タイでMGがジワジワ存在感を増している! トレンドを察知して瞬時に動く中国メーカーの「らしさ」

この記事をまとめると

■タイ国際モーターエキスポではBEVの出展が目立った

■BYDが圧倒的に売れているなかで、MGのEVもタイでは支持されている

■最近のタイではステーションワゴンが人気で、MGのEPというモデルが注目されている

タイではBYDがアッという間に広まった

 タイにおけるBEV(バッテリー電気自動車)は、2019年に上海汽車系のMGからZS EVがデビューし、これに続く形で本格的に中国系メーカー各社がBEVをメインに相次いでタイ市場に参入。2023年11月末から12月上旬にかけて開催されたタイ国際モーターエキスポ(バンコク・モーター・エキスポ)では、7つのブランドがブースを構えていた。

会場で人集りが起きていたのが意外にもMGのBEVステーションワゴンだった

 そのなか、2022年秋ごろから本格進出を始めたBYD(比亜迪汽車)は、あっという間に中国系BEV車というか、タイにおけるBEV車全体のなかで販売トップブランドとなった。中国系メディアの報道によると、2023年9月単月におけるタイ国内での車名別BEV販売ランキングでは、トップはドルフィン(1621台)、次いでアット3(1610台)と、1位、2位がBYDとなった。

会場で人集りが起きていたのが意外にもMGのBEVステーションワゴンだった

 3位のNETA(哪叱汽車)に対してアット3の販売台数は約2倍となり、ランキングだけではなく販売台数でもライバルに差をつけることとなった。

 BYDのラインアップがまだドルフィン、アット3、シールの3モデルのみとなっているのに対し、タイにおける中国系BEV販売のパイオニアとなるMGは、ランキングベスト10に4台もランクインさせるほど多彩なラインアップで存在感を示している。とくに2023年5月に発売したラグジュアリー大型BEVミニバンとなるマクサス9の販売が好調に推移している。

MGはタイでかなりの存在感がある

 ただし、前述した販売ランキングにおけるMG車の最高位はEP(513台販売)というモデルになる。EPは、中国国内では上海汽車のブランドのひとつ、ロエベ(栄威)にEi5 という車名で、中国国内では2017年にデビューしており、タイ国内では2020年にデビューしている。EPはこのEi5の初期モデルとなる。中国国内では2021年にフェイスリフトを実施しているようで、このモデルはタイ国内ではMG ESとの車名でラインアップされている。

会場で人集りが起きていたのが意外にもMGのBEVステーションワゴンだった

 EPの登場は、単にBEVというだけではない部分で多くのタイの人に注目されたと筆者は見ている。それは、いままでタイにはほぼ存在していなかったステーションワゴンスタイルを採用しているところにあり、これが注目された理由のひとつだろう。はっきりいって、モデルとしてはかなり古い部類に入るのだが、ショー会場に展示されていると意外なほど展示車に人が集まっている。

 バンコク市内で定点観測していると、EPが走っている姿をすぐに目撃することができる。EPについては、ライドシェアドライバーが購入する際に負担が軽くなるといった特典が用意されているので、ライドシェア車両として使われていることも、街なかで多く目にする理由となるのかもしれないが、よく見ると、一般ユーザーの使用らしきものも目立つ。価格は99万8000バーツ(約400万円)となっている。

会場で人集りが起きていたのが意外にもMGのBEVステーションワゴンだった

 BEVではないのだが、インドネシアの首都ジャカルタで開催されたGIIAS(ガイキンド・インドネシア国際オートショー2023)では、BMWがM3ツーリング、アウディがRS4アバントを展示していた。

 バンコク・モーター・エキスポでもRS4アバントが展示されていた。ちなみにスバルインドネシアやタイでアウトバックを販売している。どうも最近、東南アジアでは感度の良い富裕層を中心にステーションワゴンが流行っているように見える。MGもこのトレンドを見てEPやESを導入したかは定かではないが、注目を浴びているのは間違いない。

会場で人集りが起きていたのが意外にもMGのBEVステーションワゴンだった

 単にBEVを市場導入するだけではなく、参入した市場のトレンドを敏感にキャッチして対応するあたりは、腰が軽くレスポンスのいい中国メーカーらしいなあと感じた。

会場で人集りが起きていたのが意外にもMGのBEVステーションワゴンだった

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