1月11日に放送された有村智恵がMCを務めるゴルフ情報バラエティ「有村の智慧」(毎週木曜夜9:00-10:00、BSJapanext)は、豪華ゲストを迎えたスペシャル回の前編。平成ゴルフ界のレジェンドともいえる宮里藍と宮里聖志がスタジオに登場し、ゴルフのルーツや父・宮里優から「ゴルフをやめろ」と言われた衝撃のエピソードを明かした。

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■情熱あふれる父の薫陶を受けた宮里兄妹

冒頭、珍しく緊張している有村のようすが映し出される。コーンスープにコーヒーの粉を入れるなど、なかなかないミスをしてしまったようだ。それもそのはず、今回は宮里兄妹がゲストにやってきており、さらに普段はない観覧者も入れての収録になるという。

とはいえガチガチになっているわけではないようで、2023年11月に妊娠を発表した有村と2021年に出産した藍で“妊婦トーク”を繰り広げる一幕も。大物ゲストにいつもよりワクワクしつつ、和気あいあいとしたゆるい空気で収録をスタートした。

まずは同じくMCとして参加した原江里菜も含め、それぞれの関係性を確認しあう一同。高校2年のときに日本ジュニアで出会った原と、連絡先を交換したという藍のエピソードが飛び出した。藍が通っていた東北高校に来て欲しいと考えて、なかばスカウトのように声をかけたそうだ。

当時から注目の的だった藍だが、本人は「“優作の妹”で有名だったと思う」と兄の宮里優作を立てて謙遜のコメント。聖志もその言葉には「優作すごいよ」と納得を示しつつ、「俺誰にも期待されてない」とジョークを飛ばす。謎に満面の笑みを浮かべた聖志に「なにその笑顔!」と突っ込みが入るのだが、「それが一番プロテストで楽やん!」と期待を背負わないことによるメリットを明かすと、「あ~」と全員から納得の声が返ってきた。

続いて話題は「宮里兄妹のゴルフのルーツ」へ。有村が水を向けると、聖志は自分が生まれたときに会ったというエピソードを明かす。「オヤジがもうゴルフさせたくて」と父親の影響だったという話をしつつ、手で30cmほどの空間を作って「これくらいのパター作って、うちのオヤジがね、病院で『このパター保育器に入れていいか』って」と衝撃エピソードを暴露。漫画のような話だが、「ホントだからこれ」「マジの話!」と兄妹揃って真実であることを強調する。

そんな情熱有り余る父だが、ゴルフに関しては優しかったという。しかし唯一厳しかったのは、マナーに関すること。溜息やゴルフクラブを叩きつけるなどということはもってのほかで、一度優作がパターを外して溜息をつき、階段を蹴ったときはパタークラブが飛んできたというから驚きだ。ちなみに大人になった優作は当時を振り返り、「パター投げるのは(マナーとして)どうなん?」と漏らしていたというオチまでついていた。

■父との大喧嘩で「もうゴルフやめろ」

その後もさまざまな話が出るなか、“怒ったときは怒った理由を話す”という人格者な父と藍が大喧嘩したエピソードが飛び出す。

2017年におこなわれた「サントリーレディスオープンゴルフトーナメント」を終えて沖縄に帰ったところ、23時半を回っていた遅い時間にも関わらずファンが空港で待ち受けていたそうだ。カメラでバシャバシャと撮られつつ「ホントにもう、勘弁してほしい」と思っていた藍は、ファンから求められる握手にも「ハイハイ」と少しぞんざいなようすで応じたという。

そうした藍の対応を横で見ていた父は、帰りの車内で藍に「お前ゴルフやめろ」と一喝。「『一寸の虫にも五分の魂だ』って言われて。お前はゴルフやってるから偉いんじゃないんだから、ゴルフやめろ』って言われて…」となるほど納得の言葉をぶつけられたと語った。ただ藍も負けてはいない。「じゃあお父さんこの生活してみてよ!」と大喧嘩になり、その日は家に帰らなかったそうだ。

“誰もが知る宮里藍”になって生活が一変した当時、藍の心労は相当なものだったことだろう。有村も聖志も当時の生活を想像して理解を示したが、「いやまあ、ああやって釘刺してくれる人が身内にいるっていうのは、いま考えてみればすごいありがたかった」と振り返る。父と喧嘩したとも、2~3日考えて「『ああ自分が悪かったな』って腹落ちした」と最終的には納得できたという。

人としてのマナー違反は厳しく叱りつつも、大きな期待を背負う藍に「キツイならやめていい」と優しい言葉をかけたり、曲がった方向に進みそうになった聖志と膝を詰めて「2年頑張ってダメならプロを諦めろ」と語りあった父・優。大きくなってから改めてありがたみがわかるという話は世間にも多くあるが、宮里家の場合でも父の背中が子どもたちを導いていたようだ。

■“宮里兄妹の凄さ”がわかる共感力

3兄妹がすべて結果を残している宮里家。藍に関しては体格についても恵まれているとは言い難いものがあるなか、成績をけん引した要因は“才能”だけではないように思う。今回の番組では、才能と努力をかけ合わせるために必要な“柔軟性”が垣間見えた。

宮里兄妹のコーチである父・優については、プロゴルファーとして多大な成績を残しているというわけではない。となれば当然、プロとなった兄妹に教えられることはそう多くなかったはず。しかし兄妹は父をコーチとして仰ぎ続けた。これはもちろん父・優のゴルフに関する知識とセンスからくる助言のたしかさも大きいと思われるが、多くの視点からの助言を自分なりに噛み砕く力が兄妹に備わっていたからだ。

番組のなかで有村も言っていたが、「プロとしての経験が親を追い越す瞬間」は絶対にあっただろう。だが人間はどうしても視点が偏るもので、1人であらゆる問題を解決できるわけではない。誰かが想像と観察をもとに考え抜いたアドバイスを受け入れられる人間性が、兄妹をここまで飛躍させたのかもしれない。

バラエティ番組といえば表面的な話に終始しがちなものだが、ここまで深く斬り込んだのはやはりゴルフ専門のトーク番組ならでは。宮里家の知られざるエピソードが続くスペシャル回は前後編に分かれており、後編は本日18日の夜9時から放送される。

貴重な話が続出するレジェンド・宮里兄妹ゲスト回前編/※提供画像