JA全農が主催する「第7回和牛甲子園」が1月18~19日の両日、東京都港区のザ・グランドホール品川および東京都中央卸売市場食肉市場で開かれた。

新型コロナウイルス感染症の影響を経て、実に4年ぶりの完全実開催となった。競技の結果、総合評価部門の最優秀賞に鹿児島県立鹿屋農業高等学校が輝き、枝肉評価部門・最優秀賞とのダブル受賞を果たした。取組評価部門・最優秀賞には岐阜県立加茂農林高等学校が選ばれた。

第7回目となる今回は、25道府県から過去最多となる41校が出場(すべての高校が実出場)、枝肉評価部門には同じく過去最多の59頭(去勢46頭、雌13頭)が出品された。

「和牛甲子園」は和牛を飼育する全国の農業高校の生徒、いわゆる“高校牛児”たちの学習効果の向上と畜産業への関心を高めてもらうとともに、同じ志を持ち切磋琢磨し合う同世代との交流の場を創出することを目的に、自らが育てた和牛の肉質と日ごろの取組み内容を競うもの。取組評価部門と枝肉評価部門の2部門を設け、部門ごとに最優秀賞(1点)・優秀賞(2点)・優良賞(3点)を選出し、両部門の評価に基づき、総合評価部門の最優秀賞1校を決定する。

見事、総合評価部門と枝肉評価部門で最優秀賞に選ばれた鹿児島県立鹿屋農業高等学校の生徒らは受賞を受け、「将来は家業を継ぎ、日本一の和牛農家になりたい」と喜びを語った。

また、メンバー全員が2年生(畜産科)ということで、「取組部門における発表の仕方など改善すべきところは改善し、枝肉の出来ばえなど評価された部分はさらに伸ばし、来年は取組部門でも最優秀賞を取って、完全優勝を果たしたい」と連覇への意欲を示した。

枝肉評価部門で審査委員長を務めた日本食肉格付協会の小林淳二専務理事は、「最優秀賞の枝肉は、普段市場で行われる共励会のチャンピオン牛に引けを取らない素晴らしい枝肉で、非常に良く育てられていた」と評価した。

1月19日に行われた褒章式では、JA全農の齊藤良樹常務理事が「取組発表では、皆さんの和牛飼育にかける想いや創意工夫溢れる取組みに圧倒された。枝肉審査においても、プロの農家顔負けの高い技術力に驚かされた」と2日間にわたり熱い戦いを繰り広げた高校牛児を労った。

そのうえで、「日本の畜産を取り巻く環境は厳しく、先行きも見通しにくい環境にある。穀物相場の上昇や為替によって生産コスト高の状態が続き、さらには気候変動やアニマルウェルフェアといった社会的課題への対応が求められている。こうした状況下でも、全国の和牛生産者は愛情を込めて日々懸命に和牛を育てている。生産者のたゆまぬ努力により、いまや日本の和牛は世界で高い評価を得ている。新型コロナで低迷していたインバウンド需要も回復傾向が見られ、和牛輸出についても2023年の実績は前年を上回る見込みだ。JAグループでは、さまざまな生産基盤対策の強化・拡充に加え、『ちょっといい日に和牛を食べよう!』を合言葉に消費喚起キャンペーンを展開している」とした。

また、「この2日間、若い皆さんの熱意を肌で感じ、高校牛児のためにも、日本の畜産をこの先も持続可能なものとしなければならない、そして全力をあげてサポートしていくと改めて心に誓ったところだ。この2日間の想いはそれぞれだと思うが、結果のみに捉われることなく、全国の仲間たちとのつながりを大切にしながら、これからも切磋琢磨していただきたい」と述べた。

その他の入賞校は以下の通り。

【取組評価部門】
▽優秀賞=神奈川県立中央農業高等学校鹿児島県立市来農芸高等学校
▽優良賞=岐阜県立大垣養老高等学校、愛知県立渥美農業高等学校宮崎県立高鍋農業高等学校

【枝肉評価部門】
▽優秀賞=福島県立会津農林高等学校、岐阜県立飛騨高山高等学校
▽優良賞=京都府立農芸高等学校、宮崎県立高鍋農業高等学校鹿児島県立市来農芸高等学校。

〈畜産日報2024年1月23日付〉

第7回和牛甲子園、鹿児島県立鹿屋農業高等学校の生徒ら