本日(2024年1月24日)発表された、ビルボートチャート「ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20」にて、『人マニア』の19連覇を阻止し、『オーバーライド/吉田夜世』が1位を獲得した。
 ニコニコ動画における楽曲の再生数は約28万回。YouTubeでも同曲は約2ヶ月の短期間で82万回再生越えている。加えて数字はまだまだ伸びを見せており、今後さらに大きなバズを起こす可能性を秘めている。

 本記事では、『オーバーライド吉田夜世』が投稿されてから、二次創作群がニコニコの中に生まれ、チャートで1位を獲得するまでの流れを解説してみたいと思う。

文/曽我美なつめ


二次創作動画「オーバーマッド」がブームの火付け役に

 昨年一躍人気となった「強風オールバック」や「人マニア」など。これらのボカロ曲のブームの背後には、「歌ってみた」「描いてみた」などの二次創作動画の存在があったことは、おそらく周知の事実だろう。

 今回の「オーバーライド」の大躍進にも、二次創作動画が大きく関わっており、これらは「オーバーマッド【※】と呼ばれている。

 そして、オーバーマッドブーム火付け役になったのが、スマホ向けアプリゲーム「ブルーアーカイブ」とアニメ「葬送のフリーレン」のを絡めた2つの二次創作動画だ。

※正確には「オーバーライド」のMAD動画に付けられるタグのことを指す。

 現時点でブームのはしりとされているのが、ブルアカに登場するキャラクター・アロナのゲームボイスを用いた「オーバーアロナ」。

 そして同様にブルアカのキャラクター・宇沢レイサのゲームボイスを用いた「オーバーレイサ」となる。

 これらの動画以降、「オーバーライド」のタイトルに動画素材の中心キャラ名を入れた、「オーバー○○」という形式のシリーズが数多く投稿されているようだ。

 さらにこのオーバーマッドの流行をニコニコ動画のみに収まらないものとしたのが、「オーバーアウラ」だ。

 アニメ「葬送のフリーレン」に登場する敵役・断頭台のアウラの台詞を主な素材としたこの動画。YouTubeでの再生数は本家の82万回にせまる、68万再生を記録している。

「オーバーライド」は“ボカロらしさ”がつまった1曲

 上記作品の知名度ももちろんだが、とうぜん原曲の「オーバーライド」に詰め込まれた多彩な“キャッチーさ”も、このブームのポイントとなっている。

 大勢の心を掴むいわゆる“ボカロらしさ”を漂わせるリズミカルな電子サウンドに、各所で韻を踏んだ歌詞は響きも良く聴き心地抜群。
 そして多彩なネットミームを曲のあちこちに盛り込んでいる点も、普段からネットに親しんでいる人々にとってはツッコミどころ満載だ。

 二次創作は今やネットにおけるトレンドの誕生に大きな影響を及ぼす。その文化に非常に寛容かつ、むしろ様々な動画の拡散に協力的な姿勢すら見せる彼のスタンスも、ブームに追い風を拭かせている理由のひとつなのだろう。

 原曲が公開されて約2ヶ月が経った今でも、新たなコンテンツが投稿されている「オーバーマッド」。そして、二次創作が注目されればされるほどその勢いを増す原曲の「オーバーライド」。
 この親子関係から展開されるミームやムーブメントを、ぜひリアルタイムで楽しんでほしい。


▼動画はこちらから視聴できます▼

オーバーライド重音テトSV[吉田夜世]』
https://www.nicovideo.jp/watch/sm43083649