本部長マンボウやしろと秘書・浜崎美保がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「Skyrocket Company」。毎月第2水曜日に、我々が知っているようでよく知らない「お金」や「経済」の仕組みなどを、専門家の方に詳しく解説してもらうコーナー「スカロケ資産運用部」をお届けしています。

1月10日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと三井住友DSアセットマネジメント株式会社フェローの宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「2024年“辰年の相場格言”と国内外で注目すべき“経済関連イベント”」というテーマでお話を伺いました。

※この日の放送は、お休みの浜崎美保に代わって、秀島史香さんが秘書代理を務めました。


(左から時計まわりに)宗正彰さん、マンボウやしろ、秀島史香さん


十二支を使った“相場の格言” 辰年の今年の相場は…

秀島:今回、宗さまには「2024年“辰年の相場格言”と国内外で注目すべき“経済関連イベント”」についてお話しいただきます。

やしろ:先ずは年始恒例です。今年2024年の辰年の相場格言をお願いします。

宗正:相場の世界には十二支を使った格言が古くからあります。

やしろ:ウサギも跳び跳ねる的な格言ですね?

宗正:それは昨年2023年の卯年の相場格言です。ちゃんと、覚えていらっしゃいますね。

やしろ:はい。(卯年は)株価が上がるぞ! という意味の格言でした。

宗正:確かに、昨年2023年の株式市場は上がりましたよね。

やしろ:はい、上がりました。そして今年は辰年ですが、如何でしょうか?

宗正:干支にまつわる相場の格言は、十二支の数だけあります。「辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ」と。ここまでが前半の6つです。

そして後半が「戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁栄、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(う)は跳ねる」と、これで十二支すべてです。つまり今年辰年は、相場格言の始まり、最初の年なんですよ。

やしろ:十二支の相場格言は辰年から始まるんですね?

宗正:はい。辰年の今年と来年の巳年は天井。つまり株式市場は高い水準で推移するという意味です。

やしろ:実際に、辰年と巳年の過去の株式市場は相対的に高い水準だったのでしょうか?

宗正:十二支全体で見ると、過去の数字は平均的にと言いますか、割と相場の格言通りになっているんです。ただ、株式市場はその時々の経済の状況や企業業績など、様々な要素が複合的に絡み合いながら動きます。そのことを忘れてはいけません。

やしろ:今のお話と重複するかもしれませんが、特に近年、相場の格言通りに株式市場が動いているのか、つまり格言が当たっているのかが気になりますが、如何でしょうか?

宗正:「卯(う)は跳ねる」で、ウサギが跳ねるように昨年の株式市場は上昇しました。その1つ前の年、2022年は「寅(とら)千里を走る」です。虎ってパワフルな動物ですよね。千里もの距離を走って、その千里をまた戻って来ると。つまり一定の範囲内で株式市場が上下するという意味です。2022年の株式市場の動きは、まさにそうでした。

やしろ:一定の範囲での乱高下ということですね?

宗正:はい。そして2021年の丑年は「丑(うし)つまずき」ですから、つまり株価がつまずく。この年は、前年と比べて多少上下しながらもほぼ横ばい。さらに1年さかのぼること2020年の子(ねずみ)年。この年は新型コロナショックで株価が大暴落した後に一気に急上昇して、90年代バブル崩壊以降で日経平均株価の最高値水準を更新しました。

やしろ:今は、さらにまた上昇して更新していますよね。

宗正:「辰巳(たつみ)天井」の格言通りの動きです。仮に相場の格言通りの動きになれば、今年と来年は近年で最も高い水準になる、あるいは推移しそうですね。

やしろ:今年は新年早々に地震があって、被害もまだ続いている状態です。株式市場も一旦は下がりましたがすぐに戻って、さらに超えてという動き。今は3万4,000円台です。引き続き、上昇を期待したいと思います。

宗正:期待しましょう!

◆なぜ十二支の相場格言は当たる?

やしろ:なぜ株式市場は相場の格言に近い動きをすることが多かったのか、宗さま的な見解をお聞かせください。

宗正:日本国内で代々伝わる相場の格言は、江戸時代の米相場に由来しています。

やしろ:そんなに古い歴史があるんですか?

宗正:つまり相場の格言には、先人の知識と経験がふんだんに盛り込まれています。相場の格言を意識する人が増えると、逆に相場の格言にマーケットが動かされてしまう、そんな側面もあると思うんですよ。

株式市場には、法則や理論からは合理的な説明ができないのに、なぜかマーケットの動きがそうなるという現象が少なからずあります。これを「アノマリー」と言いますが、既に相場の格言がそうなっている可能性もありますね。

過去をさかのぼると、相場の格言通りに売買すれば利益が出やすかったという統計も取れます。ただ、先ほども言いましたが、株式市場はその時々の経済状況や企業業績など、様々な要素が複合的に絡み合いながら動きます。そこはお忘れなくということですね。

◆新貨幣発行、東京証券取引所の取引時間延長… 2024年は社会の雰囲気が“ガラッと変わる”?

やしろ:そして2024年、今年の注目すべき国内の経済関連イベントを教えてください。

宗正:幾つかありますが、先ずは3月の「春闘」の回答が本格化する時期、この頃に国内の企業の平均賃金がどれくらい引き上げられるかに注目です。この水準を見て日銀が本格的な利上げに踏み切るだろうと(いう予測ができるからです)。

既に物価高は進んでいますが、賃金が上がらないうちから本格的な利上げに転じてしまうと、国民の生活負担は増えるばかりです。例えば住宅ローン金利が上がると、毎月の支払いも増えて大変ですよね。

そして4月にはトラックドライバーの時間外労働の規制が強化されます。物流の規制が強化されると、世の中の経済活動の動きが大きく変わると私は思っているんです。それから7月には新紙幣が発行されますし、お財布の中身が変われば、世の中の雰囲気もガラッと変わりますよ。

やしろ:新紙幣になると、どういう影響が出るんですか?

宗正:定期的な新紙幣発行の主な目的は、偽札防止ですが、街角に並ぶ自動販売機なんかも全部、新紙幣対応をしなくてはいけませんよね。新紙幣の発行に伴う「特需」もあるでしょうね。

やしろ:お店を経営している方は、余計な出費という言い方は良くないですが、逆に大変な人もいるんじゃないかなと思います。しかしこれは経済の世界で言うところの「特需」なんですね。

宗正:そして11月には、東京証券取引所の取引時間の延長 も予定されています。現在、午後3時で取引は終わっていますが、これが午後3時半まで延長されます。

やしろ:どうして延長になるのですか?

宗正:取引時間を延ばせば、それだけ株式の売買量が増えます。日本の株式市場を代表するのは東京証券取引所ですが、アジアの株式市場を始め他の国々の株式市場に取引の規模、つまり市場規模で差を付けられてしまったのが近年の歴史です。「たった30分の延長か」という話になりがちですが、これが結構変わります。

やしろ:賃上げについては各種報道などを見たり聞いたりすると、かなり良い方向に行きそうな感じはしますよね。

宗正:最近の物価高に追い付き追い越す、実質賃金を意識した水準が期待できそうですが、実際に数字が取れる企業は、ある程度の規模の企業なんですよね。

やしろ:大企業ということですね。それが全体のどこまで普及するかっていうのが問題ですよね。

宗正:そういうことですね。

◆2024年は選挙イヤー

やしろ:そして2024年、今年の注目すべき海外の経済関連イベントは如何でしょうか?

宗正:海外の経済関連と言いますか、政治関連のイベントになりますが、2024年は何と言っても選挙の年「選挙イヤー」です。世界の主な主要国で首脳選挙が集中するのが今年です。政治と経済は、車の両輪ですから、政治が変われば経済も変わります。

今月1月には台湾の総統選挙。3月にはウクライナロシア両国の大統領選 挙が予定されています。4月は、お隣の韓国の総選挙 。5月にかけてインド総選挙なども予定されています。そして最大の注目は11月のアメリカ大統領の選挙ですね。

やしろ:選挙の結果次第で、いろいろなことが変わりますよね。

宗正:はい。特にアメリカの大統領選では、共和党トランプ大統領が今のところ優勢と言われていますからね。再びトランプ大統領が誕生すれば、世界情勢は大きく変わる可能性があります。身近なところでは、7月に東京都知事選挙もありますね。前回の都知事選はコロナ禍の下でしたが、もうあれから4年です。

やしろ:本当に早いですね。

宗正:9月には自民党総裁が任期満了ということで、新総裁が誕生するのか、それとも岸田さんの続投かにも注目です。

◆新NISAもスタート! 今年は“資産運用元年”

やしろ:2024年一発目ということで、ラジオの前のスカロケリスナー社員のみなさまに、宗さまから新年ならではのメッセージをお願いします。

宗正:今年の1月から新しいNISA、「新NISA」が始まりました。一定の制限の下、株式や投資信託などの売却益が非課税になる制度ですが、このコーナーは「スカロケ資産運用部」ですからね。

リスナー社員の皆さまには、この新しい制度を、是非とも活用していただきたいと思います。資産運用や投資に関わる制度で、ここまで充実した制度は過去になかったんじゃないかという内容になっています。

やしろ:プロの目から見ても、なかなか出て来ないような良い条件の制度ということですね?

宗正:はい。詳しくは新NISAの口座を開設される金融機関に、直接お聞きいただければと思います。「新NISA」もスタートした今年は、「資産運用元年」と言っても過言ではないです。まだの方は個人投資家デビューに絶好のタイミングです。

やしろ:ありがとうございます。

宗正:本部長、他人事じゃないですよ。今、完全に流していましたけど。

やしろ:今日は厳しいですね。

秀島:いつもは優しいんですか?

やしろ:もうちょっと優しいです。本当にいろいろなことを毎回、毎月教えてもらっているんですが、全然僕が動かないことに、いよいよ宗さまが「いい加減にしろよ!」って。

秀島:業を煮やしているんですね。新年の初回ですからね。ありがたい助言までいただきました。

やしろ:何かを始めたりするのに、1月はきっかけとして使いやすい時期でもありますしね。ということで、『宗正彰の愛と経済と宗さまと』、AuDeeにて毎月10日、20日、30日に配信です。宗さま、ありがとうございました。

宗正:ありがとうございました。

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もっといろいろな経済のお話が聞きたいという方は、宗さまのAuDee(オーディー)「宗正彰の愛と経済と宗さまと」でも聴けます。毎月10日、20日、30日に配信していますので、そちらもぜひチェックしてください。


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<番組概要>
番組名:Skyrocket Company
放送日時:毎週月~木曜17:00~19:52(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ~)
パーソナリティ:本部長マンボウやしろ、秘書・浜崎美保
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/sky/
愛と経済の伝道師“宗さま”こと宗正彰「2024年“辰年の相場格言”と国内外で注目すべき“経済関連イベント”」を解説