寺地は防衛を果たしたものの苦戦を強いられた(C)Getty Images

 薄氷の勝利でタイトルを死守した。

 1月23日エディオンアリーナ大阪で行われたプロボクシングWBA・WBC世界ライトフライ級タイトルマッチで、統一王者の寺地拳四朗(BMB)が、挑戦者のカルロス・カニサレス(ベネズエラ)を判定で下し、2本のベルトを守った。歴代3位となる世界戦14勝目を挙げたが、判定2-0と接戦を制しての防衛となった。

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 序盤から接近戦の打ち合いとなった一戦は、3回までに両者がダウンを喫するという激しい攻防が繰り広げられた。公開採点でも中盤までは挑戦者リードの内容がアナウンスされるなど、寺地が劣勢になるラウンドが続いた。

 カニサレスの激しいラッシュで追い込まれる場面もあった寺地は、何とか持ちこたえ相手のボディを的確に狙いチャンスを伺う。8回終了時で王者のリードが告げられた後も距離を詰めながらの戦いを演じるも、最終盤では足を使ってポイントを稼ぐスタイルに切り替え、辛くも逃げ切った。

 試合後、寺地は目の周辺が腫れあがり傷も負った顔でマイクに向かい、「まだまだ成長できる」などとコメント。言葉を絞り出す表情が、激戦だったことを物語っていた。

 そして壮絶な試合を制した日本人王者のコメントは海外でも報じられており、スポーツメディア『Sporting News Canada』がこの一戦の特集記事の中で取り上げている。

「テラジがカニサレスに競り勝つ」と銘打たれたトピックでは、「テラジは15度目の世界タイトルマッチでWBA、WBC、リング誌のライトフライ級タイトルを保持した」と結果を伝えながら、「この試合、テラジは終始、パンチを浴びるなど厳しい試合展開となった」と振り返っている。

 記事では、試合後の寺地のコメントとして、「カニサレスはとてもタフな相手だったが、この試合に勝つために必死だった」「改善点がたくさん見つかった。後半は自分の距離で戦わせてもらえなかったので、(スタイルを)変えました。もっと作戦を考えないといけない」と反省点を並べた言葉を掲載。

 その上で同メディアは、「テラジが自分を責めているように聞こえるかもしれないが、それはもっともなことだ。最初からチャンピオンは気負いすぎ、簡単に打たれすぎた」と指摘している。

 試合前、この先に向けたさまざまな可能性も口にしていた寺地が防衛後、「ベルトの重みに気づいた」と心情を明かしている。新たな目標には言及しなかった32歳の王者は、自身のボクシングをさらに磨いていくことを誓っていた。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

辛勝でベルト防衛の寺地拳四朗に海外メディアは辛口評価「気負いすぎ、簡単に打たれていた」