俳優の宮沢氷魚さんと黒島結菜さんが1月16日、「事実婚」を発表しました。2人は昨年春から同居し始め、黒島さんは現在、子どもを妊娠中とのことです。

宮沢さんは公式ホームページで「お互い入籍という形にはこだわっておらず、現時点では籍を入れる予定はありません」と明かし、「生涯のパートナーとして、家族として、共に支え合って歩んで参ります」と決意を表明しました。

実は、事実婚のカップルから生まれくる子どもは、法律婚カップルの子どもとは異なる扱いをされます。いったい、どのような違いがあるのでしょうか。子どもと父親である宮沢さんとの法的な関係はどうなるのでしょうか。(監修・濵門俊也弁護士)

⚫こんなに違う「法律婚」と「事実婚」

まず、事実婚カップルの間に子どもが生まれた場合、父親であるパートナー男性と子どもは、法的な親子関係がありません。

法的な親子関係がないということは、法律婚をしている父親と違い、子どもに対する扶養義務が生じません。また、子どもも事実婚の父親の財産を相続することができません。

そこで、事実婚の父親がパートナー女性の子どもを「自分の子どもである」と認める手続きがあらためて必要になります。いわゆる「認知」です。

子どもの出生届を出したあとに、男性が役所で認知届を提出すれば、子どもの戸籍の父親欄に男性の名前が記載されます(任意認知)。まだ生まれていない胎児のときでも、認知は可能です(胎児認知)。

事実婚の父親が認知すれば、子どもに対する扶養義務を負うことになります。ただし、法律婚だと父母が共同で親権を持ちますが、事実婚の場合は原則的に母親が親権を持つことになります。子どもの姓も母親と同じです。

もしも、父親が親権を持ちたい場合や、男性の姓を子どもに名乗らせたい場合は、別の手続きが必要となってきます。

なお、事実婚カップルから生まれた子どもは、法律婚カップルの子どもの「嫡出子」と異なり、「非嫡出子」と呼ばれます。以前は、嫡出子と非嫡出子が受け取れる相続分に差がありましたが、2013年の民法改正で法定相続分は平等になっています。

ただ、事実婚カップルの場合、法律婚をしているカップルと異なり、パートナーには相続権がありません。また、税制面でさまざまな不利が生じますので、長期に安定した家庭を築く場合に、影響が大きいことがあります。

宮沢氷魚さんと黒島結菜さんが「事実婚」、法律婚とは違う「父子関係」で親権や財産相続はどうなる?