日本政策金融公庫(略称:日本公庫)が、1月7日(日)東京大学において第11回「創造力、無限大∞ 高校生ビジネスプラン・グランプリ」の最終審査会を開催。当過去最多の参加校数505校・プラン数5,014件の中から選ばれたファイナリスト10組がプレゼンテーションを行い、岸田内閣総理大臣から高校生に向けたビデオメッセージが届くなど大盛況となった。

最優秀賞グランプリを獲得したのは田園調布学園高等部の中村美月さん。

グランプリを受賞した美月さんのプランは『世界の女性を幸せにする「テック・ドミトリー」』。日本の企業からサポートを受け、無償でITスキルと日本語を学べる女性専用の寮を開設し、女性の就業を支援するというもの。このプランは自身の海外生活の体験を元に、世界の女性の社会格差問題に着眼し、日本のIT人材不足を同時に解決できるとして、女性、企業の双方にとってインパクトの大きい点が高く評価された。

グランプリを受賞した中村美月さんは「まだまだスタートに立ったばかりですが、この賞を自信に精力的に活動していきたいです」とコメント。

また準グランプリに輝いたのは栄東高等学校の中藤凛音さん、「廃棄ウニ殻を漆喰に 株式会社ウニコーンの石灰ビジネス」。産業廃棄物として焼却処分されるウニ殻から生石灰を精製し、地球にやさしい漆喰を製造販売するというもの。

審査員特別賞を受賞した静岡県立伊豆伊東高等学校、ヤンケアフレンズ友の会の「全国に広げよう!ヤングケアラーの輪」も興味深い。ヤングケアラーを支援するため、地元飲食店が加盟する店で毎日無償で食事を提供できる仕組みを提案するというもの。仕組みとしてシンプルで、予算さえ取れれば実現までのハードルが低く、各自治体にはぜひとも検討してもらいたい素晴らしいビジネスプランだ。

優秀賞を受賞した岡山県立笠岡商業高等学校、笠SHOP探求班「紫音橙龍」によるプラン「北木島DAIDAIGO! GO!「きたり」は、地元が持つリソースについて考え抜いたもの。北木島の名産品である橙の栽培や商品開発を学校行事化し、学校にノウハウを蓄積することで、後継者不足の問題を産学協同で解決するというものだ。知識・ノウハウの蓄積を民でも官でもなく、“学校”という場所に設定するという、学生ならではのユニークで素晴らしい。

また今回の最終先行まで残らなかったものの、優れたビジネスアイデアが多数エントリーしていた。北海道大谷室蘭高等学校、あなたの姿勢を守り隊の「バイバイ ストレートネック!!〜子供たちを守りたい〜」や、富山県立富山工業高等学校、ものづくり学 チーム近丘「ノート管理アプリ『ノー取ン』で、最高得点ゲットだぜ!!」、長野県松本県ヶ丘高等学校、水谷俊介さん「自転車危険予測アプリ Birds eye ぴーちゃん」など、いずれも優秀なアイデアばかり。

水谷さんの「自転車危険予測アプリ Birds eye ぴーちゃん」は、自転車で行動範囲が広がり始めた小学校高学年のこどもを対象にした自転車危険予測アプリで、登録した危険な交差点に近づくと注意喚起を促す。クエストと報酬を使ったゲーミフィケーションのアイデアが優れており、こどもと保護者にとっては素晴らしいアイデアの一言に尽きる。

高校生ビジネスプラン・グランプリはこれまでにも開催されており、いずれも素晴らしいプランを創出してきた。今後もぜひとも注目して頂きたい。