テレビアニメ「百千さん家のあやかし王子」(毎週金曜深夜0:00-0:30、TOKYO MXほか/ABEMA・Huluほかで配信)の第2話が1月12日(金)に放送された。第2話では、葵が“御守様”に指名されたきっかけが明らかに。その壮絶な人生に注目が集まった。

【写真】テレビアニメ「百千さん家のあやかし王子」第2話より

■「百千さん家のあやかし王子」とは

本作は、漫画雑誌ASUKA」(KADOKAWA)にて、2013年から2019年にかけて連載され、累計発行部数110万部以上、10言語で翻訳・出版されるなど海外でも人気を集めている硝音あやによる漫画が原作。亡き両親の遺言状により、山奥の日本家屋を相続することになったヒロイン・百千ひまり(CV:川井田夏海)と、そこに住み着くあやかしたちとの生活が描かれる。

2015年には実写舞台化もされ好評を得た“あやかし系和風ファンタジー”がこの度、満を持してアニメ化された。「七つの大罪 怨嗟のエジンバラ」のボブ白旗が監督を務め、「うちの会社の小さい先輩の話」の蒼樹靖子がシリーズ構成を担当。アニメーション制作はドライブが担当する。

■葵が“御守様”に指名されたきっかけは?

16歳の誕生日に亡き両親から“百千家”をプレゼントされた主人公のひまり。しかし、そこは現世(うつしよ)と幽世(かくりよ)の狭間に建つ、あやかしたちの住む場所だった。それでも、ひまりは百千家を相続すると決意。百千家の“御守様”で、ケモ耳あやかしの鵺(ぬえ)に変身する不思議な少年・葵(CV:大塚剛央)と、式神の水蛇・紫(CV:立花慎之介)、猩々・伊勢(CV:小野友樹)らあやかしたちとの同居生活をスタートさせる。

第2話では、葵が百千家の御守様になった理由が明らかとなった。

前回、あやかしの雲入道に襲われた際に葵からキスされたひまり。以来、ひまりは葵を意識するが、当の本人は全く気にしている様子はない。それどころか、気づいたら隣で寝ていたり、やたら距離が近い葵にひまりはドキドキされっぱなし。他にもスマホの存在を知らないなど、葵の常識や感覚が少し他の人とズレていると気づく。生活に困っていないとはいえ、一切家から出ようとしないのを不思議に思ったひまりがその理由を聞いても、葵ははぐらかすのだった。

その夜、ひまりは家の中に結界を張る葵を目撃。それには強い力を必要とするのか、苦しむ葵を心配し、ひまりはこの家や葵のことを教えてほしいと頼み込む。すると、葵は百千家の“御守様”になった時のことを話し始める。数年前、偶然この屋敷に迷い込んだ際に封印を破ってしまった葵。現世と幽世の境界を守るために強大な妖力を持った主(御守様)の存在は不可欠だが、当時は不在で、たまたま適性があった葵が指名されたという。

本来であれば、百千家の血を引く正当な後継者であるひまりが担うはずだったであろう役目。それを背負わされた葵が苦しんでいることにひまりは罪悪感を覚える。その気を察するように「男を楽にしたいのだろう。救いたいのだろう」という不思議な声とともに、室内に舞い込んできた桜に導かれるひまり。だが、それは百千の魂を狙う古木のあやかしの罠だった。

■葵の“嘘”に隠された優しさ

今回もすんでのところで葵に救われたひまり。古木のあやかしは無事に封印されたが、力を使いすぎた葵は身体がふらつく。ひまりは己の無力さを痛感するも、葵は「ひまりが笑っていると僕はそれだけで元気になるよ」と言ってくれた。

そんな葵を少しでも笑顔にさせたくて、ひまりはお花見をしようと葵を外に連れ出そうとするが、屋敷の出入り口で葵だけが見えないバリアに弾かれる。葵は家から出ないのではなく、出られないのだ。御守様に指名されてから7年もの間、ずっとこの家に閉じ込められている葵。普通なら家族や友人が心配して捜索願を出していてもおかしくはないが、外の世界で葵は元からいなかったことになっているという。

今の暮らしを気に入っていると葵は言うが、それはきっとひまりを安心させるため。ひまりにこの家を出て行くよう、しきりに促すのも危険な役目に彼女を巻き込みたくないからなのだろう。葵は自分の本音をひまりに打ち明けることはない。だが、彼の嘘にはいつも優しさが隠されている。

そのことを一番よく分かっている紫と伊勢にもこれ以上ここにいてはいけないと言われ、一度は家から飛び出したひまり。しかし、外で偶然出会った今度から通う新しい学校の教師・那智篁(CV:羽多野渉)に相談したところ、「今の君が諦めたくないものを大事にしたらどうか」とアドバイスされ、彼女は自分の本当の気持ちに気づく。それは、葵を百千家から解放させてあげたいという願いだった。

大量の荷物を持って屋敷に戻ってきたひまりを葵は「おかえり」と優しく抱きしめる。家の書物を読み漁っても家から出られる方法が見つけられなかった葵。何の力も持たないひまりがそれを見つけるのは難しいかもしれない。けれど、誰からも忘れ去られ、この家で人間はたった一人だった葵にとってひまりの存在はそれだけで心強いものなのではないだろうか。

こうして、ひまりと葵に絆が生まれた第2話に視聴者からは「ひまりちゃんが葵くんを助けるって決めたの素敵だった~。葵くんも嬉しそうで尊い」「葵 17にして壮絶な人生送ってた…! でも まだ何かありそう」「1話ごとに葵に惹かれていくわー」「ひまりが明るく健やかな娘なのも好感度高いです」といった声が挙がった。

■文/苫とり子

テレビアニメ「百千さん家のあやかし王子」第2話より/(C)2023 硝音あや/KADOKAWA/百千さん家のあやかし王子製作委員会