座席指定列車も運転しやすくなりそう。

「港の見える丘公園」の地下に車両留置線を整備中

横浜高速鉄道みなとみらい線の終点、元町・中華街駅の周辺で、鉄道車両を留め置く留置線を整備する工事が本格化しています。みなとみらい線を運営する横浜高速鉄道は2023年12月、「車両留置場整備事業」の概要や整備効果について明らかにしました。

元町・中華街駅は、ホームが1つだけの1面2線の構造です。日中時間帯でも1時間に16本もの列車が発車し、多くが和光市森林公園小手指といった埼玉方面まで直通していきます。

横浜高速鉄道は、自社車両「Y500系」を6編成所有しています。これらの車両は現在、直通先の東急東横線内にある「元住吉検車区」を賃借して車庫として使用していますが、将来的な安定輸送を確保するために、自社の車両留置場をもつ必要があるといいます。

新たに整備される車両留置線は、駅の終点側から線路を延伸する形で工事が進められています。延長は約589メートルで、元町・中華街駅を出ると「港の見える丘公園」側に曲がり、留置線の大部分は公園敷地内の地下となります。留置線の構造は、駅側から単線トンネル2本(約228メートル)、複線トンネル(約99メートル)、車両を留置する併設トンネル(約262メートル)となります。

「車両留置場整備事業」の具体的な効果とは?

現在は元町・中華街駅のホームに2編成しか車両を留置できませんが、留置線が完成すると、新たに10両編成を4編成留置することが可能になります。

また、停車中の車両が故障した場合、当該車両が留置場に引き上げることで、別の車両が駅に進入できるようになります。定時性確保や、運転整理の選択肢も広がる利点が見込めます。

さらに、現在は終点駅のため、速度を落として進入する必要がありますが、駅の先まで線路が新設されることで、速度を落とす必要もなくなり、所要時分の短縮や柔軟なダイヤ設定も期待できるといいます。

2023年6~8月にはトンネル掘削、11月にはトンネル内のコンクリート吹き付けを実施。12月は建設発生土の運搬が行われるなど、工事は着々と進んでいるようです。

今後は2030年度の留置線の使用開始を目指し、軌道工事や電気工事なども進められる見通しです。

みなとみらい線の車両(画像:写真AC)。