■市場価値上位は日韓が独占

 現在カタールで開かれている「AFCアジアカップカタール2023」には、世界的な才能が参加している。

 出場選手の中で最も市場価値が高いとされるのは、日本代表MF久保建英(22歳)だ。レアル・ソシエダの中心選手としても活躍するレフティは、サッカー情報サイト『Transfermarkt』によると、市場価値が6000万ユーロ(約97億円)。今大会の624選手の中で最高額であり、世界的に見ると62位。2001年生まれの選手に限ると、アーセナルイングランド代表FWブカヨ・サカ(1億2000万ユーロ)やチェルシーアルゼンチン代表MFエンソ・フェルナンデス(8000万ユーロ)などに次いで世界8位の額となっている。

 バイエルンに所属する韓国代表DFキム・ミンジェ(27歳)も市場価値6000万ユーロ(約97億円)で久保建英と並び今大会の最高額が付いている。市場価値3位は、ブライトンの日本代表MF三笘薫(26歳)とトッテナムの韓国代表FWソン・フンミン(31歳)で5000万ユーロ(約80億円)。次いでアーセナルの日本代表DF冨安健洋(25歳)の3000万ユーロ(約48億円)となっている。

 他にも伊藤洋輝堂安律が上位に名を連ねており、今大会の市場価値トップ10は日韓で複占している。しかし、若いタレントに目を向けると様子が変わってくる。というのも、今大会の日本代表メンバーは最年少がGK鈴木彩艶とGK野澤大志ブランドンの21歳で、彼らより下の世代の選手は選ばれていないのだ。というわけで、『Transfermarkt』を参考に20歳以下に限定して、今大会の市場価値トップ5を見てみよう。

■5位:DFキム・ジス(韓国代表) 60万ユーロ(約9700万円)

 5位に入ったのは韓国代表DFキム・ジス(19歳)だ。韓国の未来を担うセンターバックは、192㎝の恵まれた体躯を持ち、パワーとスピードで相手のボールを奪う。元々は右利きだが、子供の頃から左足を練習してきたため、両足で正確なパスを出せるのも魅力だ。17歳にしてソンナムFCでKリーグデビューを果たすと、昨年5月に開かれたU-20ワールドカップにも18歳にして出場。全試合にスタメン出場し、韓国のベスト4進出に大いに貢献した。

 バイエルンで活躍するDFキム・ミンジェとも比較される次世代のスター候補は、昨夏ソンナムFCからイングランドのブレントフォードに移籍。まだ出場機会はないが、すでにプレミアリーグでも2試合でベンチ入りを果たしている。昨年9月から韓国代表に招集されており、今大会中にA代表デビューを飾るかもしれない。

■3位タイ:MFモンタデル・マジェド(イラク代表) 100万ユーロ(約1億6000万円)

 3位は2名いて、どちらもグループリーグ第2戦で日本を下したイラク代表の選手だ。1人目はMFモンタデル・マジェド(18歳)。日本戦での出場機会がなかったが、将来を嘱望される注目のウィンガーだ。スウェーデンで生まれたマジェドは、2021年に16歳にしてスウェーデンの1部リーグでデビュー。同リーグで2005年生まれの選手が出場するのは初めてのことだった。2022年からはハンマルビー(SWE)でプレーしている。

 U-19世代までは生まれ故郷のスウェーデンで主力として活躍していたが、A代表は両親の祖国であるイラクを選択。今月6日に行われた韓国との親善試合でA代表デビューを果たし、今大会のメンバーにも選出されている。ここまでグループリーグは2戦とも出番がなかったが、すでに決勝トーナメント進出を決めているため第3戦のベトナム戦で起用される可能性があるかもしれない。

■3位タイ:ジダン・イクバル(イラク代表) 100万ユーロ(約1億6000万円)

 3位のもう一人はマンチェスター・ユナイテッドで育ったイラク代表MFジダン・イクバル(20歳)だ。パキスタン人の父親とイラク人の母親のもと、イングランドのマンチェスターで生まれ育ったイクバルは、9歳から名門ユナイテッドの下部組織で揉まれてきた。同クラブではトップチームまで上り詰め、2021年12月にはチャンピオンズリーグでトップチームデビューを果たした。しかし彼がユナイテッドで出場した公式戦はこの1試合だけ。昨夏、出場機会を求めてイングランドを離れてオランダのユトレヒトに移籍した。主戦場はセントラルミッドフィールドで、今季はエールディヴィジで4試合に出場している。

 今大会はグループリーグ初戦のインドネシア戦に出場して3-1の勝利に貢献するも、第2戦の日本戦は出場機会がなかった。

■2位:DFアブドゥコディル・クサノフ(ウズベキスタン代表) 150万ユーロ(約2億4000万円)

 2位はウズベキスタンの若手センターバック、アブドゥコディル・クサノフ(19歳)だ。186㎝のDFは球際に強いストッパーだが、器用に両足を使うプレーヤーとしても知られる。昨年3月に開催されたU-20アジアカップウズベキスタンの初優勝に貢献して一気に注目を集めると、同年5月のU-20ワールドカップでも守備の要として全試合にフル出場してベスト16に入った。

 その時の堅い守備が評価されて昨年7月にフランスのRCランスに引き抜かれ、リーグ・アンプレーする初のウズベキスタン人選手となった。今季ここまでリーグ戦で5試合にスタメン出場しているほか、11月にはアーセナル戦でチャンピオンズリーグデビューも果たした。A代表ではすでにレギュラーの座を掴んでおり、今大会も開幕2試合にフル出場して2戦ともクリーンシートに貢献している。

■1位:MFアボスベク・ファイズラエフ(ウズベキスタン代表) 400万ユーロ(約6億5000万円)

 今大会の20歳以下のプレーヤーで最高額の市場価値を誇るのはウズベキスタン代表MFアボスベク・ファイズラエフ(20歳)だ。国内の強豪パフタコール・タシュケント17歳にしてトップチームデビューを飾ると、年代別のウズベキスタン代表として大活躍。2022年には18歳にしてU-23アジアカップに出場して準優勝に貢献。翌年のU-20アジアカップでは大会MVPに選ばれる活躍を見せて母国を頂点に導いた。

 170センチの攻撃的MFは、昨年6月のU-20ワールドカップでも1ゴール・1アシストの活躍を見せて、大会後にはロシアCSKAモスクワに引き抜かれた。同クラブではすでに主力として活躍しており、今季リーグ戦13試合で2ゴール・6アシスト。2023年のウズベキスタン最優秀選手にも選出された。今大会はグループリーグ第2戦のインド戦でネットを揺らして3-0の勝利に貢献しており、さらなる活躍が期待されている。

 今回のアジアカップは、日本代表の活躍に加えてアジアの次代を担う若い才能にも注目だ。

(記事/Footmedia)

上位にはウズベキスタン代表から2選手がランクイン