「離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―」(毎週土曜夜11:30-0:00 、テレビ朝日系)の第1話1月20日に放送された。さっそくドス黒い物語の核心が明かされ、険しい道を行かなければならない主人公に同情を禁じ得なかった。SNSでも「キャストからして攻めすぎ」「エグすぎて胃がきゅってなった」と話題を集めている。

【写真】謎の探偵・佐藤大樹“三砂”と伊藤淳史“渉”の距離感にも注目

■「離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―」とは

同作は、大竹玲二による漫画「離婚しない男」(講談社ヤングマガジンKC)を原作に、3月31日(日)をもって放送作家業・脚本業からの引退を発表している鈴木おさむが脚本を担当。妻の不倫に気付かぬ振りをしながら不倫の証拠を日々収集し、父親が親権を獲得するという困難な壁に立ち向かう男の姿を描くリコン・ブラックコメディーだ。

主演の伊藤淳史が演じるのは、妻の不倫を目撃し離婚を決意する大手新聞社の社会部エース記者・岡谷渉。そして、渉の妻・綾香(篠田麻里子)と不倫を繰り返す芸能事務所のチーフマネジャー・司馬マサト小池徹平が、渉とバディを組んで綾香の不倫の証拠集めにまい進する探偵・三砂裕を佐藤大樹が、親権事案において日本有数の解決実績を誇る敏腕弁護士・財田トキ子を水野美紀が演じる。

■渉が「離婚しない」理由

大手新聞社・関東新聞の社会部エース記者としてバリバリ働いていた渉。しかしある日、無理を言って在宅ワークに切り替えることに。上司にも惜しまれつつも「出世街道」から外れる道を選んだのには、理由があった。

シェフである父が持ってきてくれたハンバーグを捨てられたり、急に在宅ワークに切り替えたことで浮気を疑われたりしても、なんとか耐える理由。それは浮気をしている妻から、娘・心寧(磯村アメリ)の親権を獲得したうえで離婚するためだ。

ある日の仕事中、張り込みの中で偶然妻が見知らぬ男…司馬とホテルへ行く姿を目の当たりにした渉。妻が寝た後にスマホをのぞき見たところ、メッセージアプリで「私が愛してるのはあなただけだよ」「旦那が愛してるとか言ってきてキモい」といった動かぬやり取りの証拠も見つかった。

しかし、つてを頼って探した凄腕の弁護士事務所「財田法律事務所」で事情を告げたところ、返ってきたのは「無理でございますね。お親権の獲得は」という断定的な言葉。「どうしてですか?え、不倫してるんですよ!」と民法に違反している行為を働いていることを訴えるが、敏腕弁護士・財田トキ子は「この写真だけだと、証明ができないでございますわよ」と説明する。

具体的に不倫行為が行われているということを証明するには、ホテルへ入っていく写真だけでは“滞在時間”が分からない。さらに「愛している」といったメッセージのやり取りだけでは、肉体関係があるのかどうかも不明。ついには妻のスマホを盗み見るといった行為そのものも、民法においては不法行為にあたる…。渉が集めてきた証拠は、すべて隙だらけだったのだ。

さらに、財田は「そもそも、不倫そのものは親権獲得の理由にはならないんでございます」と続ける。親権獲得においては“子育てに適している”と認められる方が有利。「母性優先の法則…産んだ親だから、母親だから、子どもの監護・養育には母親の方が向いている。母性を求める子どもの福祉の観点から、父親と暮らすより母親と暮らす方が望ましいとされている…。そういう昔からの考え方がある」と語った財田が最後に伝えたのは、今の日本における父親の親権獲得率が1割という厳しい現実だった。

在宅ワークに変えてキャリアも捨てて、すべてを賭けて臨むつもりだった親権獲得の戦い。だが、それでも財田は勝てる見込みがないと考えて弁護を引き受けるつもりはないと断言する。

しかし、肩を落として「どうすればいいんだよ…」と居酒屋で落ち込んでいた渉を、救う者もいた。財田法律事務所で見かけた金髪の青年・三砂だ。

■反撃の第一歩は苦痛の「録画」

三砂は弁護士ではなく探偵と名乗り、「裕って呼んで、渉」と異様な近さで用件を告げる。「財田先生は勝てない戦いはしない…だけど確率が上がれば、その依頼を受けてくれる可能性はある」「渉は、戦うのをやめるの?」と強い熱意で、渉に“確率”を上げるための証拠を集めるよう指示するのだった。

そして、三砂自身も翌日には出掛けていく綾香の後を尾行する。案の定、例の男と会った綾香を「ドチャくそエモくなってきたー!」と謎のハイテンションで追いかける三砂だったが、その行先は渉らが住んでいるマンション。電話で状況を逐一報告される渉も「綾香が帰ってきたってこと?」と困惑するのだが、綾香は1人ではない。不倫相手の男とともに、2人でマンションへ入っていくのだ。

思い返せばついこの間、隣の部屋に荷物を搬入する作業員の姿を見ていた渉。とっさに部屋を飛び出すと、まさにニアピンで綾香と不倫相手が隣の部屋に入っていくところだった。大胆にも、一家が暮らす隣の部屋で不貞行為を働こうということらしい。

「なんでわざわざ隣の部屋を…」と崩れ落ちる渉をよそに、隣の部屋では「ショウタイムだ!」と興奮した様子の司馬。打ちのめされた様子の渉だったが、そこに三砂から「渉、いい?ベランダに出て、隣の部屋を撮影するんだ」と指示が。とんでもない命令に無理だと拒否する渉。しかし、「心寧ちゃんの親権を取るんだろ!」と叱咤されると、決意を秘めた顔で動き出す。

ベランダに出ても隣の部屋までは大きな柱がある。なんとか自撮り棒を使って伸ばしてみても、なかなか部屋の様子を撮影する角度までは遠い状態だ。その間にもいままさに情事にふける「マサトのをちょうだい」という綾香の声が聞こえて、(あいつ…マサトっていうのか~!)と内心で怒りが募る渉。そして、その動揺が伝わってしまったのか、手元を誤ってスマホを取り落としてしまう。スマホは墜落し、マンションの玄関へ。

やがて雨も降り出して来た。落下したスマホを回収しにマンションを出た渉を、三砂が「つらかったね」と労わる。「俺…残ってたんだ。綾香への愛情が」と泣き出した渉を抱きしめる三砂。だが彼の口から出てきた言葉は、安易な慰めではなかった。

「渉がやるべきことは…心寧ちゃんの親権を勝ち取ることだから。そのためなら、どんなつらい道も乗り越えよう」。厳しいようで温かい三砂の言葉に、渉は改めて決意する。「俺は絶対に…心寧の親権を取る…!」。

第1話からえぐいストーリーの同作に、SNSでは「いろいろと攻めてるドラマだな~」「キャスティングが尖り過ぎてて、それだけで見ちゃうわ…」「面白過ぎて家事が全然進まなかった」「エグい不倫劇なんだけど、ちょっとコメディチックなのがすごいバランス」といった声が集まっている。

篠田麻里子“綾香”と小池徹平“司馬”のエグい不倫劇/(C)テレビ朝日