ソフトバンクの主戦捕手、甲斐の動向も注目される(C)Getty Images

 今オフのFA戦線も様々な話題を集めた。オリックス左腕の山崎福也が複数球団の争奪戦の末に日本ハムに移籍したことに始まり、西武・山川穂高FA権を行使し、ソフトバンクに移籍となった。

 そんな中、早くも2024年オフのFA戦線の行方も水面下でひそかに着目されている。今年の傾向としては各球団の主戦捕手が多くFA権を取得見込みとあって、動向が注目されそうだ。

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 まずソフトバンクからは甲斐拓也が今季、取得見込み。育成出身、「甲斐キャノン」といわれる強肩が持ち味、2021年東京五輪、昨年のWBC含め侍ジャパンで国際舞台の経験も豊富、球界屈指の名捕手として知られる。

 セ・リーグでは3球団の捕手がFA取得見込みとなっている。まず日本一阪神からは坂本誠志郎。昨年は併用で起用されていた梅野隆太郎の負傷などもあり、特に後半戦から存在感を強く発揮した。最優秀防御率に輝いた村上頌樹とのバッテリーも知られ、インサイドワークのたくみさに定評がある。

 巨人でも大城卓三がFA取得年となる。昨年はキャリアハイの16本塁打をマーク、「打てる捕手」としても知られ、昨年は侍ジャパンの一員としてもWBCに出場。世界の舞台を経験したことでさらに上を目指す境地に至ったとされる。今季からは菅野智之にかわって選手会長も務める。

 最下位中日からは木下拓哉が取得年となる。ファンからは「キノタク」と親しまれ、強打も持ち味。ただ昨年はプレー中に右手甲を骨折、2か月の戦線離脱を強いられた。その間、日本ハムから移籍した宇佐見真吾サヨナラ打を含む打撃面でもアピールを果たした。

 捕手といえば育成に時間がかかり、貴重なポジションで知られる。その中で、これほど各球団の主戦捕手クラスが一斉にFAを迎えるのは珍しいとあって、各選手が行使するかも含め、注目となる。

 近年の捕手の移籍劇では2022年オフに西武から森友哉FA権を行使しオリックスへ、またオリックスに在籍した伏見寅威日本ハムに移籍とシャッフルした例があった。

 他球団の主戦捕手が動くとなれば、働き場所が少なくなると危機感を抱いて移籍を決断する例も出てくるだろう。その意味では唯一のパ・リーグ球団に在籍、豊富な獲得資金も持つとされるソフトバンク・甲斐の動向に注目が高まる。

 甲斐はオフの契約更改で複数年契約の提示を断り、単年契約を選択した。FA取得前年度の複数年契約を断るときは、FA権行使を視野に入れる例もこれまでは多かった。仮に甲斐が宣言すれば、ソフトバンクには大きな穴があくこととなり、他球団選手の動向にも影響を与えそうだ。

 FAは選手の持つ権利であり、プロ野球人生の大事な岐路となる場合も。特に取得年度の成績は市場価値を高めるためにも大事とあって、各選手のチームでの働きにも着目したいところだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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