第91回アカデミー賞で9部門10ノミネートを獲得した『女王陛下のお気に入り』(18)のヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーン、そしてサーチライト・ピクチャーズが再タッグを組んだ『哀れなるものたち』が1月26日(金)よりいよいよ公開を迎える。

【写真を見る】まさに壮観!サーチライトの10年分のパンフレットがずらり。何本観てる?

天才外科医によって奇跡的に蘇生を遂げた若き女性ベラ(ストーン)が、大陸横断の旅を通して平等と自由を知り、時代の偏見から解き放たれていく姿を描いた本作。第80回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞を皮切りに数多くの映画賞を受賞し、第81回ゴールデン・グローブ賞では作品賞と主演女優賞(いずれもコメディ/ミュージカル部門)を受賞。第77回英国アカデミー賞では11部門にノミネート。

昨日発表された第96回アカデミー賞では、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、衣裳デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、作曲賞、美術賞と11部門でノミネートされている。

■ARや大判パネルで『哀れなるものたち』の世界にどっぷり浸る!

そんな本作の公開を記念して、渋谷PARCOの3F Event Spaceでは現在、「『哀れなるものたち』×サーチライト・ピクチャーズ Special Exhibition」と題した特別展示が実施中だ。

会場には、本作の劇中のハイライトシーンを切り取った大判パネルが多数展示。エマ・ストーンの美しさや、鬼才ランティモス監督が生みだす極彩色の独特な映像表現の一端を追体験することができ、思わず目を奪われることまちがいなし。またARを駆使した展示も実施されており、会場内のQRコードをスマートフォンで読み取ると、巨大なメイキングビデオが飛びだしたり、会場限定のARインスタレーションが見られる仕掛けも。

さらに一角では、今年で設立から30周年を迎えるサーチライト・ピクチャーズの歩みを振り返る展示も。さらにダニー・ボイル監督の『トランス』(13)から10年にわたり、サーチライト・ピクチャーズ作品の劇場パンフレットとして出版されてきた全26作品分の「SEARCHLIGHT PICTURES issue」がずらりと並び、まさに壮観。

アカデミー賞で作品賞を受賞した『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(14)や『シェイプ・オブ・ウォーター(17)、『ノマドランド』(20)をはじめ、映画ファンから絶大な支持を集めるウェス・アンダーソン監督の作品やマーティンマクドナー監督の作品など、サーチライト作品の幅広さを感じることができよう。

「『哀れなるものたち』×サーチライト・ピクチャーズ Special Exhibition」は2月12日(月・祝)まで開催中。また、同じく渋谷にある西武渋谷店A館1階のプロモーションスペースでは、2月5日(月)まで「POOR THINGS MEETS SEIBU SHIBUYA ヨルゴス・ランティモス監督&エマ・ストーンPOP UP写真展」と題し、アーティスティックな撮り下ろし写真27点を堪能できる写真展が実施されている。映画を観た帰りに、その余韻にひたりながらふらりと立ち寄ってみてはいかがだろうか。

■鬼才の放つ独特な世界観を隅々まで深掘り!

1月26日の上映初日からは、全国の『哀れなるものたち』上映劇場にて「SEARCHLIGHT PICTURES issue vol.26『哀れなるものたち』」が発売開始。本作を様々な視点から徹底解剖する充実の内容となった本誌の内容を、ひと足先に紹介していこう。

劇場パンフレットの定番コンテンツであるスタッフ・キャストのインタビューでは、これが2度目のタッグとなったランティモス監督とストーンの対談が実現。原作を読んですぐに原作者のもとに映画化の許可をもらいに行ったというランティモス監督と、主演&プロデューサーを兼任したストーンが本作に込めた思いなどを語り合う貴重なやり取りが、見開き3ページにわたってたっぷりと展開していく。

また、第81回ゴールデン・グローブ賞では助演男優賞に2人そろってノミネートを果たしたゴッドウィン・バクスター役のウィレム・デフォーと、ダンカン・ウェダバーン役のマーク・ラファロの対談も掲載。独特な世界観のなかで特にあくが強い役柄に挑んだ2人は、どのようなことを考えて演じていたのか。こちらも必読の内容だ。

さらに、ランティモス監督が原作小説を読んだ時の感想からはじまり、ヘアメイクや衣装、美術セットといった本作の世界観構築に大きく貢献している3つの要素を深掘りする「MAKING OF POOR THINGS」は、映画本編を観てから読むと、すぐにもう一度映画を観直したくなることまちがいなし。どのようにしてこの映画が作られていったのか、細部へのこだわりも見逃せないポイントとなっている。

そして「『哀れなるものたち』に魅せられて」と題したオピニオンたちによるレビューページも興味深い内容が盛りだくさん。寄稿してくれたのはプロデュース作『みなに幸あれ』が公開中の清水崇監督と、「TOGA」デザイナーの古田泰子、ジェンダーやフェミニズムをテーマにしたコラムを手掛けるライターの羽佐田瑶子、原作小説の翻訳を務めた高橋和久、本作の撮影現場でスチール写真の撮影を担当したフォトグラファーのATSUSHI NISHIJIMA、そして画家のヒグチユウコの6名。

どこから読んでも新たな発見に満ちている「SEACHLIGHT PICTURES issue vol.26『哀れなるものたち』」。是非とも入手して、ランティモス監督が放つ未体験の冒険のガイドブックとして活用してほしい。

文/久保田 和馬

渋谷PARCOで開催中の「『哀れなるものたち』×サーチライト・ピクチャーズ Special Exhibition」に潜入!