韓国代表にも名を連ねるウォン・テイン。彼はメジャーリーグではなくNPBへの挑戦を公言し続けている。(C)Getty Images

 今オフは山本由伸(→ドジャース)、今永昇太(→カブス)、松井裕樹(→パドレス)、上沢直之(→レイズ)たち日本人選手が相次いでメジャーリーグ移籍を決めた。サムライたちが“最高峰”の夢舞台に挑んだように、お隣の韓国でもイ・ジョンフ(→ジャイアンツ)とコ・ウソク(→パドレス)が移籍。小さくない話題となった。

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 球界の顔と言える存在が相次いでメジャー移籍を決める。そんな時代にあって「日本へ行きたい」と公言するのが、KBO韓国プロ野球)の古豪サムスンライオンズに所属するウォン・テインだ。同国で「未来のエース」と嘱望される23歳は、日本移籍を望むのか。

 2019年にドラフト1位でサムスン入りしたウォン・テインは、KBO実働5年で132試合に投げ、通算41勝40敗2ホールドを記録。昨春に行われたワールド・ベースボール・クラシックにも名を連ね、国内での声価を高めてきた。

 無論、メジャーへの憧れがゼロというわけではないだろう。それでも彼が「日本球界のドアを叩いてみたい」と訴えるのは、日本人の“恩師”との出会いがあったからに他ならない。韓国メディア『X Sports News』の取材に応じた23歳は、現在中日2軍で投手兼育成コーチを務める落合英二氏の名を口にした。

 落合氏は現役引退後にサムスンで指導者として研鑽を積んでいた。2010年から2年間は投手コーチとして、2018年から約3年間は投手コーチと二軍監督を歴任。プロ入り間もないウォン・テインも薫陶を受けていたのである。

 落合氏について「落合さんと3年間一緒に野球をして、日本についても色々聞きました。本当に色々と教えてもらい、僕の夢はさらに大きくなった」と回顧。そのうえで「ただ、あの時の落合さんは僕に『今の実力では日本には来られないよ』と厳しい言葉もくれた」と日本行きの憧れをより強くさせたメッセージを振り返っている。

「落合さんは『お前のポテンシャルなら、日本でも十分にやれる。本当に日本のプロ野球に期待なら、慢心せずに努力を続け、どこでも成長できる選手になりなさい』と話してくれた。チームを去る時に挨拶をした時も『俺はお前の目標を知っているから、たくさんの助けを与えた。とにかく一生懸命やりなさい』と言ってくれたんです。だから、僕は今も毎日最善を尽くしている」

 現役時代には中日で14年間のキャリアを築いた落合氏。日本球界の厳しさを熟知する指導者の言葉を励みとするウォン・テインは、「今の僕は韓国でも1番になれないことは分かっている。だからさらに成長しなければならない。ここでより良い選手になって“資格”を得た時に行きたい」と上を向いた。

 いつかウォン・テインが日本に移籍する日は訪れるのか。その時には国の垣根を越えた師弟関係が、より興味深いものになりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「お前なら、日本でも十分にやれる」――日本球界移籍を熱望する“韓国未来のエース”と中日OBの垣根を越えた師弟関係