●冬は風邪をひきやすい季節。胃腸もあったまる「うどん」を食べる頻度も上がりますよね。この「うどん」が風邪予防にもいいそう。その理由を解説します。

 昨年12月は咳のひどい風邪や咽頭結膜熱、インフルエンザ新型コロナウイルスとあらゆる感染症が猛威を振るいましたね。著者の一家は咽頭結膜熱で全滅、親族は新型コロナウイルスにかかり、年越しは「それぞれの家庭で」ということになり少々寂しい年明けでした。

 全国的に咳止め薬が不足する中、著者も高熱、喉の激しい痛みに相当苦しめられました。水分を摂ることすら怖くなるくらい痛みがひどかったのですが、こんな状態でも食事は大事。ということで、重宝したのがうどんです。

 実は風邪予防や風邪のときに食べるといい「うどん」。その理由を探っていきましょう。

うどんが昔、風邪薬だった? 風邪に効くうどんの食べ方とは

喉にも胃にもやさしい救世主
喉にも胃にもやさしい救世主

 風邪のときはおかゆという通説もありますが、おかゆを炊く気力がなく、代わりに活躍したのが冷凍うどんです。うどんが風邪の時の食事にピッタリなのは、ご飯やそば、スパゲッティなど他の炭水化物と比べて圧倒的に糖質が多い点。消化しやすく、すぐエネルギーになりやすいというメリットがあります。

 出汁で体を温め、カツオや昆布由来の栄養も効率よく摂取できると、おかゆと比べても良いこと尽くめ。食事を摂ると自然と水分補給もできるので、柔らかく炊いたうどんは喉ごしも良く、体力が落ちた時の栄養摂取にはベストな食材なのです。

明治・昭和期に「うどん」は風邪薬だった?

 実は地域によっては、昔から「うどんで風邪を治す」と言われ、明治の大阪府、昭和の香川県ではうどん屋風邪薬(とんぷく薬)がセットで売られていた時代があったと言われています。幼少期に風邪をひいた時に、鍋焼きうどんを食べた記憶のある人もいるかもしれませんね。

[食楽web]
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 現代ほど医療が進んでいなかった時代には、温かいうどんを食べてぐっすり眠る。ウイルス性の風邪は特効薬がないので、“うどんを食す”行為そのものに対処療法的な意味合いを持たせていたのかもしれませんね。

 さらに予防を意識するなら、生姜やおろし大根など殺菌効果や体を温める作用のある薬味を加えること。江戸時代の医学書『本草綱目』には、「姜能疆御百邪」(生姜はあらゆる悪・病から身を守る)と記されていて、現代においては、生姜はショウガオールなど、風邪の原因となるウイルスの働きを抑制する効果を期待できることが分かっています。

 ランチタイムは一杯のうどんに、すりおろした生姜を一匙加えるだけで対策完了! 自宅にもうどんとすりおろした生姜を冷凍庫にストックしておけばいざという時の味方になってくれることでしょう。

(文・亀井亜衣子)

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