世界中で人気を集めた「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」やミステリー要素の強いヒューマンドラマとして日本でも話題になった「シスターズ」、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」で旋風を起こしたパク・ウンビンの最新作「無人島のディーバ」、第28回釜山国際映画祭のアジアコンテンツ&グローバルOTTアワードで最多6部門を受賞した「ムービング」。「イカゲーム」イ・ジョンジェの初監督デビュー作『ハント』(22)から、ハン・ヒョジュの大変身で注目された『毒戦 BELIEVER 2』(23)まで。

【写真を見る】最新作『貴公子』で、残忍な殺し屋役に挑戦したキム・ソンホ

2023年、様々な秀作で活躍した韓国スターたちは、今年も最新作の公開を控えていて、韓国コンテンツのファンのなかでも期待が高まっている。MOVIE WALKER PRESSでは、韓国コンテンツに造詣が深いライターへアンケートを実施。昨年を振り返りつつ、2024年を輝かせてくれるに間違いない、“推せる”俳優たちを紹介してもらった。

■日本公開を控えている最新作で、凶悪なヴィラン役に挑戦!キム・ソンホ

私がキム・ソンホの魅力を知ったのは、「海街チャチャチャ」のホン班長。懐の深い便利屋のお兄さんキャラはたしかに惹かれるものはあったが、完全に心を掴まれたのは韓国で去年の夏に公開された映画初主演作『貴公子』だ。手がけた『The Witch/魔女』(18)のパク・フンジョン監督をして「キャラクターを思いついたとき、キム・ソンホ以外に考えられなかった」と言わしめた主人公の“貴公子”は、本名も目的も全く謎という残忍な殺し屋で、凶器の扱い、銃のさばき方、一挙手一投足のすべてが優美だった。標的を追うダッシュすら美しく、足先まで神経が行き届いた演技に俳優としての比類無きセンスを感じたのだった。韓国映画の得意ジャンルとしてすでに確立したかにあった韓国ノワールに新たな地平を開いたキム・ソンホ。ついに今年4月12日(金)の日本公開も決定したので、作品を引っ提げての来日を期待している。

■アクション演技も見てみたい!子役俳優たちのロールモデル、イ・レ

子役からベテランに至るまで、あらゆる世代の層が厚い韓国の俳優陣。2023年を彩った数多いる子役俳優にとって最も近いロールモデルであろうイ・レも“今年の推し俳優”だ。去年10月の釜山国際映画祭で上映された『IT′S OKAY!(原題)』では、突然母親を交通事故で亡くし天涯孤独になった高校生に扮し、苦難をはねのけながら韓国伝統舞踊に青春を賭けるひたむきさが眩しかった。圧巻だったのは主人公モクハの少女時代を演じた「無人島のディーバ」だった。舞台である慶尚北道の方言を完璧にこなし、第1話で登場を終えてもラストまでイ・レの名演が頭をよぎった。はつらつとした天真爛漫キャラから悲壮なバックグラウンドを背負う薄幸の少女まで繊細に演じ分ける元祖・名子役。『新感染半島 ファイナル・ステージ』(20)でのカーチェイスシーンで見せたハンドルさばきも華麗だったので、今年はぜひアクションシーンも見てみたい。

(ライター・荒井 南)

■“清純派の代名詞”から、無残に人を殺す悪女に大変身!ハン・ヒョジュ

推し度をアップデートさせ続けている俳優はハン・ヒョジュ。「華麗なる遺産」のピュアで健気すぎるヒロイン役に、涙が涸れるまで泣かされて以来すっかり虜に。「トンイ」や『ビューティー・インサイド』(15)で日本でも有名になり、誰もが認める正統派。発音が良く声のトーンも心地よい、安定感のある俳優だ。更にファン度を深めてくれたのが「ムービング」。2023年の話題作で数々の賞を獲得した本作では母親として登場。高校生の子を持つ母親役というだけでも驚きなのに、生存不明の夫の帰りを何年も待ち、特殊能力を持つ息子を一人で育て上げ、全ての敵から息子を必ず守り抜く強い肝っ玉かあちゃんがそこにはいた。母親の厳しさや愛情の深さを表現していたのはお見事で、俳優としての新たなステージを見せてくれていた。『毒戦 BELIEVER 2』では乱れた髪に汚れた薄茶の肌、下品な笑い声とともに無残に人を殺す“ビッグナイフ”と呼ばれ、清純な彼女の姿は一切ないがそれも似合ってしまう。作品のための体作りなどストイックで傷だらけの体も仕上がりにも注目してほしい。これから何十年と長く追っていきたい俳優である。

(ライター・ヨシン)

■正義のヒーロー、スマートなエリート、サイコパス殺人鬼まで…どれもが“ハマリ役”!ウィ・ハジュン

イカゲーム」での兄を探す警察官役でブレイクしたウィ・ハジュン。180cmの長身に広い肩幅、徹底的に管理した筋肉質な体はそれだけでもうカッコいい!強い眼力で、『殺人鬼から逃げる夜』(21)連続殺人犯や「最悪の悪」の犯罪集団のボスなどダークな役もハマりますが、「シスターズ」のエリートコンサルタント役ではスマートで色気ダダ漏れ。「18アゲイン」でのさわやかでちょっと内気な野球選手姿もキュンとしました。黙ってると怖そうだけど、口角の上がった大きな口でニッと笑うとキュートさ爆発でギャップ萌え。他にも「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」でのお気楽そうな弟役など、幅広い役にストイックに向き合い、どれもが“ハマリ役”になる俳優さんです。高校ではダンス部だったり、アイドルになりたくてSMやJYPのオーディションを受けたという意外な過去も。私のイチオシは、「バッド・アンド・クレイジー」での自称“正義のヒーロー”で破天荒キャラ。豪快なアクションはもちろん、元カノにモジモジする姿も可愛すぎて、彼の魅力が360度堪能できます。次回作は「卒業(仮)」でラブストーリーに挑戦。初恋の先生を想い続けるエリート塾講師役で、さらに“ハジュン沼”に堕ちそうです。

(ライター・鳥居美保)

■演技はもちろん、歌までうますぎた!日本でも大人気な女優、パク・ウンビン

ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」の大ヒットで日本でも一気に知名度が上がったパク・ウンビンだが、2023も期待を裏切らなかった。正直、ウ・ヨンウの後にどんな役をやっても霞みそう、と心配していたが、杞憂だった。ドラマ「無人島のディーバ」で、無人島で15年間一人で過ごした後、夢だった歌手デビューに改めて挑戦する主人公ソ・モクハを熱演した。パク・ウンビンは1992年生まれだが、96年に子役デビューし、演技歴27年のベテランだ。大ヒットにも一喜一憂せず、与えられた役に全力を注ぐのみ。歌があまりにうまいので、まさか本人ではあるまいと思ったが、本人だった。感情を乗せて歌うからか、心の奥まで響いた。案の定、OST(サントラ)がCDとして発売されることに。セリフも方言が強いが、それもまたうまい。本当に多彩なのだ。ドラマ「ブラームスは好きですか?」で主人公のヴァイリニスト役を代役なしで演じたのも話題になっていた。

■とろけるような笑顔が魅力的!二階堂ふみとの共演を控えている、チェ・ジョンヒョプ

無人島のディーバ」で一躍注目を浴びたのは、TV局プロデューサーのカン・ボゴル役を演じたチェ・ジョンヒョプだ。“クリーミースマイル”と言われる、とろけるような笑顔が魅力的なのはドラマ「わかっていても」でよくわかっていた。それに加え、ボゴルはモクハ(パク・ウンビン)を静かに大きな愛で包んでくれるようなキャラクターで、表情1つ1つ、繊細な演技が光った。前半では事情があってモクハに冷たかったので、正体が明らかになった後半のギャップにノックアウトされた。落ち着いた優しい語り口も、見ていて癒される。彼はちょっと変わった経歴の持ち主で、南アフリカ共和国に留学経験があり、現地でモデルとして活動を始めた。俳優としてはドラマ「ストーブリーグ」で広く知られ、主演ドラマ「時速493キロの恋」でKBS演技大賞新人演技賞を受賞。1月23日放送開始のTBSドラマ「Eye Love You」では二階堂ふみと共演し、年下の彼の役を演じる。ますます日本でも人気が沸騰しそうだ。

(ライター・成川 彩)

■振れ幅の広い役柄に、“カメレオン俳優”という異名も!イ・ジュニョク

端正な顔立ちなのに、どこか胡散臭さや狡猾さが漂う役どころを演じる彼が気になっていた。米ドラマをリメイクした「サバイバー:60日間の大統領」は悲惨なテロの生存者として英雄扱いされるもウラのある男、「ヴィジランテ」では財閥グループの副会長で潤沢な資金を使い、偽ヴィジランテとして世間を騒がすようなアブナい奴をエキセントリックに演じていた。そして映画『犯罪都市 NO WAY OUT』(2月23日公開)では20kg以上をも増量した体で、無双マ・ドンソク相手に大暴れする汚職刑事役を熱演。カメレオン俳優の異名を持つ彼だが、これほどまで振れ幅の広い役柄に挑めるポテンシャルに、私は惚れました!24年は彼にとって当たり役の1つ、大ヒットドラマ「秘密の森」で演じた愛すべきダメ検事を描くスピンオフ「良いか、悪いドンジェ」で主演を務める。1984年生まれの彼もいよいよ40代に突入。脂の乗った俳優としてますます演技の幅が広がりそうな予感、期待値をグーンと高めに設定して注目していきたい。

■デビューからわずか数年で、若手女優のトップへ!今後がもっと期待される、コ・ユンジョン

2019年に女優デビューして、わずか数年の間に若手のトップを行く勢い。Netflixシリーズ「Sweet Home -俺と世界の絶望-」では、モンスターにも負けない強気な女子で注目されたが、個人的には「ロースクール」で恋人からのDVに苦しみながらも気丈に振る舞う学生を演じていた姿が忘れられない。時代劇「還魂」シーズン2ではヒロイン役を務め、俳優イ・ジョンジェの初監督映画『ハント』では、男たちの硬質なドラマのなかで印象を残した。そして、2023年最高の韓国ドラマの呼び声が高い「ムービング」では可憐な女子高生役で登場。1996年生まれ、現在27歳だが、制服姿で青春の甘酸っぱい恋愛模様をこなせるキュートさがある。また名優リュ・スンリョン演じる父親と織り成す親子愛でも泣かせてくれる。2024年は大ヒットシリーズ「賢い医師生活」のスピンオフ「いつかは賢くなる専攻医生活」で主演を務めるという。どんな女医キャラを演じるのか楽しみでたまらない。

(ライター・前田かおり)

■チョン・ウソン&シン・ヒョンビン

この冬、韓国で注目を集めているドラマと言えば日本の名作「愛していると言ってくれ」の韓国版。主演のチョン・ウソンは原作に惚れ込み、版権を購入してドラマ制作にもかかわったという力の入れようだ。チョン・ウソンといえば『私の頭の中の消しゴム』(04)でも日本のドラマのリメイクに携わり、大ヒットを記録。最近ではロングランの映画『ソウルの春(原題)』でも主演を務めているが、ここ10年ほどは恋愛ドラマから遠ざかっていた。「愛していると言ってくれ」のチョン・ウソンは、やさしさや包容力、間の取り方、不器用な笑顔が抜群に優れていて、“大人のいい男臭”がプンプン。そして背も高く、パートナーを務めるシン・ヒョンビンとの身長差にもドキドキする。

シン・ヒョンビンといえば「賢い医師生活」で一気に知名度を上げ、その後「財閥家の末息子~Reborn Rich~」にもキャスティングされた。シン・ヒョンビンの清楚な美しさは、「愛していると言ってくれ」の世界観にぴったりだ。ゆっくり、一生懸命に手話で思いを伝える姿に心打たれる視聴者も多いだろう。韓国ドラマによくある気の強い女性ではなく、相手に寄り添う健気な姿を見ていると、見ている側までやさしい気持ちになれる。

(ライター・鈴木ちひろ)

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