なにわ男子・道枝駿佑が主演を務めるドラマ「マルス-ゼロの革命-」(毎週火曜夜9:00-9:54、テレビ朝日系)。同作で脚本を務める武藤将吾氏と平川雄一朗監督の対談が1月24日に都内にて行われ、二人がドラマの考察ポイントをはじめ、キャストたちの魅力、作品の見どころを明かした。

【写真】対談会に出席した脚本・武藤将吾氏&平川雄一朗監督

カリスマ的リーダーに導かれ大人社会に反旗を翻す青春“クーデター”サスペンス

同作は、道枝演じる謎多きカリスマ転校生に導かれた落ちこぼれ高校生たちが、「マルス」という動画集団を結成し、大人社会に反旗を翻していく青春“クーデター”サスペンス。1月23日第1話が放送されると、X世界トレンド1位を獲得するなど話題を呼んでいる。

道枝は大胆不敵で過激な言動で、カリスマ的な魅力を放つ一方、ダークで妖しい裏の顔を持つ主人公・美島零=ゼロを演じる。ゼロの右腕的存在となる逢沢渾一、通称・アイコンを板垣李光人が、渾一の幼なじみで初恋相手でもある貴城香恋を吉川愛が演じるほか、井上祐貴、横田真悠、山時聡真、泉澤祐希が“マルス”のメンバーとして出演。また、江口洋介が、ゼロと過去に因縁がある大手通信事業グループの社長・國見亜門を演じる。

■初回を終え「時に軽やかに、時にハードに、メリハリのある作品になった」

初回放送を終えた感想について武藤氏は「“青春ドラマ”というのは「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」(2019年、日本テレビ系)以来でしたので、『高校生、書けるかな…』と思いながら書き始めたのですが、結果出来たものを見てみると、これまでにあまり見たことがないようなテイストの作品になったように感じました。それは平川監督の演出のおかげなのですが、僕が思っていたよりも時に軽やかに、時にハードに、とメリハリのある作品になっていて、見ていてとてもうれしかったし、新鮮な気持ちになれました」と仕上がりについてコメント。

「実はちょっと眠かったんですけど、目がバキバキになるくらい興奮しました(笑)」と言い、笑いを誘いつつ「僕が書いたものをスタッフ、キャスト陣が一丸となって具現化し、皆さんの熱量のおかげで、自分が思っていた以上の“マルス感”があるエネルギッシュな作品になったと思います」と語った。

演出を務めた平川監督は「テレビ朝日では初めてのドラマだったので、オンエアを見て無事に着地したことにほっとしました」と笑顔。

「編集をしながら『あ、僕たちは武藤さんを大きな愛で包んでいるな』と感じたんです(笑)。武藤さんの強い作家性、メッセージ性を一般視聴者にどう届けるかということに終始できました。そして、武藤さんの高い熱量を受け止めて、若い役者さんたちが演じるというのが一番大変だったと思いますし、みんなよく頑張ったと思います。若い人が一生懸命頑張っているドラマが視聴者の皆さんに届いて、元気をもらってくれたらいいなと思っています」と話した。

■ゼロを演じる道枝と「相撲を取りました!」

主人公・ゼロを演じる道枝については、「最初キャスティングを聞いて、正直ゼロというキャラクターが彼のパブリックイメージとかけ離れていたので、自分の思い描くゼロにどうやってマッチしていくんだろうと感じましたが、それをどうひっくり返してくれるかと楽しみにしていたんです」と告白。

「本人がすごく悩みながら、そして監督と二人で作り上げていったゼロというキャラクターで、みんなが思っている“道枝駿佑像”をひっくり返せることにワクワクしていましたし、それを確信したので、初回のオンエアを見た時はガッツポーズしました。『みんなが知らない道枝駿佑を表現できた』と喜びを感じました」と話した。

対する平川監督は、道枝と「クランクイン前に相撲を取ったんですよ」と衝撃告白を。「道枝くんって細いし優しそうだし…なのでどのくらい強いのかなと。僕は負ける気がしなかったんですよ(笑)。ただ、この間のアフレコの撮り直しの時に自分から「もう一回いいですか」と撮り直した時にゾワっと鳥肌が立って。日々成長がすごくて、日々ゼロになっていく、逞しくなっていく道枝くんを見て、今はもう相撲を取ろうとは思わないです(笑)」と道枝の成長スピードに驚いた様子。

「そんな道枝さんを見ているとこっちも頑張ろうと思えるし、視聴者の皆さんにもそんな道枝さんの頑張りが届いて『こんなに頑張ってるんなら、自分も頑張ろうかな』と思ってもらえたらうれしいです」と思いを伝えた。

■「考察も楽しんでいただけたら」

作品全体の魅力については「昔だとこういった話を書くときは、“デジタル”と“青春”というのは切り離したり、対比で描いたりしていたと思うんです。でも今はそれを切り離すことはできない。そういう状況の中で、どう人と人が向き合っていくのかーーSNSという相手の顔が見えないものに接する中で、近くにいる存在がどれだけ貴重でありがたいものなのか、という普遍的なことを描いています。傷つきたくないと感じている今の若い人たちに『こういう友だち付き合いもある』『こういう青春もいいな』と思ってもらえたら、この作品をやった意味があるのかなと。今の若者の“リアル”ではないことを、若い世代の役者さんたちがリアルに演じることで、別のリアリティーが生まれ、それをうらやましくも思ってくれたらという思いもあります」と話した武藤氏。

「そしてその一方で、クーデターサスペンスと銘打っているものが、どんな意味を持っていくのか、第1話のラストで出てきた江口さん演じる國見とマルスがどう関わっていくのか、と話の規模がどんどん大きくなっていくので、そのスケールも見どころとなっていくのではないでしょうか。そして第1話最後で出てきた 『一体誰が殺したのか』といったところの考察なども楽しんでいただけたらと思います」と語った。

続く平川監督は「武藤さんがおっしゃった考察ですね。武藤さんの頭の中にしかない謎が、至るところにに散りばめられているので、追いつくのが大変なんです(笑)。考えつかないことがこれから起きますので、謎を考察してほしいなと思います」とコメント。

「自分は武藤さんに教えてもらったので、演出として1話にもたくさん伏線を埋め込んではいますが、気付く人いるかなあ…多分気付かないでしょうね(笑)。第1話のラストの「最後まで付き合ってもらうぞ」というゼロのせりふに関しては、「どんな最後になるんだろう…」と僕も視聴者として不安を感じました(笑)。皆さんもそんな風にいろんなことを感じ、考えながら見ていただけたらなと思います」と語った。

■よくよく見ると撮ってもらっている“重要な表情”も

そんな“考察ポイント”について武藤氏は、「『なぜあのメンバーが集められたのか』『國見は、マルスの映像を見て何を思ったのか』、そのあたりは後々明かされていくポイントです。初めて、演出を含めて『こういう風にやりたい』ということを演出チームにも相談させていただきました。今後も、あからさまではなくよくよく見ると実はしっかりと撮ってもらっている“重要な表情”などがあるので、ぜひ目を凝らして、何度も繰り返し見ていただきたいです」と期待をあおった。

また、サスペンスものではあえて役者に結末を伝えないということもあるが、今回については「大枠のところはお話している」と明かした武藤氏。「細かい、こういう目線を送ってほしいなどというのはその都度の本で説明しています。ただ、どこまで役者さんに伝えるかの匙加減は、プロデューサーや演出チームにおまかせしています」とコメント。

平川監督は「大枠の武藤さんから聞いたことは伝えるようにしています。そういった過去があって今を生きているので…」と話しつつ、「それぞれのキャラクターの過去に何があったかという背景は武藤さんから聞いているのですが、この先起こる未来のサスペンスに関しては本当に武藤さんの頭の中にしかないので、非常に怖いです(笑)」と語った。

そして「ゼロと國見の対決にも、僕も想像していなかった過去が隠されていて…。第1話にも、そのヒントはしっかりと描かれています」と、もう一度第1話を見返したくなるようなポイントも明かしていた。

「マルス-ゼロの革命-」脚本・武藤将吾氏&平川雄一朗監督が考察ポイントを語る/(C)テレビ朝日