バスク2大クラブによる民族の祭典が今週末に迫るなか、“バスクダービー”の注目選手であるアスレティック・ビルバオのFWゴルカ・グルセタが胸中を明かした。11日、スペイン紙『アス』が伝えている。

 アスレティック・ビルバオが待ち続けたアリツ・アドゥリスの“後継者”は、回り道のキャリアを歩んだ果てについに現れた。ここまで、チーム最多タイの8得点を記録しているゴルカ・グルセタだ。1996年9月12日生まれの現在27歳は、アスレティック・ビルバオのカンテラ出身だが、トップチームでは芽が出ずに一度退団した過去を持っている。それでも、サバデル(当時2部)とアモレビエタ(2部)で結果を残したことで昨夏に復帰。そして今シーズン、すでにラ・リーガでのキャリアハイを更新する活躍を見せ、チャンピオンズリーグ圏内の4位躍進の原動力に。また、ピチーチ賞争いでトップと5ゴール差の8位、サラ賞争いでは、トップと4ゴール差の4位につけている。

 シュートセンスを武器に“エリア内”で強さを発揮するグルセタだが、今シーズンは中盤やサイドでもボールを受けるなど、新しいプレースタイルも覗かせている。「僕の目標はどんなときも、戻ってきてアスレティックのフォワードになることだった」と不退転の決意を固めていたように、グルセタは「エルネスト(・バルベルデ監督)と一緒にここに到着してから、僕はこの地位を獲得しようとしてきた。少しずつ、ストライカーの証であるゴールを決めながら、そこにいれるように努力している」と告白。

 続けて、「典型的なボックスストライカーと違うこともできるんだ。ボールを受けて、オイアン(・サンセト)や中盤に寄ったり、パスを出したり、サポートしたりね。こうするときは、試合に参加していると感じるよ。だから、フィニッシュに絡むときにより集中できている」と努力が実を結んでいることを語った。

 そんなグルセタにとっても、“バスクダービー”は特別なもののようだ。なにを隠そう、グルセタ家はフットボール一族で、実父は1990年代前半にレアル・ソシエダに在籍したシャビエル・グルセタ氏、実弟のホン・グルセタもかつてアスレティック・ビルバオのカンテラに在籍していた。また、グルセタの出生地はレアル・ソシエダの“お膝元”サン・セバスチャンで、周囲の友人はレアル・ソシエダのファンという。同選手は「僕の友人たちはラ・レアルのファンだから、(応援している)チームの勝利を望んでいるよ。もちろん、仲間はとてもいいヤツらだし、試合を観戦しにも来る。それで試合後には、僕も一緒に行くから、(僕らの)勝利を祝した静かなパーティーを開こうかな」と皮肉。反対に「家族は、僕が勝つことを望んでいるんだ。いずれにせよ、どちらのファンにとっても、どちらのクラブにとっても重要な試合。1年で最も美しい試合のひとつだよ」と去来する思いを明かしている。

 アドゥリスの後継者、ピチーチ・サラ賞の候補者、元レアル・ソシエダ選手の実子と、現地時間13日の“バスクダービー”の前に脚光を浴びるグルセタは、どのような活躍を見せてくれるのだろうか。

“バスク・ダービー”に対する思いを語ったFWゴルカ・グルセタ [写真]=Getty Images