神奈川・川崎を拠点とする、8人組ヒップホップクルー・BAD HOP。来る2月19日東京ドームでの解散ライブを控える彼らに、最後にやり残したことを清算する機会が与えられた。用意されたのは、共同生活のための一等地のシェアハウス。それに、1週間の時間と、1000万円もの大金。これが、ABEMAにて放送中の『BAD HOP 1000万1週間生活』に関する全貌である。

参考:【写真】元手200万円で挑んだカジノの結果は……?

 以下より、1月20日公開の【#3】から見どころを紐解いていく。細かなネタバレもあるため、ご注意いただきたい。

・G-k.i.d、人生初演技ですでに“役者ぶった”振る舞い 「チンピラ役しか来ねえぞ」

 「童貞だと思われてんだろうな」「ハニートラップだらけですよ、DM」と、その影響力を思えば仕方のないことだと、不服ながらも語るBenjazzyこと石川幸和。毎週日曜放送のラジオ番組『#リバトーク TO THE DOME』(interfm)にて、『BAD HOP 1000万1週間生活』の反響に触れた場面でのことだ(1月14日オンエアでのこと)。

 【#1】での合コン企画と、YZERRが仕掛けたハニートラップにより、Benjazzyに女性ファンが急増中とは巷の噂。Instagramには、数多の女性からハートマーク付きの“手招き系”なDMが届き、行きつけのラーメン屋でも、まだ全然食べている途中にも関わらず、店員から初めて声を掛けられるなど、オンライン/オフライン問わず、この番組が視聴者を魅了してやまないことを実感する出来事続きらしい。ここからオンエアを重ねるに連れて、そんな声や行動もさらに増える一方かと思われるが…………。

 なにはともあれ、今回の【#3】における主役は、BenjazzyではなくG-k.i.d。それに、T-PablowとTiji Jojoの、工事現場でグローブをはめた写真が、某番組にて一部加工されたことで話題を呼んだ“幼馴染ペア”だ。まずは、G-k.i.dの方から見ていこう。

 残金659万円で迎えた、共同生活3日目。G-k.i.dにとっては、“特別な門出”を迎える日でもあった。彼が幼いころから興味があり、クルー解散後の新たな道のひとつとして見据えている“俳優業”。もちろん、これまでの演技経験はゼロ。この日は、稽古などのステップをすっ飛ばし、人生初のドラマオーディションにいきなり体当たりで挑戦をするのだという。オファーがあったのは、ヒップホップを題材としたドラマ作品でのラッパー役。本番を待つ間、用意された台本を楽屋で読み込むのだが……まったく頭に入ってこない。悪戦苦闘するも間もなく、オーディションの時間を迎えてしまった。

 すると、G-k.i.dがいるのと同じ会場に、なぜかYZERR、Yellow Pato、Bark、Vingoの姿も。G-k.i.dには内緒で、オーディションを監視しながら、その模様を実況してくれるという。本人らとしては「茶化しにきただけ」と恥ずかしがっていたが、本当は大切な友人の夢を応援したいのだろう。

 そんな友情にしみじみとさせられた矢先。G-k.i.dがオーディション会場に入場すると……「歩き方から(役者に)入っちゃってんじゃん!(笑)」「洋服どうにかしろよ!」と、ツッコミの嵐。前言撤回。マジでめちゃくちゃに茶化しにきていた。とはいえ、ほかの役者と並んで見せると、約束されたチンピラオーラだけは一級品である(【#2】終盤で、YZERRがTiji Jojoにハッパを掛けていたのと同様、これがBAD HOP独自の応援スタイルなのかも? ちなみに、G-k.i.dが着用していたのは、SAINT Mxxxxxxの2023AWのロンTに、Rick Owensのスニーカー。彼はこの秋、マジでこれしか服がないのかというくらい、一張羅としてどんな場所にも着て行っていた)。

 まずは自己紹介から。この時点で、YZERRらが全員で声を揃えたほど、緊張しっぱなしのG-k.i.d。幼い頃に影響を受けた作品を尋ねられるも、なんとか絞り出した答えは『ハリー・ポッター』。だが、それは他所行きの顔。YZERRは、自分たちが小学生の頃、G-k.i.dの自宅を尋ねると『ビー・バップ・ハイスクール』しか流れていなかったと本来の顔を暴く。微妙にしか笑えない答えを出したG-k.i.dに共感性羞恥を抱き「無理かもしれない本当に」と、Yellow Patoが胸の前でガッツポーズを固め、笑いを殺そうとしている姿が印象的だった。

 いよいよ、肝心の演技審査に。だが、忘れてはいけないのは、G-k.i.dがまったくもって台本のセリフを覚えていないこと。となると当然、アドリブでの演技がほとんどに。たとえば、仲間が披露したフリースタイルについて振り返る場面では、本来であれば「そうか? どうせ、仕込みだろ?」と言わねばならないところを「そうか? あんなんネタだろ?」とアレンジ。「ラッパーだったら、どんな場所でもブチかましてナンボだろ」は、「ラッパーなんだからよ。場所なんて関係ねえよ。カマすだけだろ」に。ダメだ、普段のG-k.i.dの喋り口調すぎる。おまけに、途中で挿入すべきアイスコーヒーの注文シーンは、注文自体を忘れる始末。YZERRから「最初からオリジナルな感じ出すなよ!(笑)」「なんも覚えてねえじゃねえか!」とツッコミが入ったのはいうまでもない。

 そんな“フリースタイル俳優”としての見逃せない所業や、妙に“役者ぶった”振る舞いはこの後、さらに勢いを増すばかり。先ほどの演技に対して、ラッパーたる佇まいは評価されたが、演技から相手を動かそうという意識が感じられないと指導が入ると「そうすよね。ちょっと(相手を)見れてなかった」と頷く。すかさず、YZERRは「もうそっちだ?」と、演技どうこう以前の問題で、役者の“や”の字も理解できていないはずなのに、妙に役者ぶって理解を示そうとする姿勢と振る舞いをひと笑い。さらに、用意されたもう一本の台本に移る際、今度は一番手として、ほかの役者のお手本なしでの挑戦を促されるも「どっちでも。先に行った方がいいすか?」と、なぜか演技上級者のような顔つき。どっちでもじゃあないんだよ。

 これだけではない。続く台本は、異性とカフェで会話をする恋愛要素があったのだが、仕事優先タイプの男子として、“早く帰りたい感”を出したと、オリジナルの設定を勝手に考え始める。そんなG-k.i.dの思惑とは裏腹に、実況をするメンバーの目には「チンピラ役しか来ないぞ。幅なさすぎるだろ」という印象にしか写らなかった模様。G-k.i.dの放つチンピラオーラは、BAD HOPのなかでも追随を許さない。前述の通り、監督には短時間ながらも佇まいだけは評価されたほど。この監督、たぶん見る目がある。

 するとここから、“悪知恵の神”ことYZERRの暗躍が始まる。監督に密かな指示を出し、カフェの設定をクラブに急遽変更。フロアで爆音が鳴るシチュエーションを思い浮かべながら演技をしてほしいというオーダーをするも、「踊ったことがない……」と弱気なG-k.i.d。先輩からの電話に「いま、ハーレムにいます」と、その場を渋谷のクラブ・HARLEMだと想定したオリジナル設定をまたしても披露し、パンツのベルト部分に手を当てながら、“エア”で右手にグラスを持ちつつ、申し訳程度に揺れ始める。そんな姿を見てられず、いよいよYZERRらがネタバラシのため、オーディション会場に突入。G-k.i.dは「そんなことあるんだ」と、こんな場所にも仲間の手が伸びてくるものかと思考がフリーズし、天を仰ぐしかなかった。

 台本の勝手な改変に、妙に役者ぶった態度と、演技の場でも問題児ぶりが目に余ったG-k.i.d。とはいえ、所々の振る舞いに気持ちは入っていたし、なにより“演技演技”せず、自身の自然体で役柄に取り組めていたことは、しっかりと評価してもらえたよう。出演を前向きに考えてもらえると聞くと、台本の飛ばしまくった部分も「いまならできる」と、ビッグマウスぶりを再び取り戻したところで、大爆笑に包まれながら人生初オーディションは終了した。

・Tiji Jojo、“エセカジノ師”の姿で韓国に出現 「すみません、全然記憶がないんですけど」

 時系列は前後するが、G-k.i.dのオーディション前の朝6時。番組スタッフが、韓国に発つT-PablowとTiji Jojoを迎えに来ると、シェアハウスに異変が起きていた。そこには、BAD HOPが過去に出演した大型イベント『THE HOPE』などでスプレーアートを務めた、グラフィックデザイナー・鬼頭(ただしものすごく悪酔いしている)の姿が。

 外のテラスにて、Benjazzyとタバコを燻らせていたところ、起き掛けのTiji Jojoを見つけるやいなや、「キョーダケ!  ンッゼンブッワスレテッ!」と、朝6時の都内とは思えぬ声量で、“あのライン”を連呼。ご機嫌でテキーラ並々のショットグラスを押し付けてくると、否応なしに乾杯を求める。“今日だけ”とか言って、どうせ毎日忘れているくせに。

 なんでも、YZERRとこの3時間前に飲みの場で遭遇し、そのままお持ち帰りをされてきたらしい。韓国出発までギリギリのTiji Jojoを座らせ、またしても「キョーダケ!  ンッゼンブッワスレテッ!」を合図に乾杯し、どのくらい残っていたのかはわからないものの、そのままボトルを空に。なんだろう、“High Landに連れていく”とは、自我や記憶をすべてぶっ飛ばすということなのか。大学生の飲み会コールとして定着しそうなくらいキャッチーなメロディは、さすがTiji Jojo謹製のフロウといったところだ。

 Tiji Jojoを見送った後、鬼頭と同じく泥酔状態のBenjazzyはおもむろにキッチンに。トレードマークであるPRADAのバケットハットを被りながら、にんじんを切るため包丁を片手に持ちつつ、スタッフにテキーラを勧めるなど、はたから見なくとも猟奇的で頭がおかしい。さすが、短いシーンでも結果を残す男(断った場合、どう料理されてしまうのか……)。

 すると、その後ろでは鬼頭が椅子に座ろうとするも、滑って床に転げ落ち、Benjazzyが爆笑。さらに、お手製の豚汁の味見を求めると「なんなのこれ?」とすっとんきょうに答え、Benjazzyもさすがに困惑。おまけに、まだ生活を始めて1日半とは思えぬほどリビングも荒れ放題だし、このシェアハウスは基本、10時を迎えないと話の通じる住人が現れないらしい。ちなみに、Benjazzyの豚汁はメンバーに「なんなのアイツ?」と言わしめるほどおいしいのだとか。そういえば、Benjazzyの料理は味は濃いめだが普通においしいと前評判があると聞いた覚えがある。そのほか、勝手に地下で眠り始めた鬼頭が気づけば行方をくらませていたところまでを含めて、本当に意味のわからないシーンの連続だった。これがBAD HOP HOUSE。魔物の巣窟……。

 あまりの衝撃に忘れかけていたが、空港に到着したT-Pablowにも驚きの事態が。まだシェアハウスを出た頃には会話の通じていたはずのTiji Jojoが、まさかの朝から“出来上がっている”。勢いのままにGUCCIでバケットハット、サングラス、スカーフを合計168,000円で購入すると、ペテン師感というか、インチキくさい“エセカジノ師”のフォルムが完成。「コレガナイト,タブンハイレナイ……」と、入る対象がカジノなのか、あるいは自身の“ゾーン”なのかまでは読み取れなかったが、あのT-Pablowをも「イカれてるよ」「会話にならない」と呆れさせるほど、マトモな状態を失っていた(ちなみにT-Pablowも、韓国行きなのにパスポートを自宅に忘れ、勝手に一時帰宅しているので、わりとどっちもどっち)。

 そして韓国に到着。Tiji Jojoが「すみません。全然記憶ないんですけど、気づいたら(GUCCIを)被ってて……。ここはもう韓国ですか?」と、正気を取り戻したところはスルーして、今回のカジノで挑戦するゲームの説明といこう。選んだゲームは、“カジノの王様”と言われるバカラ。ルールはシンプルで、プレイヤーとバンカーの役割に別れて、配られた2枚のカードの下一桁の数字を予想し、合計で“9”になる方がどちらかを当てるというもの(ちなみに、プレイヤーとバンカーはその時々での役割の呼称。ディーラーバンカーではない)。脳内カウンティングをはじめ、バンカーに賭けた方が勝率が高いといった定番の勝法もあるが、基本的には運勝負である。

 地元・川崎でのフリーライブの開催資金として。T-Pablowは初日、元手の200万円を400万円に。それをさらなる元手として800万円、1600万円まで膨らませると豪語していたが、その強気なスタンスはこの場でも崩さず。ルール説明、ならびに練習もなしに、“気持ちの問題”が大切になってくると、いきなり真剣勝負に進んでいった。

 まずは1ゲーム目。Tiji Jojoが、GUCCI 3アイテムの補填を図るべく、5万円を賭けると、配られた手札の組み合わせは、いきなり最強の“9”。自身の賭けた“プレイヤー”と的中し、あっさりと勝利して5万円のバックを獲得する。続くT-Pablowも+10万円で幸先のよさを見せると、そのままわりと堅実なベットを重ねて9ゲーム。6勝3敗で、収支は+102万円に。

 ただ、この生ぬるさに不満を示したのが、YZERRらロマンを求める日本の居残り組。G-k.i.dのオーディション同様、現地の中継を眺めていたのだが、今度はリビングでだらっと寝転がっての視聴スタイルで「普通にカジノしてる人を見てるだけ」「おもろくなさすぎる」と、韓国組にリモートで大勝負をけしかける(Benjazzyは、PRADAのバケハにCELINEのシャツと、とても家の床に寝転がるような格好じゃない)。

 そんな声に応えるべく、T-Pablowが動いた。プレイヤー側に、直前まで稼いだ100万円をそのままベット。勝てば一気に+100万円。勝負の結果は……なんと、引き分け。お互いの引いたカードの下一桁の合計がどちらも5以下になったため、もう1枚を追加。すると、バンカー側の数字が“9”となり、あっさりと100万円を失ってしまう。Tiji Jojoは“パブロがやっちまった”という、YZERRが昨晩に言い当てていた苦い表情で、ふたりの間にしばしの沈黙が。一方の居残り組は満足げに大爆笑。ここまではまだ笑える展開だった。

 カジノにおいて、ある程度の勝利を果たしたら一旦は引き上げるのが鉄則だし、悪い流れは続くもの。そのまま-34万円、-50万円、-5万円、-50万円と、奇跡の5連敗でABEMAの制作費1000万円が泡のように消えていく。残すは、100万円のチップ1枚のみ。ここでも「(賭けるなら)1枚だべ」と、大博打に前のめりなT-Pablowと、50万円ずつ別の機会に大勝負を仕掛けたいと、及び腰ながら冷静なTiji Jojoで姿勢が別れる。が、BGMに「Champion Road」が流れ始めた。〈行け かませ 超えろ川崎から続くChampion Road〉。もう、止められない。

 手持ちの100万円を、プレイヤー側にフルベットしたT-Pablow。手札の数字が示すのは“6”。微妙ながらも勝利の確率の方が高いが……結果は引き分け。焦らすような展開から、今度はTiji Jojoが同じく100万円を賭ける。「どこから出た度胸なんだよ」というヤジも日本から飛んできたが、隣に座るT-Pablowの静かな熱に打たれたのだろう。行け、かませ、超えろ……。だが結果は……残念、超えられなかった! 直前に挿入された、メンバーの多くがT-Pablowへの信頼を示すVTRから、さすがに勝つものだと思っていただけに、とんでもないフリオチだった!

 300万円をつぎ込んで、儲けは0円。たった半日で大金を溶かしきり、そのほか最終日までのイベント前払金などもあって、残金はあと4日を残して180万円。〈ライブすればすぐに100万円〉と歌っていたBAD HOPが、ほとんど同程度の金額に苦しむ姿を見ることになるとは。しかし、ただ一人、誰にも知らせず、日本から韓国行きのチケットを購入していたメンバーが……。次回、T-Pablow、七転八起のリベンジカジノ!?

(whole lotta styles)

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