詳細画像はこちら

新型Eクラス(セダン/ステーションワゴン)発表

メルセデス・ベンツは、同社の中核モデルである新型Eクラス(セダン/ステーションワゴン)を発表し、全国のメルセデス・ベンツ正規販売店ネットワークを通じて予約注文受付を開始すると発表した。なお発売開始は2月を予定する。

【画像】新型となったメルセデス・ベンツEクラスの写真をみる 全138枚

メルセデス・ベンツEクラスは、世界で累計1600万台以上の販売台数を誇る同社の中核をなすモデルであり、1946年に発表されたW136型以来、常に時代に先駆けて革新的な技術を採り入れ、世界のプレミアムセダンの指標とされてきたと述べた。

詳細画像はこちら
メルセデス・ベンツ新型Eクラス・セダン/ステーションワゴン

新型Eクラスは、パワートレインを全てのモデルで電動化するとともに、ナッパレザーで仕立てた高級感のある内装に加え、センターディスプレイと助手席ディスプレイを一体型にしたMBUXスーパースクリーンや、サードパーティ製のアプリケーションも使うことができる最新世代のMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)など、機能性と快適性を大きく向上し、デザインを一新して生まれ変ったとアナウンスされた。

現在発表されているラインナップとメーカー希望小売価格(税込)はセダンであるE200アバンギャルドが894万円/E220dアバンギャルドが921万円/E350eスポーツ・エディション・スターが988万円。ワゴンはE200ステーションワゴン・アバンギャルドが928万円/E220dステーションワゴン・アバンギャルドが955万円となる。

新型のエクステリアは?

エクステリアデザイン

新型Eクラスは伝統と先進性を融合したクルマであり、Eクラスの長年にわたる歩みを受け継ぐ一方、新たなエクステリアを採用することで、メルセデス電気自動車前衛的なトレンドセッターとの間をつなぐ架け橋のような存在となるという。

新型Eクラスのエクステリアデザインは、短いフロントオーバーハングと長いボンネット、そしてグリーンハウスは大きく後退させた。ホイールベースが2960mmと先代モデルより20mm拡大されたこともあり、キャビンはゆったりとしたサイズとなったと発表された。

詳細画像はこちら
メルセデス・ベンツ新型Eクラス・セダン/ステーションワゴン

また、このメルセデスの伝統的なセダンの「キャブバックワード」デザインに続くリアは、均整の取れたオーバーハングを備えており、ボンネットにはアクセントとしてパワードームが設けられているほか、流れるようなCピラーダイナミックな効果をもたらす。

フロントのヘッドライトとフロントグリルをつなぐブラックパネルに似た部分は、ハイグロスブラック仕上げで、メルセデス電気自動車を想起させるデザインだという。3Dデザインのフロントグリルは、中央のスリーポインテッドスターがグリルに一体化している。

シングルルーバーや周囲を縁取るクロームサラウンドなどが特徴的なデザインとなり、イルミネーテッドラジエーターグリルをE350 eにオプション設定している。サイドライトの機能を拡張したもので、夜間や夕暮れなどでラジエーターグリルが白く光る。上下2本のファイバーバンドルは細いガラス繊維1000本以上で構成されているという。

サイドビューは、調和の取れたプロポーションと特徴的なキャブバックワードデザインを採用。メルセデス・ベンツのラグジュアリーモデルに採用されている格納型のドアハンドルを採用した。キーを持った人が近づくことによって、ボディ面から自動でせり出すこのドアハンドルは、通常時はボディ面に格納されており、シンプルでクリーンな面を際立たせる。

万が一の事故の場合などには自動でせり出すことで、従来どおり、強い力で外部から引っ張り、ドアを開けることができる安全性も継承されていると述べた。

サイドを別々に走る2本のキャラクターラインは、新型Eクラスのスポーティ性を強調するデザインで、精巧にデザインされた曲面形状の効果を最大限に引き出すとされる。デザインチームは「センシュアル・ピュリティ(官能的純粋)」のデザイン基本思想を踏まえ、独特な光の戯れを演出する立体的で彫刻のような造形を生み出したと語る。

なお、クロームトリムは控えめに、そしてスタイリッシュに配置され、リアで特徴的な部分として、ツーピース型LEDリアコンビネーションランプが挙げられる。デイデザイン/ナイトデザインのいずれも、スリーポインテッドスターのモチーフが採用された特別なデザインとなる。

左右のリアコンビネーションランプは中央でつながったデザインによりワイドなリアエンドを強調し、リアエッジ部のクロームトリムも同様の効果をもたらすものであると付け加えた。

新型のインテリアは?

インテリアデザイン

新型Eクラスのインテリアは、大きなトリムパネルがダッシュボード中央まで伸びている。外観上独立しているセンターディスプレイは、このトリムのくぼんだ表面上に浮かんでいるように見える。

全モデルにオプション設定の「MBUXスーパースクリーン」(助手席一体型ディスプレイ)を搭載している場合、大型ガラス面がセンターから助手席まで広がるデザインとなり、カバーガラスは輪郭がダイナミックにデザインされた。ガラス面の上側の輪郭に沿ってエアアウトレットの細長いノズルバンドが納められており、キャビン中央と左右両脇のエアアウトレットをつないで一体化されている。

詳細画像はこちら
メルセデス・ベンツ新型Eクラス・セダン/ステーションワゴン

センターコンソールダッシュボード下部まで直線的に伸びて融合する。前部は、カップホルダーを備えたカバー付きの小物入れが立体形状のトリムに一体化され、後部にはパッド入りアームレストが設けられており、その下の小物入れにはUSBポートが設置された。

ドアセンターパネルが曲面を描きながら滑らかに流れ込むドアアームレストは、グラブハンドルやドアを閉めるグリップともなるほか、パワーウインドウのスイッチが配置された。もう1つのハイライトとなっているのが、宙に浮いているように見えるスイッチパネルで、ここにはドアレバーとパワーシートの操作スイッチが組み込まれているという。

シートの座面とバックレストの表面の形状は内側から外側へと優美に流れ、そのレイヤーデザインのためにシートの本体から浮いているように見える。縦方向のラインが外側の輪郭に沿って伸び、上に向けて幅を増すデザインだ。

ここで室内デザイナーが連想したのは、貝殻の有機的な美しさであり、E200/E220 dに標準設定のレザー・アルティコ仕様では、シートは各パネルに精緻な縦方向のうねを形作る仕上げが施さる。

レザーエクスクルーシブパッケージ選択時の本革(ナッパレザー)シートは、キルティングとパーフォレーションを施したシートの形をなぞるダイヤモンドステッチとなり室内の高級感を高めると語る。

また、レザーエクスクルーシブパッケージには、シートヒーター機能とシートベンチレーター機能(運転席/助手席)が含まれ、 より快適なドライブを楽しむことが可能となる。E350 eはレザー・アルティコ/マイクロカット(スウェード調ファブリック)を使用したシートが標準設定となる。

標準仕様では、大きなインテリアトリムが助手席まで広がり、デジタルインテリアパッケージ選択時には、助手席の前までMBUXスーパースクリーンが広がる。

ブラックアッシュウッドインテリアトリム(E200/E220 dに標準装備)

ブラックの光沢仕上げのアッシュウッドインテリアトリム。アッシュの特徴的な木目がアクセントとなり、濃色でありながら華のある室内空間を演出する。

ブラウンオープンポアメープルウッドインテリアトリム(E350 eに標準装備)

ブラウンウッドにオープンポア(マット)仕上げを施し、アクセントとして垂直方向にアルミニウムのラインを取り入れたウッドインテリアトリム。ラグジュアリーでありながら、クールな雰囲気も併せ持つ室内空間を演出する。

ブラックピアノラッカーインテリアトリム(デジタルインテリアパッケージ選択時)

ブラックの光沢仕上げのセンタートリムにMBUXスーパースクリーンが合わされることで、落ち着いた高級感のある室内空間を演出する。

インフォテインメントシステムはどんな感じ?

MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)

これまで新世代が投入されるたびにコックピットに革命をもたらしてきたインフォテインメントシステムでるMBUX。2018年に発表されたMBUXは、ユーザーの体験を重視したものであったと同社は語る。

2022年に登場した第2世代では、MBUXハイパースクリーンが登場し、そして今回、新型Eクラスにおいて、サードパーティ製のアプリが利用可能になる等、メルセデス・ベンツはMBUX開発における第3世代への大きな進化を成し遂げたとアナウンスした。

詳細画像はこちら
メルセデス・ベンツ新型Eクラス・セダン/ステーションワゴン

全モデルにオプション設定の「3Dコックピットディスプレイ」は、内蔵されるドライバー側を向いた2つのカメラによって可能になった。ドライバーの左右それぞれの視線を追跡する技術により、特殊なメガネを使用せずにドライバーに3D映像を見せることが可能となるという。ドライバーの視線が動いた場合、この視線追跡技術によりディスプレイに映る映像を連続的に変化させることで、常に3D表示を維持すると述べた。

新世代MBUXその他の特長

・新世代MBUXでは、ディスプレイ上の主要なアイコンの表示方法が変更され、フラットなデザインで、よりシンプルに表示される。サードパーティ製のアプリケーションインストールを可能にする新たなオペレーティングシステムを開発し、ドライバーが車載のセルフィービデオカメラを使えば「ウェベックス」や「ズーム」でビデオ会議をすることが可能となる。

・MBUXとの組み合わせで使用する「ルーティン」メルセデス・ベンツでは原則として、機能のオートメーションを意味するものと考え、新型Eクラスは、顧客が活用できる標準ルーティンのテンプレートを用意したという。また自分でルーティンを作成することも可能だ。

・新型Eクラスには、全モデルにMBUXエンターテインメントパッケージプラスを設定する。メルセデス・ミー・コネクトのサービス開始から1年間有効となる。

ゼロレイヤーとMBUX拡張現実(AR)

MBUXのディスプレイオペレーティングシステムは適応型ソフトウェアを備え、数多くのインフォテインメント機能や快適機能、車両機能について個々人に応じた提案を行うという。

また、ゼロレイヤーデザインを採用することで、複数のサブメニューをスクロールしたり、ボイスコマンドを出したりする必要が減少する。状況や文脈に応じて、ホーム画面に提案が表示されるので、ドライバーは多くの操作ステップから解放されると語る。

MBUX ARナビゲーションは、車両の前面に広がる現実の景色がナビゲーション画面の一部に映し出され、その進むべき道路に矢印が表示される。これにより、より直感的にどの道路に進むべきかを判断することができるという。

その他のアシスタントや便利機能は?

ハイ、メルセデス:音声アシスタント

音声アシスタント「ハイ、メルセデス」は、メルセデスミーアプリ内のオンラインサービスを起動することで、対話と学習機能を発揮する。

新採用のジャスト・トーク機能により、音声操作をキーワードの「ハイ、メルセデス」を発話せずに行うことができるようになったという。この新機能が起動すると、ディスプレイ上部に赤いマイクのマークが表示され、車両がボイスコマンド待ちの状態となる。

詳細画像はこちら
メルセデス・ベンツ新型Eクラス・セダン/ステーションワゴン

ハイ、メルセデスは車両機能の説明も行うもので、例えば乗員がブルートゥースによるスマートフォン接続の方法などを知りたい場合にもサポートする。

MBUXインテリア・アシスタント

E350 eにオプション設定のMBUXインテリア・アシスタントは、さまざまな室内機能をジェスチャーでコントロールすることで、状況に応じたドライバー支援を実現する。

前席乗員の検知を行うのは、ルーフライニング内蔵の赤外線カメラで、オーバーヘッドコントロールパネルに内蔵されている。MBUXインテリア・アシスタントは、乗員の身体の動きや身振り手振りを読み取り、対応する車両機能を起動することで適切にサポートするという。このシステムは自然な手の動きや身体の動きを前後関係に応じて、あるいは乗員のリクエストにより解釈すると付け加えた。

音楽のストリーミング配信サービス

主要音楽ストリーミング配信サービス(スポーティファイ/アマゾンミュージック/アップル・ミュージック)をMBUXインフォテインメントシステムに完全に統合した、メルセデス・ベンツの「オンラインミュージック」サービスだという。

接続された音楽配信サービスに登録済みのアカウントへのアクセスをMBUXから行うことができ、好みの曲やプレイリストへ簡単にアクセスできるだけではなく、何百万もの曲の中からお気に入りの音楽を検索したり、キュレーターが作成したプレイリストを利用したりすることも可能となった。

パーソナライゼーション

パーソナライゼーション機能では、顧客個人のプロファイルを作成し、運転席のシートメモリー/ミラー位置の設定/アンビエントライトのカラー設定/お気に入りのラジオ放送局/その他の機能を保存できるようになった。

ヘッドユニット上のストアを介してアプリを追加

新型Eクラスでは、サードパーティー製のアプリを、好みに応じてインストールすることが可能になった。ラインナップも今後さらに拡大が予定されている。

アイフォンに対応したデジタルキーを設定

デジタルキーを使えば、対応するアイフォンをドライバーが携帯している場合、クルマの始動やロック操作が簡単に行えるようになる。またキーの共有も可能で、家族や友人と新型Eクラスのデジタルキーを共用することができる。この場合、オーナーキーを設定しているユーザーはさまざまな権限を割り当てることができ、例えば許可する範囲をロック操作のみとしたり、車両の始動も可能としたりすることができると発表した。

デジタルキーを共有するには、エアドロップやiメッセージなどのメッセージサービスを介して共有相手にキーを送信し、受信者は自分のアップル・ウォレットにキーを追加する。

共有後にキーを削除する場合も、オーナーはアップル・ウォレットまたはMBUXインフォテインメントシステムを使って簡単に操作が可能となるという。

アプリの選択肢を拡大

アプリのクルマへの導入は、これまで主にユーザーのスマートフォンからインフォテインメントシステムへミラーリングすることで行われていた。

アップル・カープレイやアンドロイド・オートがその例で、クルマの走行中に携帯端末の一部機能をディスプレイ上で使用することができる。また、サードパーティ製アプリのインストールを可能にする新たなオペレーティングシステムメルセデス・ベンツのソフトウェアチームによって開発されたことに加え、新しいソフトウェアアーキテクチャーの採用によって、今後はアプリのクルマへの導入をこれまでよりはるかに速やかに行えるようになるという。

アプリのラインナップは今後、徐々に拡大を予定しており、新型Eクラスは大幅なパーソナライゼーションが可能になる。新型Eクラス発売時点でラインナップされるサードパーティ製アプリには以下のようなものがある。
・「ティックトック」(SNS)
・「アングリーバーズ」(モバイルゲーム)
・「ウェベックスbyシスコ」(ビデオ会議)
・「ズーム」(ビデオ会議)
・「ヴィヴァルディ」(Webブラウザー
・「ポケットキャスト」(ポッドキャスト)

室内の快適性はどう変わった?

室内カメラ

ダッシュボードの上には、新採用のセルフィービデオカメラ(オプション設定)が設置される。これにより、停車した状態であれば、ドライバーもウェベックスなどを介してオンラインのビデオ会議に参加したり、自分の写真や動画を撮影したりすることができるという。

また、撮影した映像や画像はUSBフラッシュドライブに保存することも可能。カメラは画角が広いことから、前席のサイドウインドウや(装備によっては)パノラミックスライディングルーフなどを含め、室内のさまざまな部分をとらえることができ、これにより、まったく新しい視点で独特な画像や動画を撮影することが可能となった。

エアロダイナミクスとエアロアコースティクス(空気音響特性)

詳細画像はこちら
メルセデス・ベンツ新型Eクラス・セダン/ステーションワゴン

新型EクラスはCd値0.23と、このセグメントとしてきわめて優れたエアロダイナミクスを達成したと述べた。これは、先代Eクラスと同等の値である。一方、前面投影面積は 2.36m2で、先代の2.34m2よりわずかに大きくなっている。

数多くのコンピューターシミュレーションを早い段階で行うことで、完成度を高めることができたと同社は語る。これにより、風洞実験で必要な最適化ループの数が減少した。

デザイナーと緊密に連携するエアロダイナミクスの担当者の手によって、Eクラスは数多くの改良が施され、その中には、エアロダイナミクスを追求したホイールなど、優れた効率で評価の高いメルセデス電気自動車から採用されたものもあると語る。

主な空力対策

・フロントセクションに革新的なシール:ボンネット左右端のシールとフロントグリル内蔵エアロリップを初めて採用
・特殊なスポイラーを設置(前後輪の前方)
・ボディ面に格納されるシームレスドアハンドル
アンダーボディ:新材料(ツーピース・メインフロア=モールドオン・シーリングリップ付き)の採用、形状の改良(ランプ形のスポイラーリップ、サスペンションコンポーネントに取り付けたエアロクラディング)

開発段階における空気音響特性の改善

空気音響特性の開発では、メルセデス・ベンツは常に2つのアプローチをとるという。1つは、ノイズを発生源で(すべての装着部品を取り付けたクルマの外面を気流が通過する際に)可能な限り低いレベルに抑えること、もう1つは、不可避的に発生するウインドノイズについても、高度なシールと防音対策によって室内でほとんど感じられないレベルに低減するか、不快に感じられないようにすることだという。

すでに開発の初期段階から、ノイズ発生に特に関係が深いAピラードラミラーの幾何学的サイズを決める作業を開始し、この先進開発では形状の最適化の際に、気流シミュレーションとノイズ測定を組み合わせて行ったとする。このうちノイズ測定は、音響風洞内に設けた特殊なマイクロフォンアレイを使って実施した。

広範な室内測定は「音響ホログラフィー」とも呼ばれるもので、メルセデス・ベンツでは室内で64のダブルマイクロフォンアレイ(手持ち式)を使用することで、低周波数域の問題箇所の特定を可能にしていると述べる。使用するマイクロフォンは、外部測定装置(音響カメラ)を含めると、500近い数となる。

周波数の高いウインドノイズについては、ドア/サイドウインドウ/ドアミラーのシールにさまざまな対策を施すことで低減した。ドアは、問題となる部分の構造剛性が増強された結果、きわめて高い速度で走行する場合でも風切音が低減されたという。

空隙部は発泡剤で保護することで、ホワイトボディの遮音性が改善された。これによって、コックピット・クロスメンバーやトランスミッショントンネルの複数部分、それにAピラーとCピラーの構造が変更された。

パノラミックスライディングルーフでは、ウインドディフレクターに対して細部にわたって多くの改良が施された。ガラスルーフにもサイドウインドディフレクターが追加された結果、ノイズや室内への風の巻き込みが低減された。

チルトポジションでは、車速に応じてガラスパネルが下降するが、このことも快適な室内音響特性を確保し、実際の空気抵抗を低減する効果をもたらす対策であるという。

ブルメスター4Dサラウンドサウンドシステム

ドルビー・アトモスにも対応した、合計17個のスピーカー/15チャンネル/合計730Wの出力による「ブルメスター4Dサラウンドサウンドシステム」は、3次元の豊かな音響にさらにもう1つ次元を加えた4Dサウンドだという。これは、前席シートに振動を伝達するエキサイターを採用し、シートの振動を通じて音楽を表現するものだと述べた。

PHEVモデルも登場

プラグインハイブリッドモデル「E350 eスポーツ・エディション・スター」

E350 eは電気モーターの最高出力が95kW/129ps、EV走行換算距離(等価EVレンジ/WLTC モード)112kmを実現しており、多くのシーンで電気のみで走行できるため、内燃エンジンをまったく使わない日も増えることになると彼らは述べる。システム出力は、最大230kW/312psとなる。

この電気モーターのトルクは回転開始時から最大値の44.87kg-mを発生し、車速140km/hまでは電気的な出力を100%発揮できるが、140km/hを超えると緩やかな制御が働くという。

詳細画像はこちら
メルセデス・ベンツ新型Eクラス・セダン/ステーションワゴン

プラグインハイブリッドモデルを使用する感覚は、全体として先代よりかなり電気自動車に近いものとなったと彼らは述べる。EV 走行換算距離が112kmまで拡大したことから、日常生活の近距離では、電気自動車のように電気のみでの走行を主とし、遠距離のドライブでは、エンジンと併用することで、充電状況を気にすることなく使用することができる利便性の高い電動モデルとなったとアナウンスした。

またプラグイン・パワートレインをきわめて有利に使えるようにドライブモードが2つ存在する。

・「バッテリー」モード:高電圧バッテリーの充電状態を維持することを優先するモード。
・「エレクトリック」モード:速度140km/hまでEV走行可能、アクティブディスタンスアシストディストロニックがEV走行に適応、EV走行の際、これ以上アクセルを踏むとエンジンも使用しなければならないというモーター走行の限界点でアクセルペダルの抵抗を増してドライバーに知らせることにより、無駄なエネルギーの消費を抑えるドライビングを実現可能となった。

減速時や下り坂で運動エネルギーを電気に変換できる回生ブレーキ機能についても、油圧ブレーキとの連係に改良が施され、回生ブレーキで得られる電力が最高100kWとなった。Dオートモードでは、システムが交通状況に応じて回生電力のレベルを自動で選択する。

エネルギー回収率(回生ブレーキの強さ)を変更したい場合は、ステアリングホイールの裏側にあるパドルスイッチを使って3段階で直接切り替えが可能。この回生ブレーキの切り替えはスポーツモードを除くすべてのモードで行うことができるという。

例えば、回生ブレーキの強さをD-に設定すると、ワンペダル感覚での走行が可能で、アクセルペダルから足を離すと電気モーターが発電機として働くことのみで減速し、これで多くの場合、油圧ブレーキが不要となるほどの十分な制動力が得られる。

さらにもう1つの装備として電動機械式のブレーキブースターが採用されており、電力回生と油圧ブレーキをきわめて高い効率で組み合わせたブレーキシステムを実現した述べた。

さらに、減速中にはオートマチックトランスミッションが数回のギアチェンジを行い、エンジン負圧に依存しないブレーキシステムが、走行状況やドライバーの制動力に対する要求に応じて油圧ブレーキ回生ブレーキの制動力分担をフレキシブルに自動制御することから、最大回生電力が得られる頻度が高く、その持続時間も長くなっている。

これを実現するため、ペダルの踏み込み量が一定でも油圧ブレーキの制動力を可変的に低減し、車速が低下していっても回生電力が高いレベルに保たれるよう設定されるが、この自動制御による変化がドライバーに意識されることは無いと語った。

高電圧バッテリー

メルセデス・ベンツ社で自社開発したもので、第4世代バッテリーファミリーに属し、先代を合理的にさらに進化させたものとなる。セル数は96個パウチ型バッテリーであり、バッテリーのエネルギー容量は25.4kWhで、このうち19.5kWhがEV走行に使用される。

高電圧バッテリーは、エネルギー密度が高いことから、内部に冷却システムを備えており、熱管理システムは、キャビンクライメートコントロールとは独立に動作温度を制御することができるという。これにより、暑い地域と寒い地域での連続運転に加え、直流電流による急速充電も可能となった。

日常へ繋がる最新装備

急速充電器(CHAdeMO)と普通充電器対応

E350 eは、急速充電器(CHAdeMO)に対応している。また6.0kW(30A)の交流普通充電にも対応しているため、外出先や自宅での様々な充電方法に対応する上、車両を蓄電池として利用でき、車外へ電力を供給できる給電機能(V2H/V2L)に対応した。

日常走行での利便性がさらに向上:ルーティン

メルセデス・ベンツでは、乗る人がよく使う快適システムを覚えられるクルマを実現するため、学習機能を活用する取り組みを進めていると語る。

詳細画像はこちら
メルセデス・ベンツ新型Eクラス・セダン/ステーションワゴン

目標は、状況が同じ場合に車両がそれらの機能を実行すること。その結果として実現するのがパーソナライゼーションだという。メルセデス・ベンツではこの革新技術の先駆けとして「ルーティン」を開発した。

新型Eクラスには標準ルーティンのテンプレートが用意され、また自分でルーティンを作成することも可能で、その場合乗員は複数の機能や条件をリンクさせることができる。例えば「車内温度が12度以下なら、シートヒーターのスイッチを入れ、アンビエントライトをウォームオレンジに設定する」などのリンク付けが行えるようになると述べた。

デジタルベントコントロール

E350 eにオプション設定のクライメートコントロール(前席左右後席左右独立調整)では、デジタルベントコントロールが装着される。これは快適性を強化するもので、フロントのエアアウトレットを望ましい送風シナリオに合わせて車両が調整するものだ。
この機能はユーザープロファイルなどにより各シートに対して調整可能だが、これまでどおり手動でエアアウトレットの送風方向を変えることもできる。

デジタル・ライト(ウルトラハイビーム付き)

左右のヘッドライトのデジタル・ライトは、それぞれ照明モジュールを備える。このモジュールは100万個以上の微小な鏡により光を屈折させることで照射方向を定めるという。

このため、片側のヘッドライトあたりの解像度は100万画素以上となるが、鏡が占める面積は親指の爪ほどの大きさだという。この革新的なヘッドライトは、凹面レンズ「デジタル・ライト」のレタリングなどデザイン性も高められている。

ヘッドライト片側で100万以上のエリアに分割可能な光を照射するため、同時にきわめて正確な配光が可能となったと話す。これにより、ハイビームアシストが対向車や道路標識に光が当たらないように調整する場合の精度が、従来の84画素の光に比べて精度が大きく高まっており、フォグライトモード/ハイウェイライト/シティライトなどの照明が最大限効果的なものとなった。

さらに、新型Eクラスでは、日本初の機能として「路面描画機能による車線逸脱警告」が備わる。これは、夜間走行時に車線を逸脱しそうになった場合に、ヘッドライトが車両前方の路面に絵(矢印)を投射することでドライバーに警告をするものと述べた。

新型の機構やエンジン/ミッション、足回りは?

リア・アクスルステアリング

従来から、メルセデス・ベンツは高い小回り性能が美点であるが、後輪操舵システム「リア・アクスルステアリング」を採用することで、その点がさらに進化したという。約60km/h以下では、リアホイールをフロントホイールとは逆方向に最大4.5度傾ける。

これにより日常の走行シーンや、駐車する際には回転半径が小さくなるため、クルマが扱いやすくなる。約60km/hを超えると、リアホイールをフロントホイールと同じ方向に最大2.5度操舵することで、走行安定性を大きく高める。

詳細画像はこちら
メルセデス・ベンツ新型Eクラス・セダン/ステーションワゴン

従来のメルセデスの美徳である小回り性能を犠牲にしないだけではなく、中高速域での安定性や、優れたハンドリングも並立させたと述べる。なお、セダンの最小回転半径は5.0m(非装着モデル:5.4m)を実現した。

パワートレイン(全モデル電動化)

新型EクラスのパワートレインはISG、もしくはプラグインハイブリッドにより全ラインナップが電動化された。E200 には、エンジン単体で204ps/32.63kg-mを発生する、新型の2L直列4気筒ターボエンジンの「M254」が採用された。E220 dには、エンジン単体で197ps/44.86kg-mを発生する、2Lのクリーンディーゼル直列4気筒ターボエンジンの「OM654M」が採用される。

両パワートレインとも、エンジンとトランスミッションの間に配置される電気モーターのISGによって、短時間、最大で23ps/20.90kg-mのブーストが可能で、従来型のE200と比較しても、エンジン/モーターの双方がより強力になった。またE220 dにおいては、高トルク/省燃費が売りのクリーンディーゼルエンジンに、電気による緻密なサポートが組み合わさることで、さらにスムーズな加速感と、燃費の低減に寄与すると発表した。

新型Eクラスは全モデルで「9Gトロニック・オートマチックトランスミッション」を採用した。1速から9速までの変速比幅が広いことから、エンジン回転数が大幅に低減され、優れたエネルギー効率と快適性の実現に寄与するという。

エアマティック・サスペンション

E350 eのサスペンションは連続可変ダンピングシステムADS+とエアサスペンションを組み合わせたエアマティックをオプション設定し、走行時に高い快適性を提供するという。エアマティックによるセルフレベリング機構は、乗員や荷物の重さに関係なく地上高を一定に保つものであり、且つ必要に応じて変化もさせる。

新型 E クラスに搭載される安全運転支援システムの詳細説明

インテリジェントドライブ

進化したレーダーセーフティパッケージ

アクティブディスタンスアシストディストロニック/アクティブステアリングアシスト
「アクティブディスタンスアシストディストロニック 」は、ステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサーにより、高速道路や一般道などの走行時に先行車を認識して、速度に応じて車間距離を調節する。

減速が必要な場合、アクセルおよびブレーキを調整してスムーズに減速し、先行車が停止した場合は自車も停止する。また、停止している先行車の検知も可能である。先行車および停止中の車両との距離が突然縮まった場合には、警告灯と警告音でドライバーに知らせる機能も備える。

詳細画像はこちら
メルセデス・ベンツ新型Eクラス・セダン/ステーションワゴン

再発進機能は、高速道路での渋滞時に停止した際、30秒以内に先行車が発進した場合、ドライバーがアクセルを踏まなくても再発進する(一般道では3秒以内)30 秒以上停止していた場合は、アクセルを軽く踏む、またはステアリング上のスイッチを使用して再発進が可能となる。

「アクティブステアリングアシスト」は、車線のカーブと先行車を、車線が不明瞭な道ではガードレールなどを認識し、車間を維持しながらステアリング操作をアシストする。

渋滞時緊急ブレーキ機能

ステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサーで、先行車およびその左右の車線を監視する。突然渋滞の最後尾が現れた場合などに、前走車との衝突の危険を検知し、その左右などに回避スペースが無いと判断すると、即座にブレーキが作動し、衝突回避または被害軽減を図るという。

回避スペースがある場合は、ドライバーの回避操作を優先し、ドライバーが反応しない、または回避操作が遅れて衝突が回避できないと判断した場合には、即座にブレーキが作動するという。

さらに、渋滞末尾で回避操作を行う空間的余裕がない危険な状況を検知して、通常よりはるかに早い段階でブレーキを作動させる機能も搭載していると述べる。

アクティブレーンチェンジングアシスト

高速道路を走行時にアクティブステアリングアシストが起動している際に、ドライバーがウインカーを点滅させると3秒後に車両周囲を監視しているセンサーが他の車両などとの衝突の危険が無いことを確認し、安全が確認された場合に車線を変更する。

アクティブエマージェンシーストップアシスト

ドライバーが周囲の道路状況に反応しなくなってから一定の時間が経過していると判断した場合、警告灯と音によって警告し、それでもドライバーによるステアリング/アクセル/ブレーキなどの操作の反応が無い場合は、さらに警告音を鳴らしながら、緩やかに減速して停止し、車両停止後はパーキングブレーキがかかることで、後方からの衝突による二次災害を防止する。

アクティブブレーキアシスト(歩行者/飛び出し/右折時対向車検知機能付)

先行車/飛び出し車両/歩行者などと衝突のおそれがあるかどうかを確認。衝突が近いと判断すると、表示および音でドライバーに警告する。ブレーキペダルの踏み込みが弱すぎる場合は、状況に応じてブレーキ圧を高めて支援するほか、ドライバーが対処しない場合は緊急ブレーキを起動する。

また、交差点や曲がり角での右左折の際に、対向/飛び出し/巻き込みなどにより、自動車/自転車/歩行者と衝突する危険がある場合、警告やブレーキが作動する。

緊急回避補助システム

車両前方にいる車道横断中の歩行者などとの衝突の危険を検知すると、システムが正確なステアリングトルクを計算して、ドライバーのステアリング操作をアシストし、回避後の車線復帰も同様にサポートする。

トラフィックサインアシスト

一般道や高速道路を走行中、カメラが制限速度などの標識を読み取り、ディスプレイに表示し、制限速度を超えた際には警告音を出してドライバーに注意を促す。

アクティブレーンキーピングアシスト

フロントウィンドウのステレオマルチパーパスカメラが車線を検出し、フロントホイールが走行車線を越えたと判断するとステアリングを断続的に微振動させてドライバーに警告する。ドライバーが反応しない場合は車両を車線内に戻そうとする。なお、破線の車線走行時には隣車線の車両もしくは対向車と衝突の危険がある場合にのみ作動する仕組みだ。

アクティブブラインドスポットアシスト(降車時警告機能付)

リアバンパー左右のレーダーセンサーにより、車両の斜め後ろのミラーで見えない死角エリアに車両や自転車がいることを警告する。さらに30km/h以上で走行している際に側面衝突の危険がある時には、危険回避をサポートする。

追い越し車線に移ろうとして斜め後ろにいる車両に気づかなかったときなど、ドライバーの不注意によるミスを予防し、安全な走行を支援し、停車時にドアを開けようとした際、後方から障害物が迫っている場合の警告機能を採用しており、時速2km以上で後方から歩行者/自転車/自動車などが近づいている場合、ドアミラー外側にある警告表示灯が赤く点灯する。

ドライバーを支援するその他のシステム

アクティブパーキングアシスト

アクティブパーキングアシストはタッチスクリーンを介して直感的に起動プロセスが可能となった。

リモートパーキングアシスト

モバイル端末のリモートパーキングアプリによる、駐車操作が可能となる。これにより、狭い駐車場等での乗り降りの際にドアの損傷を防ぐ。ドライバーは車外から90度傾けたスマートフォンのタッチパネルを押しリモートパーキングアシストの様子を監視し、並列駐車/縦列駐車に対応している。

ドライブアウェイアシスト

車両前方もしくは後方1m以内に障害物があり、その方向に進むギアを選択した場合、アクセルを強く踏んでも2km/h以上の速度が出ず、警告音により障害物が近くにあることをドライバーに知らせることで、誤操作の可能性があることを警告するという。

アテンションアシスト

ドライバーが眠気を催したり、注意力散漫になったりする場合に現れる典型的な兆候を検知し、休息をとるよう促す警告メッセージを表示する。


■PHEVの記事
メルセデス・ベンツ新型Eクラス 車内がもはや会議室 加えて最新/安全装備が盛り沢山
理解後の「幸福感」は他に例がない ランドローバー・レンジローバー 長期テスト(最終)
三菱アウトランダーPHEVアクティブフィールド 「東京オートサロン2024」にて展示
ランボルギーニ ウラカン後継、V8ハイブリッド搭載で年内発表か

メルセデス・ベンツ新型Eクラス 車内がもはや会議室 加えて最新/安全装備が盛り沢山