生放送にはハプニングやアクシデントがつきものだが、先日、南米エクアドルでカルテル(犯罪組織)のリーダーの脱獄後にテレビスタジオが覆面の武装集団に襲撃され、生中継されるという非常事態が発生した。
それにより局のスタッフ2人が負傷したが、警察はスタジオを襲撃した犯人13人全員を逮捕したという。
Footage shows armed gang storming studio live on Ecuadorian TV station
この物騒な事件は、エクアドル最大規模の犯罪組織(カルテル)「ロス・チョネロス・ギャング」のリーダー、アドルフォ・フィト・マシアス(44歳)が、最高警備施設に移送されるはずだった1月7日に行方不明になったことが発端だ。
エクアドル政府は、悪名高いギャングのマシアスがグアヤキルにある刑務所の独房から姿を消した後の9日、2番目に規模の大きい犯罪組織「ロスロボス」のファブリシオ・コロン・ピコが脱獄したことを発表した。
マシアスとピコの脱獄に関連があるのかどうかは、今のところ不明だ。
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8日、ダニエル・ノボア大統領(36歳)は街頭に軍隊を出動させるよう命じ、2件の非常事態を受けた政府は60日間におよぶ非常事態宣言を市民に発令した。
そして9日、政府からの宣戦布告を受けたギャング集団がテレビ局を襲撃する事態が発生した。
テレビ中継中にスタジオが襲撃される
9日、仮面をかぶった武装集団が、公共テレビ局TCの生放送スタジオに放送中に押し入り、スタッフを脅迫して手首を縛ると床に押し倒した。
カルテルの複数の凶悪犯によってテレビ局が占拠された他、大学が襲撃され、刑務所の看守は処刑された。
スタジオの生中継では、銃を持った男の1人が人質の1人の頭にポンプアクション式ショットガンを向け、リボルバーで脅す映像が映し出された。
一方、スタジオのどこかから「撃たないで、お願いだから撃たないで!」と叫んで懇願する女性の声が聞こえていて、明らかに苦痛を訴える叫び声も聞こえていた。
Armed Men Storm Ecuador TV Station During Live Broadcast
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AFP通信によると、TV局の職員はSNSでAFP通信にこのようなヘルプのメッセージを送ってきたそうだ。
お願いです、彼らは私たちを殺しに来たのです。神様、こんなことを起こさせないでください。犯罪者が中継されています。
恐ろしい状況が30分ほど生中継された後、警察が撮影現場に突入した。
この襲撃でカメラマン1人が足を撃たれ、もう1人は腕を骨折し、合計2名の負傷者がスタジオスタッフから出たが、最終的に警察はテレビ局を襲ったカルテル13人全員を逮捕したという。
Ecuador TV Station hostage situation suspects arrested
9日、テレビスタジオ襲撃という数日間に及ぶ暴力を受けたノボア大統領は、国内で活動する20の麻薬密売組織を「テロリスト集団」として宣言し、エクアドル軍に国際人道法の範囲内でこれらの集団を無力化する権限を与えた。
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エクアドルは世界有数のバナナ輸出国であり、石油、コーヒー、ココア、エビ、魚介類も輸出している。
アンデス山脈にあるエクアドルでは、刑務所の内外で暴力事件が急増し、アメリカやヨーロッパへのコカインルートの支配権をめぐって国内外の麻薬カルテルが争っている。
麻薬密売、殺人、組織犯罪の罪で有罪判決を受けたマシアスは、グアヤキル港のラ・リージョナル刑務所で34年の刑に服していたが、ギャングのリーダーは刑務所の中にいてもなお外社会を支配することができると考えられている。
脱獄となればなおさら油断はならない。エクアドルでは8日以降、少なくとも10人が死亡しているそうだ。
テレビスタジオで起きた事件が、刑務所から失踪したマシアスと直接の関係があるかどうかは、現時点では不明だという。
References:TV studio stormed by masked gunmen live on air after gang leader escapes jail/ written by Scarlet / edited by parumo
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