わずか400mほどの直線道路に「止まれ」の標識が計14か所--異様な「止まれ」連続地帯が群馬県に存在します。なぜここまで「止まれ」を設置する必要があるのでしょうか。

なぜ住宅地に珍スポットができた?

群馬県大泉町は、人口の19%をブラジルやペルーを中心とした南米出身の人が占めることから「日本のブラジル」ともいわれます。そんな街の大通りから外れた住宅街に、奇妙な道が存在します。

それは、わずか400mほどの直線道路に「止まれ」の標識が計14か所。異様なほどの「止まれ」連続地帯です。

現地では、一直線に「止まれ」の標識が林立しており、その間隔は約30mに1本といったところ。碁盤の目状に形成された住宅区画の中央部分にある道路で、連続する十字路の一つ一つに「止まれ」の標識が立っている形です。

通常、こうした場合は交互に優先道路となるため、「止まれ」標識が密集することはありません。しかしこの道路の場合、交わる道路が全て優先道路となっているため、交差する度に停止しなければならないのです。

こうなった理由は、かつて周辺で交通事故が頻発したことにあるようです。

この道路の周りは大きな県道に取り囲まれていて、スーパーを中心とした商業施設や町役場、中学校といった公共施設、さらに大企業の工場などもあり、大小様々なクルマがひっきりなしに走っています。

そのため県道の抜け道としてこの道を使う人も多かったようで、地区の自治会長が事故防止のため一時停止の「止まれ」道路標識を設置するよう要請したところ、すべての十字路ごとに「止まれ」の標識が立ったそうです。

取材中、この道路を通りかかったクルマも確認できましたが、30mに1回、ちゃんと一時停止をしていたため、制限速度の30km/hも出せていなかった様子でした。

大泉町にある止まれ連続道路(斎藤雅道撮影)。