日本サッカー協会JFA)の田嶋幸三会長が24日に声明を発表し、選手に対する差別的発言および誹謗中傷を強く非難した。

 現在開催中のAFCアジアカップカタール2023で3大会ぶり5度目の優勝を目指している日本代表。14日に行われた初戦では、かつて日本代表を指揮したフィリップ・トルシエ監督率いるベトナム代表に苦戦を強いられるも4-2の逆転勝利を収めた。しかし、続く19日のイラク代表戦では、前半だけで2失点を喫し、反撃も終了間際の1点のみに留まり1-2で敗戦。国際Aマッチでの連勝が「10」で止まると共に、グループ首位通過の可能性が消滅した。

 この2試合に先発出場したGK鈴木彩艶(シント・トロイデン/ベルギー)が、SNS上で差別的発言や誹謗中傷の標的に。日本代表を率いる森保一監督はグループD第3節インドネシア戦の前日会見にて「あってはいけないこと」と前置きした上で、「日本の大切な選手である鈴木彩艶に人種差別的な言葉を向けた人には断固として抗議する。彩艶についてはストレスや傷ついている部分があれば、チームで全力でサポートし、穏やかに生活し、サッカーに集中できる環境を作ってあげたい」とサポートの姿勢を強調していた。

 そうしたなか、24日には田嶋会長がJFAを通じて声明を発表。差別的発言や誹謗中傷を強く非難するとともに、JFAとして法的措置も辞さない構えであることを表明した。
 
日本サッカー協会JFA)は2008年にリスペクト宣言を行い、暴力・暴言の根絶、人種、差別、等をしないことを宣言しました。現在、一切の妥協も許さない「ゼロ・トレランス」の姿勢でその根絶を目指しています」

「現在、開催されているAFCアジアカップ2023においてSAMURAI BLUE(日本代表)は優勝を目指し、監督、選手、スタッフ、そしてJFAも一丸となって戦っています。もちろんスポーツにおいて勝敗はつきもので、いかなる結果も受け入れる覚悟で戦いに臨んでいます。それもフェアプレーの精神だと考えます」

「ファン・サポーターをはじめ、多くの皆さんからも熱い声援や叱咤激励をいただいています。そういった声援はチームや選手を鼓舞し、素晴らしいゲームを行う原動力にもなります」

「その一方で、SNSにわれわれが掲げるリスペクトとは異なる差別的発言、誹謗中傷などが投稿されました。断じて許されない行為であり、JFAとして断固抗議します」

「差別や誹謗中傷などの心ない投稿は、個人の人権や名誉、プライバシーを脅かし、人を窮地に追い込んだり、法律に違反する行為に発展したりするなど、深刻な事態になることも少なくありません。多様性を尊重するという社会の動きに逆行することでもあり、恥ずべき行為だと考えます」

JFAは人権や名誉、プライバシーなどを侵害する行為を決して容認せず、法的措置も辞さない姿勢でその根絶を目指していく考えです」

JFAの田嶋幸三会長 [写真]=Getty Images