山川穂高

フリーエージェント制度を利用して、埼玉西武ライオンズから福岡ソフトバンクホークスに移籍した山川穂高内野手

侍ジャパンの一員としてWBCでの世界一にも貢献したが、その後、女性トラブルが報じられ、昨シーズンは出場を自粛し、棒に振ることとなった。

 

■当初は「和田」指名報道も

シーズン中から、「被害女性と示談が成立した場合はソフトバンクにFA移籍するのではないか」とささやかれていた山川。おおかたが予想した通りの展開になったわけだが、その人的補償が大きな問題として波紋を拡げた。

11日、日刊スポーツは山川の人的補償として、西武が和田毅投手を指名したと報道。松坂世代として今も活躍する和田は、シカゴ・カブスなどMLBに所属していた以外はソフトバンク一筋。

2007年に横浜から巨人にFA移籍した門倉健人的補償として、工藤公康が指名されたように、ベテラン選手がプロテクトを外され、指名されるケースは実際にある。

 

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■急転直下「甲斐野」で落着

しかし、ふたを開けてみると、2018年のドラフト1位・甲斐野央人的補償に決定。当初報じられたように、実際は和田が指名されていたとしたら重大なルール違反だが、当該球団以外は知る由もないため、不透明な幕切れとなった。

一方、プロ野球選手会は「人的補償撤廃」を要求。もともと、ドラフト制度があるために選手サイドが希望球団を選ぶことができない、という現状へのひとつの解決策として導入されたFA制度。

選手の権利でもあるため、行使しづらい状況には不満があるのだろう。他方で、「ファンあってのプロ野球」という側面も。せっかく育った選手が、活躍し始めたところで金満球団に引き抜かれるのは、ファンも認め難い。

世間は、このFA人的補償問題について、どのように考えているのだろうか。

 

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■6割が「人的補償」を

Sirabee編集部が、1月19〜22日にかけて全国10〜60代男女1,000名を対象に「FA制度の人的補償」について調査したところ、最も多かった答えは「現状のまま必要」で35.3%。

多くの人が、金満球団の横暴をある程度制限する必要があると感じているようだ。「ドラフト権を譲るなど別の人的補償を」と答えた人が次に多く26.8%。何らかの人的補償を求める声は6割を超えた。

「金銭補償を大幅増」という意見は17.3%。たとえばAランクの選手が引き抜かれた場合なら5億円、10億円といった補償額であれば、有力選手を補強することもできるだろう。

「代替策なしで廃止すべき」と答えた人は、わずか22.6%に過ぎなかった。

FA人的補償

 

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■中高年ほど「現状のまま」

人的補償制度が「現状のまま必要」と考える人は、上の世代ほど多く、60代では44.8%に。この世代は「無条件で廃止」派も27.6%と最も多い。

若い世代は「別の人的補償」の検討を求める人が、全世代で唯一「現状派」よりも多いが、仮に制度変更するにせよ、「何らかの形でも人的補償」を前提に制度設計しないと、ファンの気持ちを裏切る結果になりそうだ。

FA人的補償

 

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■執筆者プロフィール

タカハシマコトニュースサイトSirabee編集主幹/クリエイティブディレクター

1975年東京生まれ。1997年一橋大学社会学部を卒業。2014年NEWSYを設立し、代表取締役に就任。東京コピーライターズクラブ(TCC)会員。カンヌライオンズシルバー、TCC審査委員長賞、ACCシルバーなどの広告賞を受賞。

著書に、『ツッコミュニケーション』(アスキー新書)『その日本語、お粗末ですよ』(宝島社

プロ野球FA制度の”人的補償”についてどう思う? 6割は「人的補償は必要」