地球の中心部では定期的に不思議な揺らぎが起きているようだ。そこにある内核(コア)が8.5年ごとに自転軸を中心にぐらついているらしいのだ。
中国、武漢大学の研究チームによると、このぐらつきは、内核とマントルのわずかなズレによって引き起こされている可能性が高い。
地球の自転についての従来の説では、その2つは一致していると考えられてきた。だが『Nature Communications』(2023年12月8日付)に掲載された研究では、それをくつがえす結果が出ている。
今回判明した内核の傾きは、やがて液体コアの形や運動を変化させ、地磁気を左右する可能性もあるそうだ。
地上からおよそ2900キロの地下、地球の中心部にあるのが「コア(核)」だ。主に金属で構成されたそれは2重構造となっており、液体でできた「外核」と、固体でできた「内核」がある。
地中の奥深くにあるが、地球の物理活動に関係しているため、1日の長さから地磁気までさまざまな現象を左右しており、その意味で私たちの生活と密接につながっている。
このコアの内部構造をもっと理解するため、2019年、武漢大学のディン・ハオ氏らは、地球の地殻に対する自転軸の動き(「極運動」という)を調べてみた。
そして判明したのが、およそ8.5年ごとに極運動にわずかなズレが起きているということだ。どうも、コマ(回転するあのコマだ)の軸の揺れにも似た「内核のぐらつき」があるらしいのだ。
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内核とマントルの傾きがズレている
そして今回発表された最新の研究では、自転軸の周期的な動きに起因して生じる1日の長さのわずかな変化を測定することで、前回の研究結果の正しさを再確認している。
それによると、内核のぐらつきは、内核とマントル(核の外側にある層)の傾きに0.17度のズレがあることが原因であるようだ。
従来、内核とマントルの自転軸は一致していると考えられていたが、それをくつがえす発見であるという。
ではなぜ内核とマントルの傾きはズレているのか?
研究チームは、内核の北西半球側の密度がほかの部分より層よりもわずかに高いことが原因と考えている。そして、ここからは内核と外核にも密度の違いがあるだろうことが示唆されるのだそうだ。
この発見は、固体の内核と液体の外核に含まれる金属の組成の違いを知るヒントになる。
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さらには、地震から磁場の変化にいたるまで、地球の内核と私たちの暮らしとの関わりを理解する手助けもしてくれるとのことだ。
References:Inner core static tilt inferred from intradecadal oscillation in the Earth’s rotation | Nature Communications / Earth's core wobbles every 8.5 years, new study suggests | Space / written by hiroching / edited by / parumo
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