東京消防庁能登半島地震への対応として「即応対処部隊」を石川県に派遣しました。この「即応対処部隊」とは一体どういった役目を持つ隊なのでしょうか。

2020年2月に創設された部隊

東京消防庁は2024年1月9日令和6年能登半島地震への対応として「即応対処部隊」を含む隊員133名を石川県に派遣しました。

東京消防庁では2024年1月2日から継続して消防援助隊を派遣していますが、9日の派遣で、ほかの隊員とはわけて発表されていた即応対処部隊とはどのような部隊なのでしょうか。実は、今後の支援活動を行うのに重要な役割を持っている部隊なのです。

即応対処部隊は2020年2月1日に新設され、約40名の隊員で構成されています。主な役割は、インフラが寸断され、要救助者や支援を求める人がいる現場まで急行することが難しい、大規模災害への対応となっています。

ひとえに即応対処部隊といっても、「即応情報隊」と「即応救助隊」の2隊で構成されます。即応情報隊は、ドローンや資機材を使用し、災害の実態をいち早く把握して活動を円滑にすることを、即応救助隊は災害現場の最前線で活動し要救助者を救出することを主任務としています。

様々な特殊装備を保有!

即応対処部隊は情報収集にしても救助活動にしても、インフラが機能せず、普通の消防車や救急車が現場に入れない状態の現場で行うことから、使用している車両も特殊です。悪路での走破性が高い放水車である「活動型」や、人員の搬送に使われる「搬送型」車両とともに、ベース車両としてメルセデス・ベンツのU5023、通称「ウニモグ」が使用されています。

また、「ウニモグ」でも入ることのできない不整地での走行には、「全地形活動車」と呼ばれる米ポラリス製のオフロードバギーレンジャー」が使用されています。

即応対処部隊のポラリスレンジャー」は、重機搬送車に積載して現場近くまで運び、現場では初動の救助のほか、どこに救護所や指揮所を設置するかといった情報収集も行うようです。全長296cm×全幅152cmと小ぶりで、重量も1.4tと身軽です。

ぬかるみでもタイヤが空転せず、駆動力を伝えるデフロックも装備。かなりの悪路走破性を誇っており、2021年7月に発生した「熱海市伊豆山土石流災害」では、車両進入が困難なガレキやぬかるんだ急こう配を駆けあがり情報収集を行ったそうです。

タイヤでは走行できないような悪路では、クローラーキャタピラ)に換えることで、さらに走破性を高めることができます。現場では基本的に2台でチームを組んで活動していますが、これは、どちらか1台がスタックなどのトラブルに見舞われた場合もウインチなどで脱出を助けられるからです。

ほかにも即応対処部隊は、プロペラの排風を利用し航行し、ガレキの浮遊する水域や浅瀬でも航行可能なエアボートや、艇体に硬質ウレタンを注入しパンクしにくくしているウレタンボートなど、多種多様な装備を保有しています。

東京消防庁「即応対処部隊」の訓練で使用されるポラリス「レンジャー」(画像:東京消防庁)。