ガストン・ルルーの小説『オペラ座の怪人』を原作とするミュージカルには3つのバージョンがある。天才作曲家の代表作として広く世界的に知られ、4月に劇団四季による横浜公演が予定されているアンドリュー・ロイド=ウェバー版。『ナイン』のアーサー・コピット(脚本)&モーリー・イェストン(音楽)のコンビが手掛け、城田優の演出により昨年も上演された『ファントム』。そしてそれらに先立つ1976年イギリスで初演され、本日1月17日(水)、6年ぶり7度目となる来日公演が東急シアターオーブで開幕するケン・ヒル版だ。

ロンドンフリンジの鬼才”と謳われる劇作・演出家のケン・ヒルが手掛けた『オペラ座の怪人』の最大の特徴は、物語の舞台である19世紀後半のパリ・オペラ座で実際に聴かれていた音楽が劇中にちりばめられていること。1976年の初演時にはオリジナル音楽が用いられていたが、1984年に改訂上演された際、グノーの『ファウスト』、ビゼーの『真珠採り』、ドヴォルザークの『ルサルカ』、ヴェルディの『海賊』、オッフェンバックの『ホフマン物語』といった既存のオペラのアリアにケン・ヒルが歌詞を乗せた。悲劇的なストーリーがユーモアを交えて綴られており、原作に最も忠実であるとも言われる。

今回の目玉は、英国のオーディション番組を通じてスターになったふたりの来日だ。ファントム役のベン・フォスターは、2012年に『ジーザス・クライスト=スーパースター』の主役を探す番組で優勝、その後ロイド=ウェバー版の『オペラ座の怪人ウエストエンド公演でもファントム役を務めた経験を持つ。

ファントム役 ベン・フォスター

そしてファウスト役のポール・ポッツは、2007年「ブリテンズ・ゴッド・タレント」の初代チャンピオン携帯電話のセールスマンがテノール歌手になるという夢を叶えたサクセスストーリーは、日本を含む世界中で大きな話題を呼び、デビューアルバムは全世界で400万枚のベストセラーを記録した。

“元祖”『オペラ座の怪人』の魅力を今再び、ふたりの美声と共に味わいたい。

文:熊田音子

<公演情報>
ミュージカルオペラ座の怪人』〜ケン・ヒル版〜

原作:ガストン・ルルー
脚本・作詞:ケン・ヒル
出演:ベン・フォスター、ポール・ポッツ
※上演時間2時間半予定(休憩含む)
※生演奏/英語上演/日本語字幕あり

2024年1月17日(水) ~1月28日(日)
会場:東京・東急シアターオーブ

チケット:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2345272

公式サイト:
https://operaza2024.jp/

ミュージカル『オペラ座の怪人~ケン・ヒル版~』ビジュアル