自分の体調が気になったとき、ネットでその原因を調べている人は多いと思います。でも、多くの情報を手に入れても、どれを活用したらよいのか分からなかったり、症状が軽いので医師に相談するのをためらったりしていませんか?

 ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル カンパニーが2023年10月26日11月7日に実施した『人生100年時代×デジタル社会の総合的なヘルスリテラシー国際調査』では、日本の「ヘルスリテラシー」の自己評価は10点満点中5.4点となり、日本・アメリカ・イギリスオーストラリア・中国・フィンランドの 6ヵ国中で最下位となっていました。ちなみに、ヘルスリテラシーとは、健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力のことをいいます。

 また、調査結果全体でも、医療・健康における「情報収集・判断」「行動」「デジタル活用」「コミュニケーション」における自己評価が、日本は前述の6ヵ国の中でも低いことが分かりました。とくに気になるのが、日常生活で慢性的な痛みや苦痛を感じながら我慢をしている人の割合です。フィンランドの55.9%、アメリカの38.5%に次いで、日本は3位の32.3%でした。我慢をしている理由を尋ねたところ、「我慢できるくらいの痛み・苦痛だから」と回答した割合は、日本が最も多く60.4%に上っています。

 さらに、受診時に医療関係者と対話ができている自信のある人は日本では4割以下で、医療関係者による説明の理解を深めたり、質問や自分の意見を伝えたりすることについて、あまり積極的ではないようです。

 監修した京都大学大学院医学研究科健康情報学の中山建夫教授は、同調査の結果に対して次のようなコメントを寄せています。

「健康・医療においては、“目の前に起きている事象・状態”に対処することは確かに重要ですが、『自分はこうありたい・あるべきだからこの事象・状態を変えていきたい(またはこのままでいい)』といった、人生100年時代を生きる上で少し長期的な思考を持つことも有用な場面があります。

 本調査で、日本の生活者は健康の定義を『病気ではない、弱っていない状態』とする回答が6ヵ国の中で最も多かったことは、健康・医療を目の前の事象・状態としてのみ捉えている人が多いことの表れかもしれません。不調を感じても様子をみてしまう人が多かったこと、痛み・苦痛を『我慢できるくらいだから』と我慢する人の割合が高かったことも、こうした捉え方が関係しているといえるでしょう」

「医療従事者と対話するために必要なことは、必ずしも『医学知識を深めること』ではありません。例えば、医療者から伝えられた医学知識を『納得・理解できること』は重要ですし、さらに重要なことは『自分の人生において、健康・医療の事象や状態にどう対応していくかを自ら考えていく姿勢』だと思います。

 難しい医学情報を極めようとは思わず、ぜひ『判断できる情報の捉え方』『自分の健康の現在地を知る』『自分がどんな人生を送りたいのか整理する』などを意識してみてください」

 中山教授は、健康診断やがん検診の受診に加えて、まずは身近なデジタルツールを日常の健康管理に取り入れてみることも勧めています。もし、自分の健康状態で気になることがあれば、それに積極的にかかわって長い目で見たヘルスケア計画を立ててみるのもよいのではないでしょうか。その上で、健康情報やデジタルツール、医療関係者との付き合い方のベストな方法を探っていければよいですね。

アサジョ