通常は「3時間半ちょっと」です。

通常は「3時間半ちょっと」

国際航空メディア「シンプルフライング」などが、2024年1月にヨーロッパで発生した異例のフライトについて紹介しています。ドイツLCC格安航空会社)TUI航空が、ヨーロッパ間の、直線距離にして日本の全長にも満たない約2500kmの距離のフライトに、およそ60時間を要したというものです。この便にどのようなことが起こったのでしょうか。

この便はイギリスのマンチェスター空港からポルトガル領マデイラ諸島・フンシャルのサンタカタリナ空港まで向かうBY2536便で、ボーイング737-800「G-TAWM」が用いられました。しかし、マンチェスターを12日朝に飛び立った同便は、フンシャル空港で悪天候に見舞われます。

同便は何度から着陸を試みるも断念。マデイラ諸島から約60kmほど北東にあるポルトサント島に代替着陸(タイバート)します。その翌日、ポルトサント島からフンシャルへ再着陸を試みるも、再度断念。スペインカナリア諸島にあるテネリフェ島へと代替着陸します。3度目のフライトでも着陸は成功せず、一度テネリフェに戻ります。

4度目の挑戦となったフンシャルへのフライトが実施されたのは14日夜のこと。ここでは1発で着陸に成功しますが、通常はマンチェスターを飛びたってからフンシャルへ3時間半程度で到着するところ、2日と12時間以上を要してしまったのです。その間、同便の利用者はホテルで2泊の滞在を強いられたと報じられています。

なお、フンシャル空港は崖と山に囲まれ、かつ滑走路の長さも長くないことなどから、「世界で最も危険な空港」のひとつとして紹介されたこともあります。一部報道では、この空港の特殊な立地も今回の事象に関係しているのでは、と指摘されています。

TUI航空グループの旅客機(画像:TUI航空ベルギー)。