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 アメリカのデンバー動物園で飼育されているフレンチエンゼルフィッシュ(キホシヤッコ)の浮力に問題が生じ上手に泳げなくなってしまった。

 その原因を確かめるため、超音波CTスキャンによる検査が実施された。

 エンゼルフィッシュには麻酔がかけられ、プラスチックケース内のスポンジで体をしっかり固定された状態で、人間用のCTスキャン機器に入っていった。

 魚がCTスキャンで検査するというのは非常に珍しい事例だが、飼育下の海洋生物を守るために、新しい医療技術が使用されるのだ。

【画像】 浮力に問題が生じたエンゼルフィッシュをCTスキャン

 昨年夏、アメリカ、コロラド州にあるデンバー動物園では、Instagramにフレンチエンゼルフィッシュ(キホシヤッコ)がCTスキャン機器に入る画像を共有した。

 浮力に問題が生じ、上手に泳ぐことができなくなってしまったのだ。

 幅が18cmほどのエンゼルフィッシュだが、体重が300kg以上ある熊に対応できるほどの大型の機器が使用された。

 このCTスキャンは、ヘレン・アンド・アーサー・E・ジョンソン動物病院で実施された。

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 このため特別な配慮が必要だったとデンバー動物園の広報担当者、ジェイク・クビー氏は語った。

 魚は麻酔がかけられ、スポンジの上にまっすぐ立てて固定され、下にタオルをしいたプラスチックケースに入れられた。

 スキャン中は魚が死なないように、ずっとエラに水がかけ続けられた。

 その他にも超音波検査が行われた。

検査により原因がわかり、無事治療に成功

 診断の結果、お腹に過剰なガスがたまっていたことが判明。炎症を起こした腸が内部のガスの増加させ、魚の浮力に影響を与えていたのだ。

 いわゆる「腸炎」と診断されたエンゼルフィッシュは、抗生物質で治療され、現在は健康状態を取り戻し普通に泳ぐことができるようになったそうだ。

 人間のために開発された最新機器も、うまく使うことができれば、魚の命も救うことが可能なのだ。

 めったに見ることがない魚のCTスキャンの瞬間だが、今後はこういった機器が使用され、救える命が増えていくといいな。

 フレンチエンゼルフィッシュ(キホシヤッコ)は、主に西大西洋、カリブ海、ブラジル沿岸に生息する海水魚で水深100mまでの海域で生息していることが確認されている。

 成長すると黒色の体色に金色に縁取られたうろこが浮き出してきてとても美しい。全長は40cm程度で、水族館でも人気の高い魚だという。

written by parumo

 
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CTスキャンを受ける魚の様子はこちらです。上手に泳げなくなったエンゼルフィッシュの検査