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劇場アニメ傷物語 -こよみヴァンプ-」の公開記念舞台挨拶が、本日1月13日に東京の新宿バルト9で開催。阿良々木暦役の神谷浩史キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード役の坂本真綾が登壇した。

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傷物語」は西尾維新の小説「化物語」の前日譚で、〈物語〉シリーズの原点となる作品。「I鉄血篇」「II熱血篇」「III冷血篇」の全3部作が、今から8年前の2016年にアニメ化された。昨日1月12日に公開された「傷物語 -こよみヴァンプ-」は総集編として、3部作を新たに再構成されている。作品ロゴが金色であることから、会場のステージ上には巨大な金屏風が。盛大な拍手に迎えられて登場した神谷と坂本は金屏風に驚き、「まさか神谷さんと一緒に金屏風の前に立つとは……」「ちょっと恥ずかしい」と口にした。

2016年に「I鉄血篇」が公開されてから8年。改めて1本の映画として再構成するという企画を聞いたときの心境として神谷は「単純にうれしかったですよ。『傷物語』を見やすい形で1本化して、劇場で観られるということで。映画館ってその作品を楽しむためだけの非常に贅沢な空間ですから、もう1回劇場で観られることはうれしかったですね」と語る。坂本は「この作品ってスクリーンで観るために生まれた映像なので、それがもう1度観られるのはうれしいです。(「III冷血篇」の公開から)コロナなどいろんなことがあって年月が経ってしまって制作が進まない時期があったんですけど、時間が経ったことによって一度作品をご覧になった方でも改めて作品を見直すいいブランクになったと思いますし、初めて観る人にもいい機会になったのではと思います」と考えを語った。

3部作を再構成するにあたって、一部パートでは再び収録が行われたという。収録の感想を問われた坂本は、収録は新型コロナウイルスの感染拡大前に終了していたと説明し「『傷物語』は私にとってキスショットの大切なシーンが多くてがんばった作品なんです。だから、やりきったと思っていたところで『もう1回やれ』って言われて、しんどい……!って(笑)」と赤裸々に明かす。続けて坂本は「私たちの仕事って収録なので何度でも録り直せるでしょって思われるかもしれないですが、生放送と同じ緊張感でやっているんです。『傷物語』もそのときの気迫とか緊迫感をトレースしつつも、もう一度初めて出会った出来事のように演じることが私にとっては大変でした。だからずっと神谷さんに『ねえ、これもう1回やるのやだ。大変大変』ってブーブー言っていました」と振り返った。

神谷は普段「物語」シリーズの収録の際には原作小説と台本を照らし合わせる時間を取っているといい、「今回はその2冊に加えて過去の『傷物語』の台本も用意して、今回カットされたところや変更された箇所をチェックしていました。カットされている以上、つながらない部分も出てくるので他の箇所の『このセリフはいらないのでは?』という点を話し合ったりしましたね」と回想。また神谷は先日開催された「ANIPLEX 20th Anniversary Event -THANX-」の「化物語」ステージに出演しており、「イベント内で『傷物語』の冒頭を上映したんですがお客さんのリアクションがすごかったので、うれしかったですね。制作が進まない時期もあったんですが、公開がこのタイミングでよかったんじゃないかと思っています」とコメントした。

収録当時印象に残っている、共演者たちの演技について、坂本は堀江由衣演じる羽川翼にある思いを抱いたという。坂本は「羽川、かわいくない……?って。『傷物語』って羽川の話じゃない?って嫉妬しました。由衣ちゃんが完成された羽川としてそこに存在している姿に圧倒されました」と心の内を明かす。神谷は「(忍野)メメがめちゃくちゃカッコいいんですよね。本当に役がずるい。あと(大塚)芳忠さんが演じるギロチンカッターとのバトルシーンが終わったあとに、芳忠さんに握手を求められました。やりきった感じで『おつかれ!』って。初めてだよ、芳忠さんと握手したの」と思い起こした。

初めて「傷物語」を観る人に楽しんでもらいたいポイントは?という質問に、神谷は「全部ですよ! すべてを楽しんでほしい」とアピールし「尾石達也監督が人生の何分の1かを費やして制作した渾身のフィルムなので、そのひと言に尽きます。ぼく個人としては原作のニュアンスを大切にさせていただきました。キスショットと邂逅して理解し合い、反目してバッドエンドで終わっていく物語なんですが、彼女を助ける場面で血を吸わせる際に、原作には『人間の尊厳を持って』と書かれているんです。その覚悟が決まっているような表現ができていればいいなと思って演じていました」と語る。坂本は「『物語』シリーズはこれだけ長い年月いろんな方に観ていただいて、どこから観ていいかわからないと思うんですが、そんな方がまず『傷物語』を選んでくださるとしたら大正解、とお伝えしたいです。シリーズの入口としては、最高のもの。どんどん沼にはまっていただければ、みんながしてやったりと思います」とコメントした。

改めて「物語」シリーズの魅力をひと言で説明したいとリクエストされた2人。神谷は「ひと言でまとめると青春怪異小説の原点であり古典になる作品」と説明し、坂本は少し考えたのち「『物語』シリーズと神谷さんの存在は一心同体。だから“神谷浩史”じゃないですか。この人がいたからここまで来た」と答える。神谷は「今目の前のマスコミがすごい勢いでキーを叩いてる! やめてほしい!(笑)」と照れていた。

最後に坂本は「これだけ多くの方に長年愛される作品に携われて幸運だなと思います。これからもキスショットや忍を演じることがあれば1つひとつ大事にやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします」と挨拶。神谷はこれから作品を鑑賞するファンに「すごくうらやましいなっていう気持ちがあります。劇場は作品を楽しむだけの贅沢な空間ですから、最初から最後まで見逃すことなく作品の世界観にどっぷり浸かってほしいですね。日常生活ではない心の動かされ方をするので、それが皆さんの栄養になるはず。たくさん栄養をとって健康になって、何回でも劇場に足を運んでくれるとうれしいです」とコメントし、ステージをあとにした。

「傷物語 -こよみヴァンプ-」

2024年1月12日(金)全国ロードショー

スタッフ

原作:西尾維新傷物語」(講談社BOX
監督・脚本:尾石達也
キャラクターデザイン:守岡英行
音響監督:鶴岡陽太
音楽:神前暁
アニメーション制作:シャフト
配給:アニプレックス

キャスト

阿良々木暦神谷浩史
キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード坂本真綾
羽川翼堀江由衣
忍野メメ櫻井孝宏
エピソード:入野自由
ドラマツルギー江原正士
ギロチンカッター大塚芳忠

(c)西尾維新講談社アニプレックスシャフト

「傷物語 -こよみヴァンプ-」公開記念舞台挨拶の様子。左から神谷浩史、坂本真綾。