2024年2月9日(金)~16日(金)俳優座スタジオにて、劇団俳優座 LABO 公演 Vol.40『スターリン』が上演される。

本作は、本邦初演、かつ日本で初めて紹介されるガストン・サルヴァトーレの作品。ドイツで活躍したチリ出身の作家ガストン・サルヴァトーレは、実際の出来事・人物をモデルとした、反権力の作風で知られている。

本作は政権末期の独裁者スターリンと架空のユダヤ人演出家サーゲリによって進行していく二人芝居。権力の集中の危険性が色濃く描かれており、ウクライナでの戦争、現在のロシアの政権をまさしく彷彿とさせるものになっている。

今回は演出家・眞鍋卓嗣に続く次代の演出家3名、落合真奈美、村雲龍一、中村圭吾を起用。それぞれが年代の異なる俳優を配役し、それぞれの視点からこの作品にアプローチする。

なお、劇団俳優座創立80周年記念事業の公演となり、俳優座の新進気鋭の演出家3名による同一戯曲の同時上演となる。

 
【あらすじ】
スターリンは晩年に過ごしていた別荘にユダヤ人演出家のサーゲリを呼び出した。
話題は彼が上演した『リア王』について。
話の流れで、スターリンがリア、サーゲリが道化を演じることに。
サーゲリにはかつてユダヤ人演劇協会にスパイとして入り込み、同胞を裏切った過去があった。その時に先輩役者2人が粛清されていた。
それ対しスターリンは、当時そこで演じられたリアが権力の空洞化したレーニンを揶揄していたからだと自身を正当化する。
次第にスターリンは自慢話のように自分の経歴を語りだす。
サーゲリにはそれがリアへの道をひた走っているようにしか思えない。道化を演じながら、スターリンがやってきた悪行を言い立て、独裁者スターリンの猜疑的な心理をつく。
一方で、サーゲリの息子ユーリが当局に拘束されていた。
息子の解放のために様々な手段を試みるが、ついに手錠をかけられ息子を救う手だても断たれてしまう。サーゲリは最後まで道化としてスターリンと対峙するが、息子が強制収容所で死んだことが告げられる。サーゲリはリア王が死んだコーディリアをかき抱く最後の場面を一人演じる。

 

劇団俳優座 LABO 公演 Vol.40『スターリン』