アドバンカラーのポルシェ「962C」がFSWを走った! 高橋国光選手がタイトルを獲得したマシンそのものでした

1989年にシリーズタイトルを獲得したマシンが走った!

2023年10月29日富士スピードウェイで開催された「箱車の祭典2023」。純レーシングマシンから市販車ベースのレーシングカーまでエントリーした。今回はその中から、ポルシェ「962C」を紹介する。

スポーツカーレースにおける主役を務めてきたポルシェ

世界スポーツカー選手権(WSC)は文字通り、国際自動車連盟(FIA)によって制定されたスポーツカーによる耐久レースの世界選手権で、1953年から行われてきました。1950年に始められていたF1世界選手権がレーシング・フォーミュラのトップカテゴリーであるF1を使用したドライバーの世界選手権であったのに対してWSCは車両を製造するマニュファクチャラー(メーカー)のための選手権でした。

そして使用される競技車両もスポーツカーの世界選手権を名乗りながらも、その「スポーツカー」の定義が幾度となく変更されたばかりか、スポーツカーを脇役にしてレーシング・プロトタイプが主役となった時代もありました。そうした歴史の中で1960年代から注目を集めてきたメーカーがドイツポルシェでした。

当初は市販車である「356」に搭載されていた2L水平対向4気筒エンジンや「911」の2L水平対向6気筒を使用して、GTカーやスポーツカーで2L以下のクラスで活躍を続けていたポルシェ1968年には3L水平対向8気筒エンジンを搭載した「908」を開発したのを皮切りに、1969年には4.5L 180度V型12気筒を搭載する「917」を投入して総合優勝を狙う存在となり、結果的に王座をほしいままにするまでになっていました。

スピードが上昇し過ぎるとともにメーカーにとっても車両開発のコスト負担が厳しくなるとの理由から、FIAは1972年に、それまで選手権の主役を務めてきた5Lまでのスポーツカーに代わって3L以下のプロトタイプ・スポーツを主役に据えることを決定。

917が締め出されることとなったポルシェは、FIAの選手権を離れ、北米で開催されていたスポーツカーレースの選手権、Can-Amシリーズに参戦することになったのですが、ここで大排気量のアメリカンV8パワーに対抗するためにターボチャージャーの開発に注力しています。

箱車の祭典2023に参加したポルシェ962C

そして1972年1973年の2シーズンでシリーズを席巻するとともに、レーシングカーにおけるターボのノウハウを蓄積してCan-Amを去り、1974年からは再びFIAのスポーツカー選手権(このシーズンは前年までの国際メーカー選手権から世界メーカー選手権に名称が変更されていました)にワークスチームとしてカムバックすることになりました。

前年にデビューさせたポルシェカレラRSR」にターボ・エンジンを搭載したポルシェカレラRSRターボ」が主戦マシンに選ばれ、マトラミラージュフォードアルファ ロメオといったオープン2シーターの純レーシングマシンに混じってシリーズ3位を得ています。

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富士スピードウェイを快走する1989年JSPCチャンピオンカーのポルシェ962C