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(写真:共同通信

埼玉県内の乳児院に職員として勤務していた男が、入所する2歳に満たない女児に性的暴行を加えた事件。各メディアによると、強制性交の疑いなどで再逮捕されたのは藤原凌容疑者(25)で、昨年3月に女児に性的暴行を加え、スマートフォンで撮影。藤原容疑者は取り調べに対して黙秘しているというが、押収されたスマートフォンには、20人以上の女児のわいせつな動画も見つかっているという。また12月に、入所していた別の未就学女児の身体を触ったとして逮捕・起訴されている。

職員の立場を利用したおぞましい事件が起こってしまったが、そもそも「乳児院」とはどういう施設なのか。県内の児童養護施設の運営を管轄する、埼玉県庁福祉部こども安全課の担当者に話を聞いた。

乳児院とは、何らかの事情で親と暮らせない子どもが入所する施設。”乳児”院という言葉通り基本的には0歳児を受け入れることになっているが、法律上では小学校に上がる前までの未就学児も入所できることになっているという。

子どもたちが乳児院に預けられる理由もさまざま。一概に、虐待や死別だけが理由ではないようだ。

「例えば、親御さんから虐待を受けてしまって養育できないとか。あとは親御さんが経済的に面倒見るのが難しいであるとか。あとは何らかの理由で親御さんがいない場合。例えば、お亡くなりになってしまってるであるとか、例えば罪を犯して刑務所で服役中であるとか。

そういったところで、面倒を見られる適切な養育者がいないようなお子さんを保護して、面倒を見ているような施設になりますね」(以下、カッコ内は安全課の担当者)

入所する期間も、子どもが抱える事情による。「一時保護なのか措置入所なのか、児童相談所がどう判断するかというかによる」というが、場合によっては長いスパンで生活することもあるという。

そんな拠り所のない子どもの面倒を見る務めを果たすのが、乳児院の職員。「基本的には身の回りの様々な面倒、要は衣食住全てを施設の方で面倒見る」といい、「本来は家庭で担うべき機能を担う施設の方で少し代わって行う」存在だという。

そんな子どもたちから頼りにされているはずの職員が、今回事件を起こしてしまった。このことについては、どう受け止めているのだろうか。

「乳児院はご家庭の代わりで暮らせる施設であるべきだと思いますので、そういうところでこういったことが起こるというのは、残念、遺憾なこととして受け止めております」

今後、今回のような事件を防ぐための採用面などでの再発防止策について見解を聞くとーー。

「国レベルの方で、そういったことをするかどうかの議論をしているとは聞いてはおります。ただ、採用自体は県と施設の方でしておりますので、どこまで施設の方で職員の性的嗜好を個別に把握できているかというと、そこはなんとも言えないです。

現状、そういったものを把握しないと採用できませんよという形にはなってないですし、どこまで事前にチェックできるか、どういう形でチェックするかというのは、なかなか難しいところもあるかと思います」