格が上昇する特性を持っており、インフレに強い投資対象である。また、不動産投資は株式投資ほど派手な値動きはないものの、不動産価格の波は読みやすく、概ね10年程度の周期で上げ下げを繰り返す傾向があり、予想が立てやすい。しかも不動産投資(大家業)は入居者から家賃を貰いながら保有できるので、予想に反して不動産価格が下落したとしても10年も保有すれば家賃収入でかなりの投資資金を回収できるし、その間に不動産市況の反転も期待できるのだ。

また、不動産投資は不動産の相場に詳しい専門家の意見を参考にすることで勝てる可能性が飛躍的に高くなるのも良い点だ。

富裕層の不動産投資…一般投資家とはスタートラインが違う

想像してほしい。あなたがもし不動産の売主で資金繰りに困っており、相場より安くても良いから1日でも早く売却して現金を得たい場合、どのような買主を探すだろうか。現金で確実に買ってくれて、意思決定が早い富裕層に購入してもらいたいはずだ。不動産投資では一般的な投資家は銀行の融資を利用することが多いが、銀行の融資審査には少なくとも数週間かかり、融資が下りるかどうかも不確実なので、本当に格安な不動産情報は現金購入が可能な富裕層に真っ先に集まってくる。賢い富裕層はこのような格安物件を即時に購入して富を増やしている。ここに富裕層の圧倒的な優位性が認められる。

筆者のように不動産仲介業を営んでいると、どう考えても格安だと思われる不動産に出合うことがあるので、富裕層としては常にアンテナを広げて旬な情報を得られるようにすることが大事である。

また、仮に不動産投資で銀行融資を利用する場合でも、銀行が要求してくる金利は投資家の属性(資金力)によって大きく異なる。

たとえば現預金が潤沢にあって10億円の不動産を購入しても資金力にまったく問題がない超富裕層の場合、銀行が貸出先としてほぼノーリスクだと判断し、年0.1~0.2%程度の金利で融資してくれる可能性がある。銀行としてもこの程度の金利では殆ど儲けが出ないものの、超富裕層を囲い込んで今後のビジネスに繋ぎたいという意図があるのだ。これに対し、標準的な属性(資金力)の投資家だと年1~2%程度、属性(資金力)があまり良くない投資家だと年5%以上の高金利で借りているケースも散見される。

ゴルフというスポーツは、上手なプレイヤーが上手でないプレイヤーにハンディキャップを与えてレベルの違う者同士でも一緒に楽しめるスポーツであるが、不動産投資はゴルフとは真逆で、資金力がある富裕層が圧倒的に有利なゲームである。

たとえば、徒競走で一般的な投資家は100m走る必要があるのに富裕層は30mも手前からスタートすることが認められ、残り70mを走ればゴールできるのだ。足の速さが同じなら確実に富裕層が勝つ。つまり、格安な不動産情報が集まるスピードや銀行金利など、富裕層と一般的な投資家ではスタートラインがそもそも異なるので不動産投資は富裕層がさらに豊かになる可能性が高いゲームなのだ。これほど富裕層に有利な投資対象は他にはないと思われ、富裕層にとってこの特性を利用しない手はないと考える。