サッカー界において徐々に知名度を高めている森保監督。その能力は海外メディアでも高く評価されている。(C)Getty Images

 サムライブルーの快進撃が止まらない。ドイツトルコと言った欧州の列強国とも対峙した直近9戦で無敗(9勝0敗)。34得点・5失点と圧倒的な結果(※アジアカップ開幕前時点まで)を残している。

 史上最強の呼び声もあり、日進月歩で進化を続けるサッカー日本代表を支えるのが、森保一監督だ。22年のカタールワールドカップ(W杯)後に延長契約にサインした指揮官の手腕は賞賛に値すると言えよう。

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 サンフレッチェ広島時代に3度のJリーグ制覇を経験。日本国内では知られてはいたが、世界的な知名度は決して高くなかった。そうしたなかでカタールW杯スペインドイツを打ち破るなど一大フィーバーを起こし、2018年から50勝9分14敗と確かな実績を残してきた森保監督の存在は一気に注目を集めた。

 では、今後に海外クラブで、森保監督が指揮を執る可能性はあり得るのか。ヨーロッパにも大きなネットワークを誇る米メディア『The Athletic』は「日本のモリヤスらアジアの監督たちは、欧州でのビッグチャンスをいつ掴むのか」という特集記事を掲載。57歳の日本人指揮官のポテンシャルを分析している。

 まず、同メディアは、森保監督の現況について「アジアカップでの大惨事がなければ、2026年ワールドカップも指揮をし、日本の男子代表を2大会連続で率いた初の監督となる。彼は日本において歴代最高監督であると強く主張できる」と指摘。「モリヤスは多くの教え子たちと同じようなキャリアを歩むことができるのだろうか?」と疑問を投げかけた。

「日本は便利なケーススタディに過ぎない。なぜ、カンボジアモンゴルのトップ監督がブンデスリーガラ・リーガで仕事を得られないのかと問うのは軽率だが、日本はどうか? アジアカップのメンバーリストを見れば、ヨーロッパの国々に匹敵する部分は多くある。そんなチームを率いるモリヤスは、たとえ一発勝負であっても、ヨーロッパの名将たちと渡り合えることをすでに証明している。なぜ彼が候補にならないのだろうか?」

 さらに同メディアは、「ヨーロッパから見る日本サッカーへの不信感を克服するには、今以上に強い個性が必要だ」と強調。「なぜヨーロッパで監督候補にならないのか」という疑問を払拭するための解決法を論じている。

「ヨーロッパのほとんどの監督たち、少なくとも成功している人間たちは、単なる監督ではなく、自らのPRマシーンでもある。日本サッカーを注視している人たちは、これがモリヤスにとっても、そのほかの日本の指導者たち全般にとっても、もうひとつの壁になると見ている」

「ヨーロッパのチームにとって、日本人選手を獲得するよりも、日本人監督を起用する方がはるかにハードルは高い。海外でのプレー経験もないモリヤスにとって、チャンスは限られたままになる。ヨーロッパの国々を打ち破ってきた彼の洞察力をもってしても、欧州サッカー界に参入する障壁は、まだまだ難攻不落に思える」

 現在、多くの選手がヨーロッパに羽ばたき、挑戦を続けている日本サッカー界。森保監督が国外クラブで指揮を執る可能性は現実的と言えないが、いつの日かヨーロッパのクラブで采配を振るう人物が出てくる日は訪れるだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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