ふとした言葉で相手を傷つけたり、怒らせたりしてしまった経験は誰しもあるでしょう。「そんなつもりじゃなかったのに…」をなくすために、齋藤孝氏の著書『「伝える力」が伸びる! 12歳までに知っておきたい語彙力図鑑』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、よりよい人間関係を築くために必要とされるポジティブ(=前向き)な言葉や言い回しを紹介します。子どもはもちろんのこと、大人のコミュニケーション力アップにも役立つ内容です。
<前回記事> 「やばい!」「えぐいわ~」「はぁ、だる」…つい使ってしまう“この一言”。語彙力のある人はこうやって言い換えます【解説:齋藤孝氏】
クラスメイトが自分の習字作品を見て、一言
【シチュエーション】
冬休みが終わり、教室の廊下には宿題の書初めが貼り出されました。作品を眺めていると、近寄ってきた同級生が「ボクって習字が下手だよね」とつぶやきました。確かに、上手ではないけれど…。
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●ついつい言ってしまいがちだけど、あまりオススメできない…
「うーん、まぁ、ビミョー!?」
●こう答えたらいいんじゃないかな?
「ていねいに書いたのがわかるいい作品だよ」
「勢いのある字だから見ていてスカっとするよ」
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【解説】
相手から「下手だ」と言ってきたら、つい賛成したくなるよね。でも、友達は落ち込んでいる。友達の字の長所を探して伝えれば、とびきりの励ましになるよ。
悪口を言う友達が「キミもそう思うよね?」と聞いてきた
【シチュエーション】
ふだんは仲良しの同級生ふたりが、ちょっとしたことでケンカをしたようです。ひとりの子が、ケンカ相手について「あの子、ちょっとワガママだよね。そう思うでしょ?」と話しかけてきました。
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●ついつい言ってしまいがちだけど、あまりオススメできない…
「たしかにねぇ」
●こう答えたらいいんじゃないかな?
「ん~、そうかなぁ?」
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【解説】
「悪口は言わない方がいいよ」と言えればいいけれど、そうはいかない時もある。「たしかにねぇ」だと、「私と同じ意見なんだ」と相手が勘違いしやすいから、気をつけよう。
あまり興味のない話をされた時には?
【シチュエーション】
休み時間に、クラスメイトがテレビ番組について話しかけてきました。キミはその番組を見ておらず、興味もありません。せっかくなら、ふたりで盛り上がれる別の話題に変えてみましょう。
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●ついつい言ってしまいがちだけど、あまりオススメできない…
「ふーん。そんなことより、あのYouTubeチェックした?」
●こう答えたらいいんじゃないかな?
「そうなんだ! ところで、あのYouTubeチェックした?」
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【解説】
興味がない話になると、つい「ふーん」や「へぇ」といった返事をしがちになるから気をつけよう。話題を変えるには、「そんなことより」より「ところで」の方がやさしい言い方だよ。
齋藤 孝
1960年静岡県生まれ。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。著書に『語彙力こそが教養である』『小学3年生から始める! こども語彙力1200』(いずれもKADOKAWA)、『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)、『声に出して読みたい日本語』(草思社)、訳書に『現代語訳 論語』(ちくま新書)など多数。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導。
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