冬の田舎移住・古民家リノベは想像以上にシンドイ

コロナ禍を機に田舎に大正元年築100年超えの古民家を購入。夫婦でコツコツとDIY・セルフリノベーションしながら暮らしています。きょうは脱サラ・田舎移住した気象予報士の筆者から冬の田舎移住・古民家リノベのコツとポイントをお伝えします。


古民家の断熱工事は高額なので部屋を区切って体を温める

古民家の冬の寒さは田舎へ移住して後悔した大きなポイントの1つです。古民家の断熱性能に期待してはいけません。すきま風が吹き込み、屋外とほぼ同じ気温であることもよくあるのが現実です。特に冷え込みがキツイのが

・山間部や沿岸部で冷たい風が強く吹く地域の古民家
・放射冷却がよくきき盆地で冷気が溜まりやすい地域の古民家

この2つは非常に寒くスリッパなしでは足の指が痛くて歩けないくらい冷え込みます。建物自体に機密性をもたせる断熱リフォーム工事を行おうとすると、規模や方法にもよりますが数百万円以上の資金が必要になることが多いため

・部屋を小さく区切って暖房器具を利用する
・自分自身が厚着して体を温める
・温かい飲み物を飲んで体を温める

これらの方法を併用するのが資金を抑えて快適に過ごすポイントです(最近では窓リノベ補助金などもあるので工事を検討している方は調べてみてください)。

古民家の断熱性能に期待しない

古民家の断熱性能に期待しない


大雪による積雪や瓦屋根の重みによる倒壊リスクに対処する

特に田舎の古民家は1981年以前に建築された旧耐震構造である場合が少なくありません。屋根は瓦で重く、耐力壁の量や位置が不適切で、大雪による積雪や大地震により倒壊の恐れもあります。耐震工事として

・屋根の葺き替え(重たい瓦屋根から軽いガルバリウム鋼板などへ)
・耐力壁や筋交の増強
・耐震金物の取り付け

などを行うことである程度の改善が見込めますが、数百万円規模の資金が必要になる場合も少なくありません。筆者は工務店の建築士さんや屋根大工さんの助言を受けながら自身で瓦屋根を葺き替えて費用を圧縮しましたが、プロと比べるとクオリティも低く高所作業で危険が伴うこともありおすすめしません。田舎移住や古民家リノベに憧れる人もいると思いますが、耐震補強やリノベーションを考えるのであれば中古の新耐震構造(できれば2000年以降築)の物件を購入する、もしくは賃貸する方が好ましいと考えます。

また、積雪の多い地域への移住を考えている方は、冬場の積雪に伴いさらに屋根の荷重が増えるため、瓦屋根の葺き替えを含めた耐震工事の実施もしくは耐震工事済み物件の購入・賃貸をおすすめします。行政が用意している耐震工事補助金なども利用しつつ、実際にどの程度の資金が必要になるのか考えてから移住するのがよいでしょう。さらに購入前・賃貸前には各種ハザードマップをチェックし「土砂災害・津波・洪水」などの危険エリアにできるだけ該当しない場所に住むことも大切なポイントです。

画像上:瓦を取りのぞき下地を補強のDIY・写真下:軽いガルバリウム鋼板で屋根材を葺き替えのDIY

画像上:瓦を取りのぞき下地を補強のDIY・写真下:軽いガルバリウム鋼板で屋根材を葺き替えのDIY


農作物の冬の剪定や屋内移動をする

田舎の古民家には広い畑がついていることも多くあり、筆者の古民家の庭では野菜やブルーベリーイチジクなどを含む果樹を多く育てています。冬の時期には

・伸びて混雑した枝を剪定する
・病気や害虫駆除のため農薬を散布する
・根の張った鉢植えを大きなサイズのものに変える
・土にもみ殻や米ぬかをまぜこみ土をつくる

など翌シーズンへの準備をするのが大切です。また寒さや霜に弱い作物は家の中に移動させ、枯れない・腐らないようにケアしてあげることも忘れずに。特に山間部の盆地などでは放射冷却に伴い早朝の冷え込みが厳しくなることも多いため、tenki.jp天気予報過去の気象データなどをみながら枯らさないように注意しましょう。


2024年3月まで寒気の影響は弱い見込みではあるが注意

気象庁の3ヶ月予報(2023年12月19日発表)によると1月〜3月の平均気温は平年並みか高い見込みです。ただし、寒気が南下して大雪となる日がまったくないというわけではないため、最新の天気をチェックしながら降雪・積雪・凍結・大雨に注意してください。特に能登半島を中心に地震の影響を受けて、家屋や地盤が不安定な状態になっている地域では、影響が大きくなる恐れもあります。tenki.jp天気予報などをこまめにチェックして必要に応じて早期に安全な場所へ避難することも検討してください。

3か月予報(2023年12月19日発表)の解説(気象庁)

3か月予報(2023年12月19日発表)の解説(気象庁


田舎移住と空き家リノベ・冬の古民家暮らしのコツとポイント

田舎移住や古民家リノベは傾向としてメリットが多く取り上げられがちですが

・地震や大雪で倒壊のリスクが高い
・すきま風が吹き断熱能力が低く寒い
・虫が多く侵入してくる

などのデメリットも多く存在します。田舎移住や古民家リノベを検討する人は

・新耐震以降の物件を選ぶ(できれば2000年以降)
・旧耐震の物件の場合は耐震補強を行う
・断熱能力が低いので部屋を区切って温める
・気候特性やハザードマップなどを調べる

など下準備をしっかりと行いましょう。みなさんの田舎移住・古民家暮らしの一助になれば幸いです。

脱サラ田舎移住と空き家リノベ・冬の古民家暮らしのコツとポイント