万引き

AI(人工知能)を駆使したソフトウェアで、万引き被害を軽減できることが話題になっている。アメリカでは、すでに350件以上の店舗で実用されているという。『The Sun』が伝えた。

 

■万引きで多額の損失

アメリカ・ワシントンDCでリカーショップを営むKJ・シンさんは、毎日平均して30ドル~50ドル(約4,000円~7,000円)相当の商品が万引き被害に遭っているという。年間では数千ドルの被害となり、対策に苦慮していた。

店には十数台の監視カメラを備えているが、万引き客は気づかれることなく商品を盗んでいくのだという。シンさんは「人間の目では、16台もある監視カメラを一度に見ることはできません」と話す。

小売業連盟が調査したデータによると、昨年1年間でアメリカ全体の小売業者の万引き被害額は、1,120億ドル(約11兆7,000億円)にも上るのだという。

 

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■AIを使った万引き検知システム

そこでシンさんは、フランスの企業「Veesion」が提供しているAIを駆使した、モーション検出ソフトウェアを導入した。これは監視カメラと連動して不審な動きを検知することができるシステムで、リアルタイムで犯行が通知されるというものだ。

AIには人間の深層心理に基づいたジェスチャー認識が搭載されており、万引きしようとする人間の行動が検知しやすくなっているという。

システムが万引きを検知すると、連動しているスマートフォンやパソコンといったデバイスに、リアルタイムアラートが届く仕組みにだ。そのため、万引き犯が品物を持って店を出る前に、犯人を捕らえることができるのだという。

 

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■犯行から30秒でアラート受信

シンさんはこのシステムを導入後、万引きを模倣した実験を行った。客役の男性がワインボトルをコートに忍ばせたところ、30秒後にシンさんのスマートフォンに「非常に不審な行動」というメッセージが届いた。検知データは動画で保存されるため、万引き犯行後の証拠として提示することができる。

シンさんがこのシステムを導入してから、万引き常習犯のほとんどが常連客だったことに気が付き驚いたという。現在、アメリカにある小売店の約350店舗が同社のシステムを採用しており、小売り業者の約40%が新たに導入を検討しているそうだ。

アメリカの小売業連盟のデビット・ジョンストン氏は、「犯罪による経済的影響もさることながら、暴力と安全性に対する懸念は、規模やカテゴリに関係なく、すべての小売業者にとって引き続き優先事項です」と話している。

AIで万引きをリアルタイムで検知可能に 犯人が店から逃走する前に捕らえる技術とは